きっかけは「タダ飯」! 働きながら30代で資産3億円を築く方法~会社員投資家・御発注さんインタビュー【前編】

  • リアル投資家列伝・株を「勝負用」と「お得用」に分ける節約家の投資スタイル / 御発注

今回紹介するのは会社員でありながら30代にして億り人へと上りつめた御発注さん。「どんな人ですか?」と投資仲間に聞くと、「投資の手腕もさることながら、それ以上にスゴイ技術を持っている」――。いったいどんな人なのか、FROGGY取材班が直撃しました!

麻酔をかけずに虫歯を削り、治療費を節約する

「社会人2年目のころですかね、食費を削るためにパスタだけを食べていたら、歯が弱ったのか、虫歯が増えてしまったんです。でも麻酔を打つとお金がかかる。歯医者に『麻酔ナシで治療してくれ』と――。虫歯を削るたびにとてつもない激痛が走りました。麻酔代といっても数百円くらい。極端な節約は効率が悪いですね(笑)」

そう振り返るのは、会社員として勤務しながら株式投資で3億円の資産を築いた御発注さん。株式投資を始めてみたいと思いながらも、「元手が乏しくて……」と二の足を踏む人も多いはず。そんな人にこそ、御発注さんの話をぜひ聞いてほしい。

「目的のために生活すべてを犠牲にする――そんな思想が生まれたのは、小学生時代ですね。うちの親がゲームを買ってくれなかったんです。月500円のお小遣いを貯めて自分で買うしかない。お菓子も買わずひたすら貯めてゲームソフトを買いました(笑)」

当時のゲームソフトは1本5000円ほど。10ヵ月でやっと1本のソフトが買える計算だ。

「そんな生活が高校まで続き、大学へ入学してからはアルバイトも始めましたが節約癖が身についてしまった。ある時、大学生協で3000円分のレシートでクジ引きができるイベントがありました。でも、レシートを捨ててしまう人が多い。掃除するふりをして集め、100回くらいクジを引いて自転車や食堂の無料券をもらいました。エコ活動ですね(笑)」

社会人になっても、節約生活は続いた。

「車はお店で買ったことはないですね。1台目はオデッセイ。同僚が乗っていたので、ずっと目をつけていたんです。着目するのは車検のステッカー。車検間際になると乗り換えを考える人が多いので、『どう?』と。中古車店の買い取り価格よりも少し高い値段で売ってもらうんです。同じ手口でフィット、ヴォクシーと乗り換えて、今は小さな車が欲しくなったので軽自動車です」

御発注さんの兄弟に3人目の子どもが生まれたタイミングで『5人家族だと軽だと手狭だよね、ヴォクシーのほうがいいんじゃない?』と交換して獲得したのが、軽自動車のモコだった。

「死なない限りは負けないじゃないか」

「そんな生活だったので、初任給18万円くらいのうち、16万円は貯金していました。光熱費や家賃のかからない寮生活だったこともあって、生活費は年間50万円もかからなかったと思います」

御発注少年の目標はゲームソフトだった。社会人となった御発注青年は何を目標にして節約に励んだのだろうか。

「会社員が向いていないなと思ったんです。毎日決まったことをやるのが苦手だし、朝も起きられない。働きたくないなと思って貯めていたんです。2000万円もあればタイで暮らせると聞いて、とりあえず貯めてみようと」

株式投資を始めたきっかけも、節約が目当てだった。

リンガーハット  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」で食事していたら、株主優待の案内が置いてあったんです。これならタダ飯がもらえる! と気がついて、「 吉野家HD  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」や「 ワタミ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」を買ったのがスタート。最初は投資目的というより節約の一貫でした」

株式投資には資産を減らすリスクもある。節約の哲学に反しなかったのだろうか。

「吉野家の株を20万円で買って、年間6000円分のサービス券をもらえば、利回り3%と考えました。当時は22歳。『利回り3%なら33年もらい続ければもとが取れる、自分が死なない限りは絶対負けないじゃないか』と思ったんです」

