きっかけは「タダ飯」! 働きながら30代で資産3億円を築く方法~会社員投資家・御発注さんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・株を「勝負用」と「お得用」に分ける節約家の投資スタイル / 御発注

徹底した節約生活の延長で株式投資を始めた御発注さん。働きながらの株式投資で3億円を築いた背景には、御発注流・資産三分法や、買い時の見極め、年1回の「勝負銘柄リスト」の作成など、真似したいノウハウがたくさんつまっていました!
きっかけは「タダ飯」! 働きながら30代で資産3億円を築く方法~会社員投資家・御発注さんインタビュー【前編】を読む

四季報には載っていない成長性をみつけたSHOEI

リーマン・ショック後の相場で多数の銘柄への分散投資に物足りなさを感じた御発注さんは、少数の勝負銘柄へ集中投資するスタイルへと転換していった。

「勝負銘柄で成功したのがヘルメットメーカーの「 SHOEI  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」。ちょうどアベノミクスで株高・円安が進んだころでした。SHOEIは欧州での売上比率が高く、対ユーロで円安が進めば増益が見込める。しかし、当時のPERはそれを織り込んでいませんでした」

御発注さんが頼りにしたのはPER。その計算式は「株価÷1株あたり利益(EPS)」だ。

「PERが5倍の割安株を買おうと思っても、なかなか見つかりません。しかし、SHOEIは円安が進んでEPSが高まるだろうと予想されました。EPSが高まれば将来のPERは低くなります。でも、会社四季報には円安要因による増益については書いていなかった。多くの人は気づいていないだろうと思い、2万株ほど買いました」

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
EPS↑でPER↓

約1200万円分、御発注さん史上過去最高の集中投資だった。

「1年半ほど保有し、3倍近くに上昇したところで売却しました。利益は1500万円くらいだったでしょうか。この経験以降、『会社四季報が予想する将来の売上や利益に対して自分はどう予想するか』と考えるようになりました。多くの投資家は四季報の数字を頼りに将来を考えます。だから、四季報に載っていない成長性や割安度の高まりを見つけられれば負けないだろう、と」

「今のPER」ではなく、「5年後のPER」を予想しながら銘柄を選別していくやり方だ。

「円の重なり」が多い銘柄ほど有望

「それに加えて、銘柄を選ぶときはなるべく多くの材料が揃っている銘柄を選んでいます。SHOEIならば円安という『市況の追い風』があったし、『上方修正期待』も高かった。それによって『割安銘柄』にもなるだろうと思いました。また、配当性向50%をメドにしていたのでEPSの高まりにより『高配当銘柄』になるだろうとも予想されました」

二重カギカッコにした部分は投資家が着目しやすいキーワードだ。バリュー投資家なら3000社以上の上場企業に『割安銘柄』という円を描き、そこに収まる銘柄を買っていくし、決算に注目する投資家なら『上方修正期待』の円の中から銘柄を選別していく。

「より多くの円が重なる場所は、より多くの投資家が着目しやすい。それだけ買われやすいということになりますから、多くの円が重なる銘柄を選ぶようにしています。あとは『時流』という円もありますね。たとえば「 相模ゴム工業  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」はインバウンド需要という時流の追い風がありました」

日本製のコンドームは信頼性が高く中国人にも人気だという。

「マレーシアに工場を建てて増産体制も整うということで、将来のPERを計算して買いました。『時流』や『割安銘柄』などの円が重なったためです。相模ゴム工業は今もポートフォリオの1位です。2位は「 アイ・アールジャパンホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」、あとは「 JBCCホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」「 パピレス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」「 マルゼン  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」「 パラカ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」「 スターゼン  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」――10社には満たないくらいです」

年1回の「勝負銘柄リスト」作成

勝負銘柄となる有望そうな銘柄の発掘は年1回、行なっている。

「毎年10月に『勝負銘柄リスト』を作成し、証券会社のチェック銘柄リスト(※)に登録しておきます。銘柄リストに『数量』の欄があれば、そこを『期待度』に見立て、期待度大なら500、期待度小なら100として記入します」

※証券会社のチェック銘柄リスト……証券会社によっては、気になる銘柄を登録できるページがある

この勝負銘柄リストが即、購入株リストになるわけではない。買うべき時期を慎重に見極めていく。

「売買判断の材料のひとつとしているのが、『25日移動平均線からの乖離銘柄数』です。Yahoo!ファイナンスの株式ランキングで見られるのですが、マイナス25%以上乖離した銘柄が50社を超えていれば買っていい場面、100社超ならさらに資金を投入して買います」

