仕事も、お金も、恋も? 「目先の残高は気にしない、最後に帳尻が合えばいい」~CLAS久保裕丈代表インタビュー【後編】

  • お金を語るのはカッコいい・初代バチェラーの人生哲学 / 久保 裕丈

“買わないインテリア”をコンセプトにした家具のレンタルサービス『CLAS』代表をつとめる久保裕丈さん。今回が二度目の起業であり、その合間には初代バチェラーを務めるなど常にチャレンジを恐れない人でもある。ーー「事業も恋愛もギブ&ギブで。すぐに利益は出なくてもいいんです。まずは相手を理解することから始まると思いますね」ーー新事業を語った前編に続き、後編では久保流の「人生哲学」から「恋愛」「お金の価値観」までをうかがった。
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3年に一度は成功体験を捨てる

僕は外資系コンサルのATカーニーを経て、ファッションサイト『ミューズ&コー』を立ち上げました。その後、企業の顧問を務める傍らで『バチェラー・ジャパン』に出演し、今年二度目の起業をしました。

こういった決断をする際に、僕は「定期的に捨てる」ということを大事にしています。物事がうまく回り始める時期、もっと言えば手を抜いても回るようになってしまうと、その後は成長のスピードが鈍化していきます。人が物事に慣れるのは2年から3年。その実体験から「3年に一回くらい、捨てる」ようにしています。

「じゃあ、3年後の『CLAS』は?」、と聞かれるかもしれませんが、単に会社をやめるという意味ではありません。3年経てば「この市場はうまく回り始めたね」といった成功体験が出てくると思うんです。そこに執着せず、僕は新しいことにチャレンジしていきたい。どんな企業であっても5年間同じことを続け、生き残れる時代ではないと思っています。

決断でいえば、もう一つ、ポリシーとしていることがあります。それは「大きな決断であればあるほど考えないこと」。大きな決断ってリスクも大きいですから、考え出したら絶対に「ノー」になるんですよ。だから、大きな決断ほど考えない。メチャクチャ後悔したこともありますが(笑)、失敗したって死ぬわけじゃない。そのくらいの気持ちで、逆に後悔することも織り込み済みで決断してきましたね。

『バチェラー・ジャパン』はさすがにムリだと思った

とはいえ、『バチェラー・ジャパン』の話が来た時は「さすがにムリでしょ!」と思いました(笑)。男性1人に女性25人という設定もさることながらアメリカ版を見てこれはできないな、と。

なのに、出演を決めたのは、日本では初めて製作されるシリーズだったからという理由です。本家とはまた違うものにできる可能性がありました。スタッフには「演出は受け付けませんし、僕のやりたいようにしか行動しません」と言うと、それでもいいと。自分でコントロールできるなら、リスクもある程度ミニマライズできるかなと思ったんです。
もともと僕は「新しいものを作る」ことや「日本で初めて」のことが大好きなんです。親友に話すと「それはウケる!」と言われ、「酒のネタになるなら、それだけで十分じゃないか」とも思いましたね(笑)。

結果として、バチェラーに出演したことで、ミューズコー時代には会えなかったような経営者の方とも会いやすくなり、それが、仕事につながったり。メリットは大きかったですね。

恋愛と仕事って似ているところもあると思います。自分のことを知ってもらうためには、まず相手のことを知ること。バチェラーの時も意識したのは、相手の話を聞き、相手を理解することでした。ビジネスも同じで社長が1人で、「こうしたい」「ああしたい」と一方的に言っているだけでは伝わらないですよね。まず、社員を理解することが先です。

ギブ&ギブの精神が大切なところも共通していますね。『CLAS』で家具のレンタル料をギリギリの金額に抑えているのもそこから来ています。最初は儲けが出なくていい。とにかくユーザーの方だけ向いていれば、後から利益はついてくると思っていて。ユーザーの不満を取り除いてあげられるよう、会社もユーザー本位になる。恋愛でもやっぱり、始まりはギブ&ギブだと思うんですよ。

資金繰りで大ピンチ! 社員の給料が払えない?

前編でも少し触れましたが、一度目の起業の時、人の問題やお金の問題、組織作りでたくさんの失敗をしました。特にキツかったのは「2週間以内にファイナンスを締結し、着金しないと社員の給料が払えない」という時。その頃は経費も出ず、会食や接待も自腹、僕自身の貯金もどんどん減っていきました。社員の給料が払えないかもしれないのに、貯金を会社に貸し付けることもできない。結局、(ファイナンスは)ギリギリで間に合ったのですが、あれは本当に辛い日々でしたね。

けれど、会社を立ち上げると遅かれ早かれ、貯金が目減りするような事態はやってきます。その大変さをわかっていながら、何故、再び起業したのか?

しばらくフリーの顧問としてコンサル業を続け、さまざまな社長と会い、何十社もの経営を見てきました。そうすると、「経営失敗のあるある」も見えてきます。「この会社はこのパターンでうまくいかないんだな」ということもわかってきます。経営の場数をバーチャルに体験することで、僕自身の経営者としてのレベルも上がってきたかなと感じたんです。

一度目の起業で経営者としての失敗はやり尽くしました。同時に、その経験を活かさないのはもったいないなと思えてきて。フリーの顧問なら自由な時間も取りやすいですし、収入面も満足いくものではありました。けれど、僕は、あのヒリヒリした日々が懐かしかった。再び起業したくなったのはミューズコー時代があったからだと思います。

給与は今が一番低い、でも、楽しい

現在の給与は社会人になってから一番低いと思います。だけど、僕は楽しい。給与の絶対額に関わらず、お金の価値観は学生時代から変わっていません。目先の残高がどんどん目減りしようが構わない。最後に帳尻が合えばいい、それくらいの気持ちでいます。
自分で言うのもなんですが、人付き合いでケチったことはないですね。「相手が喜んでくれるなら」とどんどん使ってしまうタイプ。今日もこれから『CLAS』のメンバーにご馳走する約束ですし。プライベートで一番お金を掛けているものも飲食です。

余談になりますが、その甲斐もあって僕は予約の達人になりました。3年待ちのお店でも予約が取れたりするんです。これって、人脈作りにすごく役立つんですよ。大きな会社の社長さんでも「あの店、取れるんだ!」と喜んで会ってくれます。そのお店から信頼されている方にご招待いただいて、その後自分自身でも何度か通ってお店の方と親しくなると、予約を取らせてもらえることが多いです。

プライベートでいえば、美味しい食事はもちろんですが、ストレス解消法として頼りになるのがキックボクシングです。初心者は「もう二度とやらない!!」って思うくらいのキツいスポーツですが、だんだんとそれが良くなってくる(笑)。ジムに行くとトレーナーの方に「久保さん、顔、疲れてますね」って言われますが、終わる頃にはスッキリとした顔になっています。

仕事とは全く無関係なことで自分を追い込むことで、仕事のストレスってリセットされる気がします。ミューズコー時代に資金繰りに困った時も20キロくらい走りましたしね。逆に体力的に追い込まないと潰れそうでした(笑)。だから、走る経営者が多いのはすごくよくわかるんです。

キックボクシングは僕にとって休憩みたいなもの。そこでリセットしたら、仕事に戻り、また、会社の妄想を語り続ける。「消費財がAmazon」なら「耐久財はCLAS」、そういえるポジションを目指し、ユーザー本位のサービスを進化させていきたいですね。