第3回 ぶ厚い四季報も2つの欄さえ見れば、株価上昇サインがつかめる!

四半期ごとに発行される「会社四季報」は、全上場企業の情報を網羅した株式投資のバイブルと言われています。「会社四季報」愛用歴20年超の渡部清二さんから、誰でもすぐに実践できる活用法をレクチャーしてもらうのがこの連載です。前回、「会社四季報」で最低限チェックしておくべきは「A・B・E・J・N」欄だと教わりました。今回はそのうちのA・Bにフォーカスを当てて、それぞれの欄で注目しておくべきポイントについて紹介します。
第2回「四季報はここを抑えれば大丈夫! A・B・E・J・N欄で見つける『勝ち筋銘柄』」を読む

最初に証券コードと正式な社名をきちんと確認!

「会社四季報」には様々な情報が掲載されていますから、誌面を目にした瞬間から圧倒されがちですよね。特に初めて読むという人は、どこに何が書いているのかがピンとこないでしょう。そこで、前回はその中で最低限チェックしておきたい箇所について説明しました。A〜Nまでにブロック分けできる誌面の中で、「A・B・E・J・N」です。私はこれを「アベジャパン」と呼んでいます。今回はA・B欄に載っている情報について、詳しく見ていくことにしましょう。

−−まず、Aの欄に会社名が出ていることはわかりますが、他にもいろいろなことが書かれていますね。やっぱり、見逃さないほうがいいのでしょうか?

その通りですね。意外な投資のヒントが隠れている場合もありますよ。会社名の上に書かれている4ケタの番号は証券コードと呼ばれ、すべての上場企業に個別の番号が割り当てられています。私たち一人一人に配布されているマイナンバーのようなもので、その銘柄の情報を検索したい場合や売買注文を出す場合などに用います。

証券コードの右隣の【 】内に表記されているのはその会社が属する業種で、33種に分類されています。業種と証券コードとの間には、水産・農林業が1300番台、建設業が1800〜1900番台、医薬品が4500番台、電気機器が6500番台、輸送用機器(自動車)が7100〜7200番台、小売業が3000番台もしくは7500番台などといったように法則性があるものの、例外も少なくありません。

そして、会社名は原則として登記上のものが掲載されており、「株式会社」が前につく場合は(株)と表記し、後ろにつく場合には省略されています。たとえばハウス食品グループ本社と書かれていれば、正式名称はハウス食品グループ本社株式会社です。

個人の氏名と同じく、会社名もビジネスマナーとして絶対に間違えないようにしましょう。失礼に当たりますし、間違えたままでは検索してもヒットしないケースも出てきます。

−−確かに、検索しても見つからない場合は、たいてい会社名を間違えていますからね。最近はカタカナで長い社名も増えているし……。

おっしゃる通りで、特に気をつけたいのは、カタカナが用いられている会社名です。戦前に用いられていた歴史的仮名遣いでは拗音・促音に小字を用いなかったことや、デザイン上の見栄えなどといったその会社のこだわりによって、耳で聞く社名と異なる表記になっているケースが見受けられます。キヤノンや富士フイルム、キユーピーがその代表例で、くれぐれもキャノン、富士フィルム、キューピーと誤記しないように注意しましょう。逆に、正確な社名を四季報でチェックしておけば、銘柄検索や注文指示でもエラーを防ぐことができます。

また、ブリヂストンはブリジストンではなく、「ホテル、ニューグランド」は「ホテルニューグランド」や「ホテル・ニューグランド」ではありません。

決算月や事業の特色、利益を稼ぐ力もわかる!

−−会社名の下には、【決算】【設立】【上場】と書かれていますね。それぞれがいつなのかが書かれているのですか? そのことがわかれば、どんなメリットがあるのでしょうか?

