節税するなら、ふるさと納税? iDeCo、それともNISA?【前編】

確定申告に向けて“節税の仕組み化”を伝授してくださった税理士法人五島税理士事務所の五島(ゴシマ)先生の事務所に再びやってきたフロッギー編集部員S子(フリーランス編集ライター)。今回も、知らなきゃソン・やらなきゃもったいない「節税&投資」について教えてもらいます。
効率重視がモットーのゴシマ先生。さてさて、今回はどんなズボラ向きのワザを教えてくれるのか。いざ突撃~!

やれることは全部やる! 総力戦で“仕組み”を作る

S子

ゴシマ先生! ご無沙汰してます。前回、教えてくださった“節税の仕組み化”、とてもタメになりました。今回も、ためになる仕組みをジャンジャン教えていただければ……あっ、もちろんズボラ向きのヤツでお願いします。

ゴシマ

(またもや注文が多い)。えーっと、確か前回聞いた時には「小規模企業共済」は既にやってましたよね。他に何かやってますか?

S子

よくぞ聞いてくださいました。サラリーマン時代から、もう6年ぐらいやっているのが「ふるさと納税」です。夫の税金が高くなってきたこともあって、少しでも控除を受けたいと思ってフルに活用しています。基本、肉、米、魚、野菜など、その土地のモノを選ぶようにしています。全国津々浦々のグルメを食し、もうスーパーで普通のお米は買えません(ドヤ顔)。先生もやってます?

ゴシマ

……いえ。これまでやったこともないし、将来的にもやるつもりはありません。

S子

へっ、しょっぱなから却下!? ていうか、なんか怒ってます?

ゴシマ

いえいえ、そんなことはありません。国が推進する制度ですから、やるのは自由ですよ。ただ、勘違いしている人が多いのですが、ふるさと納税は、厳密に言って“節税”ではありません。

カエル先生の一言

場の空気が重くなってきたので、チョイと私のほうから一言解説。
「ふるさと納税」とは、自分の故郷や応援したい自治体に寄附ができる制度のこと。控除上限額内で寄附をすると、2000円を引いた額について、所得税と住民税から控除を受けることができ、自治体から名産品など御礼の品がもらえます。
一時期、返礼品競争が激化し、返礼率を下げるよう総務省の通知が出たことも話題となりました。
あと冒頭にあった小規模企業共済についてさらっとおさらい。個人事業主や中小企業の経営者、役員向けの制度で、事業を廃止した際に掛金に応じて共済金が受け取れる自営業向け退職金制度のようなもの。掛金を全額控除できます。

ゴシマ

で、「ふるさと納税」というのは、2000円分の自己負担と、もらえる返礼品の差額が“トク”するというだけですよね。

S子

はっ、考えてみたら……。

ゴシマ

それに、そもそもふるさと納税の趣旨としては、自分がお世話になった故郷を応援しようというものなのに、返礼品目当てみたいになってるでしょ?

S子

確かに競争が行き過ぎて、特産品と関係ない金券なんかを配るのはどーなのって思います。

ゴシマ

カードのポイントやマイレージを貯めたら何かもらえるといった“レジャー”感覚でやるならいいけれど、“節税の仕組み”としてはどうかなというのが私の意見です。

S子

うーん、節税策としては不合格か……(ショボン)。まだまだ節税マイスターの道は遠い。では、ゴシマ先生の「とにかくやらなきゃソン!」なオススメを教えてください。

ゴシマ

具体的な話に入る前に、今回の“仕組み化”のキモをまず。それは、どんな制度や金融商品にも一長一短があるということです。つまり一つ、二つやってOKではなく、やれることは全部組み合わせて最適化を図る考え方がポイントとなります。

3つの税制優遇アリのiDeCo(個人型確定拠出年金)は速攻スタートするべき!

S子

それって投資のリスク分散みたいなこと?

