PERで読み解く大塚ホールディングス

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ようやく底打ちの兆しが見え始めた株式市場。まずは基本的な投資指標であるPERなどをチェックして、投資の是非を考えたい局面と言えます。PERは株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

PERを左右する「キラーコンテンツ」

他社にマネできない魅力的な製品やサービスは、企業にとって非常に力強い味方になります。しかし、それは諸刃の剣でもあります。ひとたび、その「キラーコンテンツ」となる製品が作れなくなったり、優位性が失われれば、業績は悪化し、株価やPERの低下要因になることも。今回は、そんな逆境を克服し、新たな成長ステージに入りつつある企業をご紹介します。

case14:大塚ホールディングス

今回取り上げるのは、カロリーメイトやオロナミンCなどでおなじみの「 大塚ホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」です。同社は、大きく分けて4つの事業を手掛けています。中でも、売上の約6割を占める医療関連事業と、カロリーメイトなど日々の健康の維持・増進をサポートする製品を開発・販売するニュートラシューティカルズ(栄養と医薬品から作られた造語)関連事業が大きな柱となっています。

主力製品のバトンタッチ中

大塚ホールディングスは2014年まで、主力製品であった「エビリファイ」という抗精神病薬が年間6500億円もの売上をたたきだし、同社売上高の約4割を占めていました。ところが、2015年に特許切れとなったことで、同じ性能を持った安い医薬品に押され、エビリファイの売上は10分の1近くまで減少。新しい稼ぎ頭の開発が急務となっていたのです。

そんな中、足元でようやく主役級の製品の売上が伸び始めました。それが、”グローバル3製品”と同社が呼んでいる、「エビリファイメンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」です。いままさにこうした主力製品がバトンタッチしている最中であり、これからの売上の伸び次第で、株価やPERも水準が切り上がる可能性があります。

薬にもデジタル革命!?

また、さらにその先の活躍が期待されるのが「デジタル薬」です。デジタル薬とは、錠剤にマイクロチップやセンサーを埋め込み、服用状況がスマホなどでチェックできるようになる薬のことを指します。

同社は世界で初めてこのデジタル薬を実用化し、まずは米国で発売予定とのこと。かつて主力製品だった「エビリファイ」の錠剤を加工し、中に極小のセンサーを埋め込みました。統合失調症をはじめとする精神病は、飲み忘れを防ぐことが症状改善のカギになると言われています。グローバル3製品に次ぐ新しい稼ぎ頭として、今後さらに注目が集まるのではないでしょうか。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①から大塚ホールディングスのPERをみてきました。いまは業種平均程度の水準にある同社の予想PERですが、主力製品交代の進捗と、「デジタル薬」の活躍次第では、大きく水準が切り上がることも考えられます。過去の成功にとらわれず、次々と成長の種をまく企業にこれからも期待したいですね。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。