全力で買うのは、200社以上の銘柄が移動平均線から25%以上下に乖離した場面、ショック的な急落を見せているときだ。

「逆のことも言えて、上に乖離した銘柄が50社を超えてきたら、新たに買う場面ではないし持ち株を売っていきます。こんなときは市場全体が好調で、『買えば絶対に儲かる』くらいの雰囲気にもなりがちですが、下落へと転じるのも近いんです」

「御発注流・資産三分法」とは

とはいえ、1銘柄に全資産を投じるような無謀なやり方はしない。御発注さんが参考にするのは、古来からある「資産三分法」だ。

「資産三分法では『現金・株・不動産』の3つに資産を分散しますが、僕は株を2種類に分けて不動産の代わりとしました。目安としては『現金』『勝負銘柄』『高配当&株主優待銘柄』の3つへの均等配分。配当や株主優待目当ての銘柄は今まで通りに広く分散しますが、同時に有望だと思った勝負銘柄に資金を集中させるんです」

勝負銘柄では2倍、3倍のハイリターンをめざし、配当&優待銘柄では節約路線の延長で日々の生活をお得にさせる考え方だ。

「2016年2月ころまでは現金はすべて株を買っていましたが、株価の上昇に連れて割安な銘柄が減り、買いたい銘柄が少なくなってきた。その結果、自然と現金の部分が増え、資産三分法に行き着いたんです」

<御発注流・資産三分法>
①現金
②勝負銘柄
 有望だと思った銘柄に資金を集中。2倍、3倍のハイリターンを目指す
③高配当&株主優待銘柄
 広く分散。日々の生活をお得にすることが主な目的

資産は3億円へ達し、ROAは低下した

2002年から始めた株式投資は17年目に突入した。

「リーマン・ショック以降、年間収支は毎年プラスです。平均すると年18%くらいでしょうか。資産は生涯賃金と同じくらい、3億円ほどになりました。このくらいの資産になると、『ROA』から考えて、辞めてもいいのかなと」

ROA(Return On Assets)は資産に対してどのくらいの利益を稼いだかの比率だ。

ROA(総資産利益率)=利益÷総資産

「資産1000万円、年収600万円ならROAは60%。そんなに高い上場企業はまずないですし、資産6000万円でもROAは10%。これでもほとんどの上場企業よりも高い。つまり、自分の資産が小さいうちは、自分自身がもっとも効率のいい資本だということです」

しかし資産が3億円になれば話は別だ。

「資産3億円、年収600万円ならROAは3%。これ以上のROAを狙える投資先がたくさんあります。僕自身、サラリーマンを続けるのは効率がいいとは言えない状況になっています(笑)」

自分の体が効率よく稼いでくれるのかと自らにも効率を求めるのは、御発注さんらしいところ。しかし、すでに自分が働くのは効率が悪いステージに達していながらも、御発注さんが退職に踏み切れない理由は市場にある。

「株価が高いときに辞めたくないんです。それで痛い目にあった人を見ているので。辞めるとしたら次に来る安値の場面ですかね。もし日経平均が今、1万円を割っていたら、とっくに辞めていると思います」

日経平均1万円割れを条件にしていたら一生辞められない可能性だってある。

「人生の時間はかぎられていますから、日経平均が1万円を割るか、あるいは勤続20年の節目で辞めようと思います。20年を超えると失業保険や退職金も効率がよくなるじゃないですか(笑)」

冗談めかして言うものの、区切りを設けた背景には人生への後悔もある。

「節約生活で積み重ねた資産を奥さんへ還元したい」

「節約生活を続けたことで得られなかった経験もあるんです。お金を使えば積めた経験みたいなものが――。それは今、後悔しているところです。『蓄財全フリ』ではなく、今後はバランスよくやっていきたいと思います」

小学生時代から始まった節約生活で3億円の資産を築いた今、御発注さんは人並みの生活へと回帰しようとしている。

「今の僕があるのは株のおかげ。節約生活だけでは、結婚もできていないと思いますし、こんな自分と結婚してくれた奥さんにも還元していきたいです」

じつは奥さんとの交際時にも株が活躍していた。

エイベックス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」の株を買って、奥さんがファンだった浜崎あゆみのライブを株主総会で見たり、株主優待で映画を見たり食事したり、デートには株を活用していたんです。お金を使わなくても人間らしいデートができたのは株主優待のおかげですね(笑)」

30代にして3億円の資産を築いた御発注さん。株式投資を始めたいと思っても、「勉強しなきゃ、情報集めなきゃ。でも時間がない……」なんて二の足を踏んでしまいがち。そんな人は御発注さんが「タダ飯」目当てで株式投資を始めたように、まずは身近な動機からスタートするのがいいかも!

本記事は、取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。