第二回 20年投資家編【前編】

億り人未満、初心者以上――そんな身近な先輩投資家はどんな考え方で株式投資に取り組んでいるのでしょうか? 今回、集まってくれたのは投資歴20年を超える5名のベテラン投資家。仕事や育児の手を抜くこともなく投資を成功させてきた秘訣、聞いてみましょう。

競艇場勤務やスポーツインストラクターも参集!

――皆さんが投資を始めたきっかけは?

インストラクターさん:
最初のきっかけは勤務先の「ストックオプション」でした。当時勤務していたスポーツクラブで、自社株を買える制度があったんです。ちょうど上場したタイミングでもありました。

インストラクターさんーー49歳男性。投資歴は約20年。職業はパラグライダーのインストラクター。累計利益は約1000万円。銘柄選定では妻の意見を反映することも。

競艇さん:
私は株に詳しい同僚がいたことが大きかったですね。普通預金よりも効率的な運用方法はないかと相談したら、IPOを勧められたんです。それ以降、IPOは応募するようにしています。めったに当たるものではないですが(笑)。

競艇さんーー55歳男性。投資歴は20年ほど。競艇場に勤務する。投資はもっぱらIPOが中心。IPO情報を細かく手帳に記録する。累計利益は約1000万円。

配当ママさん:
銀行に預けたところで利息なんてすずめの涙ですもんね。じつは私も、実家の母から「低金利だし投資してみたら?」と言われたのが直接のきっかけです。

配当ママさんーー51歳女性。投資歴は20年以上。業績が安定している企業を中心に好配当銘柄へ手広く投資する。年間の受取額は年100万円ほど。累計利益は約1000万円。

棋士さん:
私は高校時代から。父が株をやっていたもので、同じ証券会社に口座を作ってもらいました。貯金の100万円を元手にして、最初に買った銘柄は「東燃ゼネラル(現 JXTGホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 )」でしたね。

棋士さんーー45歳男性。投資歴は約20年。長期的な視野での投資が得意。アマチュア将棋では全国ベスト8入りの腕前の持ち主でもある。累計利益は500万円ほど。

早期退職さん:
私も小学生のときに父に言われて公社債へ投資した思い出があります。でも本格的に投資をすることになったのはリーマン・ショックのあとですから、2008年以降ですね。世界的な不況となりましたから、「リストラされてもお金に困らないためには株式投資がいいかもしれない」と。

早期退職さんーー46歳女性。投資歴は20年弱。給与所得より投資で稼ぐ方が手っ取り早いと早期退職。短期売買も得意とし累計利益は1500万円ほど。

インストラクターさん:
うちのオヤジも株をやっていました。でも、聞くのは悪い話ばかり。「株はうまくいかないものなのでは」と思っていた時期もあります(笑)。

IPOマニアが語る魅力とは

――記憶に残っている銘柄はありますか?

インストラクターさん:
私が最初に買った銘柄はインテリアショップの「Francfranc(フランフラン)」でした。ちょうど結婚して新居に移ろうとしているころ、ボーナスの半分くらいかな、30万円ほどをつぎ込みました。家のものを株主優待で買い揃えた思い出があります。フランフランは上場廃止となってしまいましたね。

競艇さん:
IPOを始めるよりずっと前、初めてのボーナスの40万円ぐらいを使って「 昭和電工  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」を買いました。4000円近い株価で買って、マイナスの期間が長かったのですが、どうにかプラスになってきた。20数年越しですよ(笑)。

――IPOだといかがですか?

競艇さん:
2017年12月に上場した「 ヴィスコ・テクノロジーズ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」が当たりましたね。公募価格が5000円弱で、初値が1万5000円! 上がり過ぎだろうと怖くなって売ったら、すぐに4万円を超えてしまった。「オレって見る目ないな」と悔しい思いをしましたよ(笑)。

早期退職さん: 
私はIPOではなく、PO(公募・売出し)を利用することがあります。

競艇さん: 
IPOはなかなか当たらないですからね。「ダメでもともと、当たればラッキー」です。でも、IPO株を買って初値売りに徹していれば、マイナスになってもお小遣いレベルで済んでいます。その点はいいかなと。ヴィスコ・テクノロジーズのようなことは滅多にないですが、うまくいけば何十万って儲かる。楽しいですよ。

夫婦で相談しながら優待銘柄を選ぶ

早期退職さん: 
POだと時価より割安な水準で変えるし、IPOよりは当選確率が高い。「 ライザップ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」や「 すかいらーく  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」はPOで買いました。