節約を徹底する御発注さんが注目したのは、株主優待の効率だった。

「さらに調べていくと株式投資ではPER(株価収益率)という概念があるらしい、と。PERが20倍だと、投資した金額に対して年5%の利益を企業が稼いでいることになります」

PERの逆数は、「益回り」と呼ばれることもある。

「僕が優待銘柄を選ぶ考え方と益回りの概念はよく似ているなと思って、さらに調べていったら、どうやら自分が考えていたやり方は、世間的にバリュー投資と呼ばれていることに気がついたんです」

バリュー投資……現在の株価がその企業の利益水準や資産価値などから判断して割安にあると考えられる銘柄を買い付ける手法。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などを用いて判断することが多い。

タダ飯が目的だった手法は、効率を重視しているうちにバリュー投資へとたどり着いていた。

節約が災いして200万円の損失……!

しかし、順風満帆だったわけではない。

「最初の資金は100万円でしたが、その後は給料の8割くらい、年260万円ほどを追加で入れながら5年目の2006年には2000万円くらいに増えました。これならイケるわと思っていたらライブドアショックがあり、リーマン・ショックがあり――」

2000万円まで増えていた資産は元本割れの1300万円まで目減りしていた。

「自分の考え方が間違えていたのかとも思いました。でも、よくよく考えると僕が株を始めた2002年と状況が同じだと気づいたのです。2002年は市況が悪く、割安度が高まっている時期でした。でもその時期に始めたからこそ、途中まで上手く行っていたのです。当時もリーマン・ショックで市況は最悪で割安株が増えている。むしろ買い場だと思い直しました」

しかし、買い場だとしても元手がなかった。しかも御発注さんには大きなイベントが控えていた。結婚だ。

「結婚式はさすがに節約できません。でも、県民共済の会場で結婚式を挙げてできる限り節約はしました。奥さんに『結婚資金で株、買っちゃダメ?』と言ったら、すごい怒られましたが(笑)」

無事に挙式を済ませた御発注さん。極端な節約生活は少しずつ改めていく。結婚に加えて大きなきっかけとなったのは、2010年に起こした「誤発注事件」だ。

三光マーケティングフーズ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」という会社を5単位買おうと思ったら500単位、約4000万円分も買ってしまった。本来なら資金不足で買えないはずですが、売買手数料を節約しようと信用取引で発注したのが間違いの原因でした。気づいてすぐ売却しましたが200万円ほどの損失に。一生分の節約以上の損ですよね(笑)」

細かな金額の節約にこだわると大きな損失を生じさせるリスクを伴うことがある。ハンドルネームの由来にもなった誤発注事件から、御発注さんは「やるべき節約・やらない節約」を峻別するようになる。

「100円の節約のために20分を費やすようならやらないほうがいいし、一度やれば効果が継続する節約――ポイント還元率の高いカードへの切り替え、スマホ契約の見直しなどはやったほうがいい。節約という行為が、リスクやかける時間に見合うかどうかを考えるようになりました」

「上がれば2倍以上、落ちても半値」なら期待値は高い

リーマン・ショックで激減させた資産も少しずつ回復していく。

「リーマン・ショック以前は、割安銘柄を数単元ずつ25社ほどに分散して買っていました。そこで気がついたのは、分散するとリターンがインデックスに近づいてくるということです」

代表的な日本株のインデックスは日経平均。好調な相場でも1年で2倍、3倍にはならない。

「それでいてショック時には半分へ減ってしまうリスクが残る。だったら、集中投資をして2倍、3倍を狙ったほうがいいと思うようになりました。実際、成功している人を見ても、少数の銘柄に集中投資する傾向がある――」

この気づきを得て、御発注さんは分散型から集中型へとポートフォリオを組み替え、億り人への大きな一歩を踏み出していく。