第4回 3つの欄を見れば、銘柄のポテンシャルがわかる!

株式投資の必需品と言われているものの、情報が詰め込まれすぎていて読み解くのが難しそうだというイメージの強い「会社四季報」。20年超にわたって「会社四季報」を愛読し続けてきた渡部清二さんから、誰でもすぐに実践できる活用法をレクチャーしてもらうのがこの連載です。「会社四季報」で最低限チェックしておくべき「A・B・E・J・N」欄のうち、今回は「E・J・N」の3つにスポットを当てて、簡単な読み解き方を紹介します。
第3回「ぶ厚い四季報も2つの欄さえ見れば、株価上昇サインがつかめる!」を読む

株主優待の有無がわかるE欄

多彩な情報が載っている「会社四季報」ですが、その中で最低限チェックしておきたいのは、A〜Nまでにブロック分けされた中の「A・B・E・J・N」だけです。私はこれを「アベジャパン」と呼んでおり、そのうち「A・B」欄については前回詳しく説明しました。その続きで、今回は「E・J・N」の欄について見ていくことにしましょう。

−−パッと見た限り、Eの欄はとても難易度が高そうな気がしますが、特に専門的な知識がなくても理解できる内容なのですか?

大丈夫です。これから説明する簡単な知識さえ身につければ、誰でもその内容を読み解けるようになります。Eの欄に書かれている順に沿って、説明していくことにしましょう。

【株式】の欄には、株主優待を実施している銘柄ならこのブロック内に「優待」と表示されており、その具体的な内容は「会社四季報」巻末の一覧で確認できます。時価総額は「株価×発行済株式数」のことで、その規模が一定以上に達しているものは大型株と呼ばれています。さらに、このブロック内に「225」という表示があるものは、日経平均株価(日経225)の算出に採用されている銘柄です。

したがって、優待に注目して銘柄を探したり、株価の動きが比較的安定している日経平均採用銘柄に的を絞って投資したりする場合は、この欄を見れば一目で区別できます。

−−簡略化された表記方法になっていたから、ピンとこなかっただけなのですね。でも、さらにその下に書かれているものは難解そうに見えますが……。

ご安心を! こちらも、必要最低限のことだけ知っておけばOKです。その会社の財政状況を把握できるようになりますよ。

【財務】の欄にはその会社の「貸借対照表(バランスシート)」の一部を抜粋掲載していますが、まだ投資経験が浅いうちは自己資本比率だけをチェックしておけば大丈夫です。その数値が高いほど財政状況が健全で、最低でも30%以上に達している銘柄に対象を絞っておけば、経営が苦しい会社を選んでしまうリスクが低くなります

【指標等】に出ているROE(自己資本利益率)は、自己資本(株主が出資した資金)を元手にどれだけの利益を生み出しているのかを示した数値です。これに対し、ROA(総資産利益率)は、総資産(自己資本のみならず負債も含めたすべて元手)からどれだけの利益を生み出したのかを示した数値です。

ROEとROAがともに高ければ、収益性の高い優良企業だと判断できます。ROEが高いものの、ROAは低いという企業は効率的に利益を稼いでいるものの、負債のウエートが高いと推察できます。

キャッシュフローでその会社の資金繰りが浮き彫りに!

−−その下に書かれている【キャッシュフロー】というのは、いったい何を意味している言葉なのでしょうか?

キャッシュフロー(CF)はお金のやりくりのことで、営業CF、投資CF、財務CFの3つが代表的なものです。また、営業CFと投資CFを足し合わせた、フリーキャッシュフロー(FCF)もよく使われます。

営業キャッシュフロー ……本業の「収入」-「支出」
投資キャッシュフロー ……資産投資の「回収」-「投資」
フリーキャッシュフロー ……営業CF+投資CF
財務キャッシュフロー ……資金の「調達」-「返済」

営業CFは本業における収支、投資CFは事業を維持するためにかかる費用の収支、FCFは「営業CF+投資CF=その会社が本業で得たお金の中で自由に使えるもの」です。財務CFはお金の不足分のやりくりを意味し、借金を返した場合は−、新たな借金や社債の発行で資金を工面した場合は+になります。

こうしたことから、「営業CF=+、投資CF=−、FCF=+、財務CF=−」となっているのが理想形です。なぜなら、「本業での収支は+で、事業を維持するための投資もきちんと行われたうえで余剰資金が生まれており、新たな借り入れも行っていない」と判断できるからです。そういった会社を選んでおけば、急に資金繰りが苦しくなって株価も急落するような事態に見舞われる恐れが少なくなります

J欄の売上や営業利益が順調に伸びている企業に注目!

−−続いて、J欄は【業績】と書かれていますね。過去や足元の実績や今後の予測が出ているということはわかりますが、具体的にどのような見方をすればいいのでしょうか?

特に重視したいのは、売上の推移です。なぜなら、売上は利益の源泉となってくるからです。足元で売上が急拡大している銘柄は要注目だと言えるでしょう。また、本業の稼いだ利益を意味する営業利益が売上に占める割合(営業利益率=営業利益÷売上)が2ケタに達している銘柄も、稼ぐ力が優れていると判断でき、業績の拡大に伴う株価の上昇が期待できます。

ただし、小売業の場合は営業利益よりも、経常利益の推移に注目したほうがいいでしょう。小売業は商慣習として営業外利益を計上することが多く、営業利益以外の利益も含める経常利益で判断するのが無難だからです。

N欄のチャートでは株価の大まかなサイクルをつかむ

−−残るN欄に出ているのは、株価チャートといくつかの株式指標ですね。これらも、特に専門的な知識がなくても投資の判断に用いることが可能ですか?

まず、チャートについては専門的な知識を用いて細かく分析することよりも、株価の大きなサイクルがどちらを向いているのかを確認することが大切です。N欄に出ているのは月足チャートなので、中長期的な株価の方向性を把握できます。これが右肩上がりを示している銘柄は、中長期的なスパンで上昇傾向にあると判断できます。

続いて、PER(株価収益率)はその会社の利益水準と比べて現状の株価が割安か否かを判定する指標です。予想PERは今期の利益予想、実績PERは前期の利益実績と株価を比較しており、どちらもその倍率が低いほど割安と見なすことができます。ただし、だからといって必ずしも株価が上昇しやすい(割安であることが解消される)とは限りません。

これに対し、 PBR(株価純資産倍率)はその会社の保有資産と比べて、現状の株価が割安か否かを判定する指標です。その倍率が低いほど割安だと言えます。

PERやPBRの倍率が低い銘柄に注目しておけば、自分が買った後でさらに株価が大きく下がるというリスクを抑えることができます。

次回からテンバガーの探し方などを伝授!

さて、これまでは会社四季報の基本的な読み方を学んできました。次回からはいよいよ実践編です! いわゆるテンバガーと呼ばれる10倍株の探し方など、四季報投資の醍醐味をガンガン紹介していきます。お楽しみに!

<まとめ>
・E欄では、株主優待の有無や指数に採用されているかどうかがわかる!
・J欄では、財務の安全性や収益性の高さがわかる!
・N欄では、株価の方向性や割安度合いがわかる!