ゴシマ

そう。例えば、介護保険に入っておけば老後は安心かというと、インフレが来たら「もらえる額では全然足りない」ということもありますよね。現預金では太刀打ちできないとなれば、やっぱりインフレ対抗策として株もやっておいたほうがいいとなります。
だから、自営業ならば小規模企業共済もそうだけど、iDeCo(個人型確定拠出年金)も併せてやるべき。会社員も会社で企業型確定拠出年金に入っていないなら、財形とかにプラスiDeCoをデフォルトにするべきでしょう。

S子

iDeCoはまだお恥ずかしながら手つかずでございまして……。
実は、昨年末に口座開設しようとしたら、それだけで2ヵ月かかるって言われて、ついほったらかしになっていました。
まずはそもそも、なぜiDeCoをやるべきなのかプロの視点で教えてほしいのですが、要するに少子高齢化で公的年金がキビシーから、「自己責任でお金を積み立て、運用して“自分年金”を作ってね」という国策ですよね。

ゴシマ

そういうと「若い人に負担を押し付けて不公平だ!」なんて言う人もいますが、年金制度の発端は軍人に対する恩給制度から始まって、国民皆年金制度が確立したのは1961年のこと。長い歴史を考えれば、「年金=みんな平等」という時代なんて、ほんの限られた期間だけなんですよ。

S子

そうか~。じゃあ、そもそも老後の生活は自己責任でというのが本筋だ、と。

ゴシマ

そうそう、もはや国とか会社をアテにするなんて時代遅れ。私は十数年前から確定拠出年金をやってますが、17年から加入の要件が広がって、ほぼ誰でもできるようになったんだから、時間を味方につける意味でも速攻でやるべき。S子さん! “仕組み化”のもう一つのポイントは、決めたら一気呵成にやってしまうこと。いつかやろうやろうとノンキに構えていたら、アッと言う間に老後に突入してしまいますよーー!

S子

ひ~っ! わ、わかりました。ではiDeCoのメリット&手続法についてご教示願います! 手続きって結構メンドーですよね。

ゴシマ

私も昨年、個人型から事務所単位で企業型確定拠出年金に移行したのですが、やっぱり2~3ヵ月かかったかな。まあ、手続きも運営管理機関(金融機関)を決める→商品を決める→必要書類を揃える、と面倒といえば面倒です
それでも始めてしまえば、後は1年に1度運用状況をチェックするぐらい。自動的に3段階で節税効果が得られるんですから、やらない手はありません。

カエル先生の一言

さて、ゴシマ先生が食い気味に「やるべし」と断言するiDeCoの税制優遇とは、ズバリ以下の3つ。
拠出時……掛金分は所得税、住民税が全額控除
運用中……運用で出た利益も青天井で税金ゼロ
給付時……60歳以降、受け取るときも退職所得控除か公的年金等控除の対象となり、一定額まで非課税に。
年収、扶養家族の数などによっても異なりますが、普通のサラリーマンでザックリ掛金の15~30%にあたる税金が返ってくる計算となります。これは確かに大きい……。

iDeCoは途中引出し不可だからこそイイ!

S子

いいことばっかりじゃなくて、何か注意点はありますか?

ゴシマ

まず、60歳以前には引出し不可なことは押さえておくべきでしょう。

S子

60歳までは引き出せないとなると、何かとモノ入りの子育て世代にとっては不安かも……。

ゴシマ

いやいや、逆の発想で言えば「途中で引き出せない」からいいんです。
たまに「貯金ができないから、積立で貯蓄性のある生命保険に入って強制的にお金を貯める」という人がいらっしゃいます。これも一つの仕組み化ではありますが、実はその裏で手数料が取られているんです。お金を払ってお金を貯めるなんて、それこそナンセンスですよね。

S子

“仕組み化”にかかるコストも要チェックということですね。

<まとめ>
・ふるさと納税≠節税。「レジャー感覚」で楽しむものと心得る
・どんな制度や金融商品にも一長一短がある。だから、やれることは全部取り入れよう!
・老後の資金を自分で用意するのは当たり前のこと。加入できる人ならばiDeCoを使わない手はない
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