「一食入魂」の食べ歩き人生 〜食べログレビュアー・うどんが主食さんインタビュー【前編】

大手グルメサイト「食べログ」のトップレビュアー、うどんが主食さん。彼の舌を信頼するファンは多く、高評価をつけた店は予約が取れなくなるほどの影響力を持つ。そんな伝説的レビュアーの素顔は、かなりストイック?! ご自身の「食べ歩き人生」について、率直に語ってもらった。

すべては、おいしいものを食べるため

ーー「食べログ」への書き込みで有名になり、最近はテレビや雑誌といったメディアへの露出も増えています。趣味で始めたことがここまで大きくなり、「夢がかなった」感じでしょうか。

うーん、それはないですね。テレビや雑誌に出ることには、もともと興味ないんです。食べログへの書き込みを通していろんなお店を知って、そのつながりで友人が増えたのはうれしいこと。その中にはテレビのプロデューサーや雑誌編集者もいて、メディアに出ることもありましたが、それ自体はどうってことない。僕の望みは、おいしいものを食べて生きていくこと。ただ、それだけなんですよ。

ーーすごくシンプル。有名になろうとか、何かを得るために食べログをやっているわけではないということですか。

そうなんです。特に最近はお気に入りの店をリピートしているので、そこまで新店の情報に詳しくないし、行ったとしても、あまり特徴のない店のことは書かないこともある。単に件数を増やすためじゃなく、食べログは趣味として、楽しめる範囲でやっているつもりです。

まあ、そうは言っても途中からフォロワーさんの数がすごく増えて、僕が紹介した店の予約が急に取れなくなったり、その逆の現象も起きてしまって……。「個人の趣味」という範囲を超えてしまいましたが。お店の方から「おかげさまでお客様が増えました」という言葉を聞くことがあり、そういう時はとてもうれしいです。

本当は“忖度なし”で、がっかりしたことも含めて、いろんな店で出合った体験をそのまま伝えたい。でも、ネット上で影響力が強くなった以上、その責任は感じているので、いまは書き方に気をつけていますね。

ーー有名になる前は、もっと好き放題にレビューを書いていたんですか。

知り合いから「ここ、おいしいよ」って教えられて行くじゃないですか。それで期待が裏切られると、ものすごい腹が立つんですよ。朝からワクワクして、気持ちを高めて行ったのに、なにこれっていう。裏切られたような気分になって、出された料理どころか、自分自身までもが嫌になる。

ふだんは店でメモを取らないんですが、そういうときは忘れないように、その場でどこがどう悪いかをメモる。気がついたら2000字くらい書いちゃって、ちょっとしたコラムくらいの長さになることがよくありました。一晩寝かせておいて、朝起きてからさらに思いついた内容をつけ足したり(笑)。

ーーうーん、敵に回したくないタイプです(笑)。

貴重な1食を台無しにしたのが許せない

だって、考えてもみてくださいよ。僕はもう何年も、1日1食を心がけています。誘われてランチを食べることもあるけど、ほぼ毎日、基本は夕食だけ。

ーーすごい、ストイックですね。

年をとってきて、美食ばかりしていると体を壊すと思って始めた習慣です。1日1食しか食べないのに、それがおいしくなかったら、スッゲー腹立つじゃないですか。それで値段が高かったりすると、なおさら。「これなら家でチキンラーメン作って食べた方が良かった」と後悔するし、ストレスが溜まっちゃう。そんな店を選んだ自分に腹が立ってしまう。

食べ歩きをたくさん経験してきて、これでも丸くなったんです。昔だったら、お店に入って食べた瞬間に不機嫌になってしまって、一緒に行った人から「ハラハラするから、やめて」って言われてました。僕は顔を公開していませんが、ぱっと見て「怖い人」と思われることが多くて……(泣)。

ーー(うなずく)

ちょっと、うなずかないでくださいよ(笑)。みんなも最初は「せっかく来たんだから、楽しもうよ」って感じなんだけど、僕はガマンできなくて。「この時期、こんなきれいな天然のイクラはないと思うな。ほら、匂いを嗅ぐとちょっと変でしょ? 偽物だと鍋に入れるとすぐ溶けるから、見てごらん」とか言っちゃって。

ーー実際、鍋に入れると……。

溶けました。

ーーああ〜、残念。

「産直」をうたっている店だったけど、これはひどいと思ったね。それでシーンとなって、「もう、出ようか」と。同行者に悪いなと思うんだけど、どうしてもそういうところを見過ごせないんだ。

ーーまずいものを出す店が許せないんですか?

