PERで読み解くデンソー

「PERで読み解くリクルートHD」を読む
「これから伸びそうな企業を安く買う」という株式投資の基本。そんなときにまず参照したいのがPER (株価収益率)です。PERは株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

目の前だけでなく、未来を見据えよ!

いくら将来性がある企業でも、目の前の不透明な「リスク」が懸念材料となり、買い控えられることがよくあります。しかし、その不透明感が過ぎ去った途端、一気に高値を更新し、多くの投資家が「あの時、買っておけば……」と後悔するもの。目の前にリスクがあるときこそ、中長期的な業績見通しに目を配って、投資の是非を考えたいですね。

case11:デンソー

今回取り上げるのは、トヨタ系列最大の自動車部品メーカー「 デンソー  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」です。同社は、カーエアコンや、エンジンの動力を伝えるパワートレインといった自動車部品を手掛ける国内トップシェアの企業です。最近では、トヨタだけでなく、世界中の自動車メーカーに部品を供給しており、ドイツの自動車部品メーカーであるボッシュと世界トップの座を争っています。

関税の影響は年700~800億円を想定

デンソーの予想PER(東洋経済予想)は、14.3倍と業種平均よりは高いものの、決して割高とは言えません。また、自動車セクターの平均予想PER自体も10.2倍と低いことがうかがえます。これは、米国のトランプ大統領による関税強化の影響で、日本の自動車も競争力が低下するのではという懸念。そして、金利上昇によって米国における自動車販売そのものが落ち込むのではないかという懸念があるためです。つまり、トランプ大統領の政策が自動車セクター全体のリスクになっているのです。

同社では、関税の影響を年間で700~800億円の減益インパクトと見込んでおり、営業利益を押し下げると想定しています。この影響を考慮して、先んじて株価が低迷しているものと予想されます。

省エネ・カーエアコンの需要は大きい

一方、その後の事業環境を見渡すと、明るい材料を見つけることができます。今後自動車の電装化とEV(電気自動車)化が進展するにつれて、同社の主力製品であるカーエアコンの需要が高まる見通しを立てることができます。

EVは、バッテリーのエネルギー量が限られていますが、その条件下で航続運転距離を伸ばそうとしています。そのためにも、なるべく省エネのタイプの電子部品を採用する必要があります。同社はカーエアコンのトップメーカーであり、HV/PHV用エアコンシステムの開発ノウハウが蓄積されています。さらに、新型ヒートポンプを採用したカーエアコンは、従来型エアコンより消費電力が60%も少なく、かつ暖房能力は26%も高いとのこと。

すでにイギリスやフランスでは、2040年までにガソリン車やディーゼル社の販売を停止し、電気自動車への転換を促す政策が発表されています。自動車のEV化・電装化が進みはじめている今、目先のリスクが通り過ぎた後に、同社の省エネタイプのカーエアコンが再評価されるかもしれません。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回は①と③からデンソーを見てきました。株式市場は常に「不透明感」を嫌がります。その結果、目先のリスクだけに目がいき、株価が割安な状態で放置されるケースもあります。中長期的な産業構造の変化や会社の強みなどを常にチェックして、「恩恵を受けるはずなのに割安な銘柄」に注目してみましょう。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。