棋士さん: 
「すかいらーく」、私も持っています。100株保有で年間6000円の優待券ですよね。1000株持っているので、使い切るのがひと苦労です(笑)。

インストラクターさん: 
私も株主優待銘柄は持っています。かみさんに「もらって嬉しいものって何?」と聞いたら、「ハーバーの化粧品がほしい」と。それで「 ハーバー研究所  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」を買いました。ところが今度は「ハーバーより福山雅治!」と言われ、「 アミューズ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」を買いました。アミューズでは株主総会のあとに所属タレントの出演するイベントがあるんです。

配当ママさん: 
せっかくの株主優待ですから、ほしいものをもらわないともったいないですよね! うちで役立っているのは「 日本甜菜製糖  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」です。厳密には株主優待制度ではないそうですが、1000株持っていると砂糖が10キロ送られてくるので、お菓子作に役立てています。配当もあるので助かっています。

――トータルで配当はどのくらいになるんですか?

配当ママさん: 
1年でざっと100万円くらいですね。10万円、20万円で買った株で年間5000円の配当がもらえたら、長い目で見ればプラスになりやすい。友人に「何を買えばいいの?」って聞かれることもあるのですが、「経営が倒れる心配が少なくて、配当がしっかりもらえる会社」と答えるようにしています。

早期退職さん: 
同感です。家族の生活を考えたら無茶な取引はできません。長期で保有するなら、なるべく怪我をしないような会社で優待と配当のバランスのいい会社を選びます。優待が廃止されたりしたら「おつかれさま~」と売却します。

NISA口座のお得な活用法は?

――ライフイベントによって投資スタンスが変わることはありますか?

棋士さん: 
私は家を買ったタイミングで株をかなり処分しました。残しているのは「すかいらーく」などの優待銘柄と配当狙いの銀行株くらいですね。今は個別銘柄の値上がりを追いかけるより、「NISA」や住宅ローン減税など、確実なメリットのある制度の利用を意識しています。NISAは使わない手はないですよね。

配当ママさん: 
NISAは私も活用しています。優待が魅力的な「 高島屋  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」や「 三越伊勢丹ホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」などはNISA口座で買っていますね。あとは子どもが3人いるのでそれぞれに「ジュニアNISA」の口座を作ろうと。

棋士さん: 
NISA口座で非課税の優遇が受けられるのは年120万円まで。目当ての銘柄を買っても120万円ぴったりにならず10万円、20万円と枠が余ってしまうことがあります。そんなときは「 みずほフィナンシャルグループ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」のような最低投資金額の小さい銘柄を買って、限度いっぱいまで枠を埋めるようにしています。

「投資を知らないなんて罪」の時代が来る?!

――皆さん、どのくらいの金額を目標にしているんですか?

棋士さん:
目標は1億円です。というのも、今は低金利だし、現金を持っているだけでは得がない。1億円に達したとしても、それで投資終了ではなく、ずっと投資を続けざるをえないと思いますから。

インストラクターさん:
当面の目標は4500万円。住宅ローンで借りた額です。でも、私も達成後は「もっと、もっと」となると思う。投資で稼いでみんなで焼き肉を食べに行ったり、飛行機の座席をアップグレードしたり、そんな楽しみもありますし。

早期退職さん:
目標は10億円です。投資はこれからの時代を生きていく上で欠かせない知識だと思います。投資の知識はあって当たり前、知らないことが罪――そんな時代が来ると思いますから、やらないわけにはいかないですよね。

配当ママさん:
8000万円を目標にしていましたが、主人の口座と合わせるとほぼ達成できています。以前、海外に駐在していたことがあって、余剰金をもっと増やして将来は移住してもいいかなと思っています。

競艇さん:
目標は2000万円ですが、そんなに意気込んでいるわけじゃないんです。一喜一憂して、日々の刺激になったらいいなと。私も将来は海外へ移住したいのですが、妻に言ったら相手にされなかった……。まずは妻への根回しですね(笑)。

<まとめ>
・IPOは「ダメでもともと、当たればラッキー」で申し込む
・IPOよりは当選確率が高いPO(公募・売出し)も積極的に利用する
・長期保有するなら、低リスクで優待と配当のバランスの良い銘柄
・NISAや住宅ローン減税など、確実にメリットのある制度をフル活用する
・「投資」はこれからの時代を生きていく上で不可欠な知識である

今回のテーマで取り上げた上場企業

JXTGホールディングス
昭和電工
ヴィスコ・テクノロジーズ
RIZAPグループ
すかいらーく
ハーバー研究所
アミューズ
日本甜菜製糖
高島屋
三越伊勢丹ホールディングス
みずほフィナンシャルグループ