ゲーム好きな大学生が億り人に・Tyunさんインタビュー【前編】

  • リアル投資家列伝・才能がなくても勝てる!? 「優位性」を生かし30代で資産2億円 / Tyun

ゲームの世界から株式投資の世界へ身を転じる投資家は少なくありません。今回紹介するTyunさんもそんなひとり。ゲーム好きな大学生から億り人へ到達するまでにどんな歩みがあり、ゲーム好きな性格は投資にどんな影響を与えたのでしょうか。自分の投資スタイル選びに迷っている人はぜひ参考にしてください。

麻雀も株式投資も「僕も入れて!」

「最初に疑問に思ったのは小学生の時でした。全面高、全面安って言いますよね。個々の会社の業績や環境は違うのになぜ、一斉に上がったり下がったりするんだろうって」

専業投資家として株式投資で身を立てるTyunさんが、この疑問にぶつかったのは小学生のときだった。早熟な子どもだったのだろうか。

「小さい時からゲームが好きだったんです。麻雀が好きな家庭だったのですが、幼稚園のころから『入れて、入れて!』とせがんでいたそうです。中学生時代には『1ドル80円を割れるかどうか』と賭けをした記憶もあります。そのまま変わらずに大人になってしまいましたね(笑)」

経済に関心を持ったきっかけは祖父にあった。

「新聞を読みながら『あの株が上がった』『下がったか……』と一喜一憂する祖父でした。株価欄を見る祖父の様子はとても楽しそうだった。ゲームをやっているように見えていたのかもしれません。『そんなに楽しいなら僕も!』と、株価欄に自然と目を通すようになりました」

長じても「入れて、入れて!」のマインドは変わらなかった。ひとりで遊ぶゲームより誰かと一緒に遊ぶゲームのほうが好みだったし、高校、大学時代に熱中したゲームも1人でプレイするものではなかった。

運命を変えたゲームタイトル

Tyunさんは1980年代生まれ。高校に入るころにはインターネットが猛烈に普及し始めていた。

「インターネットの登場で知らない人とゲームできるようになりました。あのころ熱心にやっていたのは『エイジ オブ エンパイア』というオンラインゲーム。相手との駆け引きが楽しくて、ハマっていました」

このゲームのジャンルは「リアルタイムストラテジー」。刻々と変わる状況に合わせて行動していくシミュレーションゲームであり、ライバルとなるのはインターネットを通じてつながった世界のプレイヤーだ。

「そこで知り合った仲間とリアルで会ったり、ゲーム以外の話もするようになりました。そこで聞かされたんです、『あのゲームをやっている人の中に株で1億円を稼いだスゴい人がいるらしい』と」

株をやっている人なら誰もが知る有名トレーダーが、たまたま同じゲーム内にいた。

「調べてみると運で勝っているわけではなく、勝てる仕組みを築き、勝つべくして勝っていることがわかりました。やり方次第では自分も勝てるのではないかと」

「入れて、入れて!」とTyunさんも100万円を片手に株式投資に乗り出した。

「最初はデイトレードでしたが、数日で20万円以上が溶けてしまった。おかしい、何かが違うと思って考え方を変えました。1日ではなく数ヵ月間持てるような銘柄、それだけ伸びている会社はないか――そんなふうに考え方を変えたんです」

絶頂からどん底の引きこもり生活へ

当時はまだ大学生。アルバイトをしながらの株式投資だったことが、銘柄選定のヒントとなった。

「当時の仕事先は家電量販店のパソコン売り場。メーカーから派遣されて、さまざまな電気店へ販売応援に行くんです。ケーズデンキやコジマ、ヤマダ電機――。いろんなお店に派遣される中、勢いが違うように感じられたのが ヤマダ電機  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 でした。競合店と比べ人件費が高いわけではないのに社員はよく働くし、メーカーや仕入先の人との交渉もシビア。この会社は急成長するはずだ、と感じました」

販売の現場で得た実感をもとに買ったヤマダ電機の株は短期間で2倍へ上昇した。

「追加入金し投資総額は300万円ほどだったと思います。それが1年弱で約1000万円になった。本当にたまたまです。地合いがよかったおかげだと思います」

デイトレードから始まったTyunさんの投資は、企業の中長期的な成長に期待するスタイルへと転換するかと思いきや、2006年1月の出来事により再び進路を転じることになる。