読んで字のごとくで、決算月と会社の設立時期、株式市場に新規上場した時期が書かれています。約7割の企業は3月決算となっており、その結果と翌期の業績予想が掲載される「会社四季報」夏号は投資家たちの間で特に重視されています。株価は将来を映し出す鏡とも言われており、翌期の業績見通しが明るい銘柄をいち早く見つけられれば、株価が上昇する前に買うことができます。

一方、小売・外食は2月、食品は12月が決算月となっているケースが目立ちます。最近の傾向として、国際会計基準の採用に伴ってグローバルスタンダードである12月決算に移行する動きも見られます。

いずれにせよ、決算月には配当や株主優待を受け取る権利も確定するので、きちんとチェックしておきたいところです。

【設立】は株式会社として登記した時期で、【上場】は株式市場に新規上場したタイミングのことです。これらのデータから老舗の企業なのか、それとも歴史がまだ浅い企業なのかを判断できます。一般的に、成熟した企業の株価は緩やかに変化しやすく、逆に若い企業は派手な値動きとなりがちです。つまり、これらの欄で企業の歴史を知ることで、株価の動き方(変動リスク)を大まかに予測できるわけです。

−−会社名の左に書かれている【特色】【事業構成】からは何がわかるのですか? それらを知っておくと、投資にどう役立つのでしょうか?

【特色】には、手掛けている事業の特徴や業界内におけるポジション、資本系列、沿革などが記載されています。「世界首位」や「業界首位」、「独自技術」などといった表現が用いられていたら、特に注目しておきましょう。その会社がライバルに大きな差をつける強みを握っていることを意味します。

【事業構成】に書かれているのは、その企業が手掛けている各部門の売上が全体に占める比率です。過去の号と変化をチェックするのも有効で、まだ売上全体に占める割合はさほど高くなくても、過去と比べて数値が伸びている部門は急成長だと判断できます。( )内の数値は売上高利益率で、売上に対して営業利益が占める割合です。この数値が高いほど、効率的に利益を稼げていることになります。

これらの欄を見て、ライバルに差をつける強みを持っていたり、急成長中の部門を抱えていたりする銘柄を探し出せれば、株価の上昇が大いに期待できそうです。

【海外】の欄には、海外での売上が全体に占める比率か、もしくは日本を除く地域別売上高比率が出ています。海外売上高比率が50%超に達していれば、いわゆるグローバル企業であるとみなせます。少子高齢化で国内市場が縮小傾向を示しても、世界経済の成長というメリットを受けられますし、為替市場で円安が進むと、海外での販売が有利になってくるので、そのことを反映して株価も上昇しがちです。つまり、円安が進みそうな場面でグローバル企業に投資をしておけば、値上がり益を得られる可能性が高まるということです。

記者がつけた2つの見出しに重要なヒントが!

−−続いて、Bの欄には何が載っているのですか? まるでおみくじに書かれた運勢のように、とてもシンプルな言葉でワンポイントコメントのようなことが書かれていますが……。

Bの欄には、その企業を担当した「会社四季報」記者が取材をもとに行った分析コメントが出ています。2つに分かれていて、前半の部分が今期に関するもの、後半の部分が中長期的な見通しに関するものです。要は、「足元はこんな状況にあって、先々についてこういった展望になりそうだ」という記者の分析なのです。

前半・後半とも【 】内に書かれているのは見出しで、非常に短くてインパクトのある言葉が用いられているのが特徴です。「繁忙」や「動意」、「底打ち」といった言葉が見出しに用いられていると、株式市場でもその銘柄に関心が集まりやすいというのが個人的な経験則です。言い換えれば、ポジティブなワードが記載してある銘柄にいち早く目をつけておくと、値上がり益を期待できるということです。

一方、中長期的なスパンで株価にインパクトを与える可能性を示しているのが後半の見出しです。その会社における中長期的な課題や成長性などに対するコメントですが、個人的にはその会社にとって大きな転換点となることを意味する記述に注目しています。良い方向に転換しそうな銘柄を買っておけば、株価が大きく上昇する可能性があります。

<まとめ>
・A欄に掲載の証券コードはその会社のマイナンバーのようなもので、情報検索でも使用
・A欄を見れば、配当や株主優待をもらえる権利が確定する月も判明!
・B欄は「会社四季報」記者が取材をもとに読者へ向けて発信している重要なメッセージ!