そうではありません。まずい店があるのは、いいんです。人の好みはさまざまだし、いろんな店がありますから。許せないのは、「うまい店のオーラ」を出しておきながら、そうではない店。「うちは名店」って思ってるのかもしれないけど……(沈黙)。最近は相手への影響を考えて、ネガティブなクチコミを出すのは控えるようになりました。そういう店は気にせず、自分が行って心地よく、おいしいと思える店を突きつめようと思ってます。

食べること以外に興味ない

ーー「1日1食」のほかに、おいしく食事をするために気をつけていることはありますか。

5年くらい前から、定期的に「断食」をしています。あらかじめ2週間、夕食の予定を入れずに空けておいて、その間は水とレモネードだけを摂取する。今年に入ってから、もう2回やりました。

ーーそんなことまで! もはや、「食べるために食べない」という、哲学的な行為ですね(笑)。

そんなに大げさなことじゃなくて。友達がやっていて快調そうだったので、まねしてみたんです。そしたら疲れた胃を休めることができて、体が軽くなるし、肌もツルツルになる。定期的に断食すると、とっても体調がいいんですよ。「お腹が空いて眠れない」って人がいるけど、それは最初の2〜3日だけで、そこを乗り切るとラクになる。体が脂肪を燃焼しているからだと思うけど、夜9時過ぎるともうダルくて、ぐっすり眠って翌朝早くにシャキッと目が覚めます。

あと、味覚も変わるみたい。断食明けすぐに、山形の知り合いが送ってくれた高級さくらんぼを食べたことがあったの。おそらく農薬がついていたんでしょうね、食べた瞬間に舌がピリッとした。家内も食べたけど、気がつきませんでした。それくらい感覚が鋭くなって、体がリフレッシュする。気持ちいいですよ。

ーー「おいしいものを食べる」ことを軸に、日常が回ってるんですね。ふだん、お仕事とのバランスはどうしているんですか。断食中も、仕事できるものでしょうか。

できますよ。断食中も商談はあるけど、コーヒーを前に置いて、口をつけなければいいだけ。僕は小さな会社を経営していて、勤め人よりも割と時間が自由にできるので、それが食べ歩きに向いていると思います。

そもそも、僕は食べること以外に関心がないんです。出張に行っても、外食以外は一切スルー。札幌の雪まつりとか、柏崎の花火とか、あるとわかっていても見ないで帰ってきちゃう。家族は、僕とはあまり旅行に行きたがりません(笑)。だから、唯一の趣味が食べ歩き。ほかの人がゴルフをやるとか、海外旅行に行くのと同じようなものです。

ーー食べ歩きが趣味といっても、ふつうの人とはきっと桁が違いますよね。どれくらいお金を使っているんですか。

平日の夜はほとんど外食で、ふだんは月に50万円くらい。純粋に月100万円食べるって大変ですよ、かなり疲れますし。友達や後輩と2軒目で、ちょっと高い店に行ったりするともっと行くこともありますよ。接待もありますしね。

土日は何もなければ家で食事をして、胃を休める。料理も好きで、結構しますよ。外で高級な和食をいただくのも、家でおにぎりを作って食べるのも、同じくらい大切なこと。どちらもおいしく食べたいです。

食べ歩きはいまや、僕の日常に欠かせない時間になりました。これからも「おいしいものを食べたい」という気持ちに忠実に、続けていきたいですね。

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