「そこで起きたのがライブドアショック。300万円ほどの損失を被ってしまいました」

大学生にとって300万円は大きい。とても授業どころではなく、自宅に引きこもる日が続いた。

「敗因は欲に駆られたこと。日経ジャスダック平均が18連騰を記録したり、新興市場全般が堅調だったので新興市場の銘柄でポートフォリオを固めておけば負けないだろう、と甘く見ていました。実際、『寝ているだけで、朝起きたらお金が増えている』という状態だったのですが、ライブドアショックでドーンと来ちゃいました。持ち株の大半が寄りませんでした」

保有期間を短くし市況の影響を避ける

売りが殺到し値がつかないほどの急落。資産もメンタルも傷を追ったTyunさんだったが、転んだままではいなかった。起き上がるヒントとなったのは、先輩トレーダーの収益曲線だ。

「当時は今のようにSNSが発達していませんでしたが、何人か上手な投資家が掲示板に収支のグラフを公開してくれていました。それを眺めていると、勝っている人でも資産のブレが大きい人もいれば安定した人もいる。いろんなタイプの人がいる中で目を引いたのは、毎週プラスにしている人でした。自分もこうやって安定して勝てれば精神的にも楽だろう、と」

めざすスタイルが決まると、次に模索したのが目標を達成するための方法論だった。

「どうしたら毎週勝てるのかと、いろいろ試行錯誤した結果、『ポジションを持っている時間を短くすればいい』という結論に至りました。保有時間が短ければ、ショックが来ても荒波を受けづらくなるし、全体の地合いにかかわらず安定して稼ぐことができるんじゃないかと」

株を始めてから1年、追い風もショックも経験した上でのデイトレード回帰だった。

「ライブドアショックが1月17日。1月中には発想を転換し、スタイルも転換していました」

株式市場ではショックでの下落が大きかった分、リバウンドも大きかった。急落からの戻りを狙ったTyunさんは300万円の損失を1ヵ月ほどで取り返す。

「自分のスタイルはこれだと確信し、大学を辞めて専業トレーダーになることを決意していました」

身内からは猛烈な反対にあいながらもデイトレーダーへと道を定めたTyunさん。日本株市場ではライブドアショック以降もリーマン・ショックや東日本大震災などの逆風が続いたが、ショック耐性を強めたTyunさんは物ともせずに利益を積み重ねていく。

牡牛(英語でブル)の置物。買い(証券用語でブル)の場面では、牛を写真のように起こしておくそう

億り人から1日で転げ落ちる

「嬉しかったのは2008年に『週次無敗』を達成できたこと。リーマン・ショックで日経平均が7000円を割り込む荒れた相場だったのですが、それでも週次では負けることがなかった。あれはすごく嬉しかったですね」

目標に定めたスタイルへの到達だった。さらに4年後、1億円の節目へと到達する。

「ところが、1億円を達成した翌日、500万円ほど負けてしまった。1日だけの億り人です(笑)」

大台へ達したと思った瞬間の転落がメンタルに影響を与えたのか、億を回復するのに半年を要した。

「べつに9000万円も1億円も変わらないんですが、余計な力が入っちゃいましたね」

ライブドアショックをきっかけにして覚醒したTyunさんの資産は現在、2億円へと達した。急落に強いスタイルは今も変わらない。

「先日、ダウ平均が1000ドル近く下げました。あんな日の翌日は日本株市場も荒れやすいので、トレードに力が入ります。普段だと1日の売買代金は3億円程度ですが、荒れた日だと10億円を超えることもあります」

億り人になって変わったこと

億り人となって生活に変化はあったのだろうか。

「さほど変わっていません。大学生の頃から変わったのは……部屋ですね。だんだん広く、家賃の高い部屋になっています。でも結局使うのはトレードルームだけ。投資家特有じゃないですかね(笑)」

Tyunさんが居を構えるのは、都内有数の繁華街にほど近いマンションだ。住まい選びにはヤマダ電機の成功体験以降、大切にしている「自分の実感に正直に」の教訓が関係している。

「インバウンド需要が盛り上がった時には、ドラッグストアに中国人が殺到する様子を目の当たりにしました。また最近は中国人の団体客や爆買いを見かけなくなった。するとインバウンド需要を取り込んで上昇していた 資生堂  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 ポーラ・オルビスホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 などの調整が目立つようになりました。『あのステーキ屋、いつも並んでいるな』と思ったら ペッパーフードサービス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 の株価が急騰しましたし、そういう自分の気付きを大事にしたいので、なるべく都心の近くに住んでいるんです」

普段の暮らしの中で有望な銘柄や投資のヒントを探す目線を取り入れてみると、ポケモンを探すゲームのような感覚で株式投資を楽しめそうだ。