3代続く投資のDNAで資産5億円・かんちさんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・優待・高配当・成長株で資産5億円 / かんち

公務員として働きながらの株式投資で資産を着々と増やしていったかんちさん。ついに退職を決意し、専業投資家へと転向します。現在までに5億円の資産を築いたかんちさんですが、資産の約40%を投じるのは高配当や株主優待がもらえる銘柄です。「投資初心者にも優待銘柄がオススメ」と話すかんちさんの投資法、聞いてみましょう。
3代続く投資のDNAで資産5億円・かんちさんインタビュー【前編】を読む

公務員を退職したきっかけは、2億円の利益達成

上場廃止となったJ-REITへの投資が成功に終わった翌年、かんちさんは退職を決意した。

「資産が2億円を超えてきたころでした。そのくらいあると、年5%で回せれば1000万円になる。働いているよりも効率がいいなと。アベノミクス株高が始まる直前でした」

株式投資で現在までに5億円を超える資産を築いたかんちさん。そのポートフォリオは約600社の株で構成されている。

「そのうち、約3億円分が成長株です。このところ成長株に比率を傾けているので、それがいい方に出るか悪い方に出るか――1年もすればわかると思います」

残り2億円は高配当や株主優待目当ての銘柄へ投じている。

「僕は資産の90%以上が株。他の人のように不動産や債券などに資産を分散しているわけではありません。成長株だけだと生活が成り立たなくなる可能性があります。どうしても2億円分くらいは安定的に収入が見込めるところへ投じて、生活の基盤を確保したいんです」

株主優待にも表れる「歪み」

かんちさんが5億円もの資産を築いた原動力は数年に一度訪れる、明らかに安すぎるような歪んだ株価をつけた銘柄への集中投資だった。株主優待銘柄でも、「歪み」が生じることがあるという。

「株主優待でも歪みが生じることがあります。過去、近鉄百貨店が発行する株主用の優待カードにネットオークションで1枚4万円ほどの値段がついたことがあります。半期で4万円なら1年で8万円。1単位が40万円ほどで買えましたから、5年でもとが取れてしまう計算です」

優待カードが暴騰した原因は爆買いだ。百貨店での買い物が10%オフになるため、40万円以上の買い物をするのなら4万円で落札する価値はある。

「ただし、歪んだ状態は長く続きません。このときも百貨店側が訪日外国人旅行者の利用を禁じたため、ネットオークションでの価格が落ち着きました」

「5000円相当」なのに5000円以上の価値がある?!

上級者向けの裏ワザ的な話だが、もっと身近な歪みもある。

「トラスコ中山という会社があります。建設現場などで使われる工具類を作っている会社です。100株保有で5000円相当の商品をカタログから選べるのですが、よくよく見ていくと5000円以上で売られているような商品が載っていることがあります。それに、ここの会社は株主向けの見学会も行なっていて、人気なんです。去年はたまたま当選したので夫婦で行きました。いい経験でしたよ」

普通じゃ入れないような施設に入れるのは、株主ならではの特典。子どもの社会教育にもよさそうだ。

「銘柄は会社説明会で探すこともあります。株主総会もいいのですが、社長の声を間近で聞けますし、質問もしやすい。とくに株主優待を出す気があるのかどうかは、株価にも影響があります。以前は意欲的だったのに、今回は口が固いようだと、『インサイダー情報になるから、逆に言えないのだろうか?』と推測したりもできます」

季節性を利用した初心者向けの売買方法

株主優待は初心者にもオススメだとかんちさんは説く。

「3月末に配当や優待の権利が確定する銘柄だと、3月末に向けて株価が上昇しやすく、権利確定日を過ぎるといったん下落しやすくなります。こうした傾向を利用すると、売買の練習にもなります。権利確定日の1ヵ月前までに2単位か3単位買っておき、権利確定日に向けて上がったところで1単位を残して利益確定し、残りで優待をもらうんです」

いつも上手くいくとはかぎらないが、初心者が売買を経験するいい機会になるかも。

「また優待投資家の心理や資金状況を想像すると、チャンスがあるかもしれません。3月末が権利確定日の銘柄は膨大にあるので、3月中は4月優待の銘柄まで物色の手が伸びにくいんです。4月優待の銘柄が買われだすのは4月以降。それを見越して、3月のうちに4月優待の銘柄を買っておき、権利確定日に向けて上がっていくところで売るといったようにすると、効率よく売買できると考えています」

「お金があるときに株を買うな」の教え

他の投資家の懐事情を想像しながらの売買は、父親譲りなのかもしれない。

「父親がよく言っていたのが、『お金があるときに株を買うと損をする』ということ。うちの父親は建設業でした。建設業は景気の影響を受けやすいですよね。父にお金があるということは世の中の景気がいい、つまり株価は高いということです。そんなときに買えば損をしやすいし、逆に父の資金繰りがカツカツなときは景気が悪く株価も安い。そんなときに買うといいんだということを言っていました」

祖母をきっかけにして株式投資を知り、父に体験的投資論を学び、かんちさんが磨き上げていった投資理論。4代目へと引き継がれるのだろうか。

「上の息子は興味があるようですが、今は仮想通貨をやっています。仮想通貨は値動きが激しすぎるので、悪いクセがついてしまわないか心配です。株へ関心が向いてきたら、聞いてくるでしょうから、そのときに初めて教えればいいかなと思っています。ムリに教えてもムダだと思いますから」

5億円を築いた手腕を身近に教わる環境とは、うらやましいばかり。そのありがたみに気付いたとき、この連載に「かんちJr.」が登場する日が来るのかも……。