お金にも働いてもらう! 投資信託のすすめ

  • 3分でわかる・お金に困らない人生を送るためのマネープラン入門 / 竹川 美奈子Noritake

前回、資産形成をしていくうえでは、公的年金や企業の退職給付に加えて、早めに「自分で準備」をしてくことが大切だというお話をしました。
そのためには、「しっかり働く(=本業で稼ぐ)」「無駄な支出をおさえる」ことが大事ですが、それだけではお金は十分に貯まりません。そこで、「貯蓄」に加えて、株式や債券といった金融商品にも投資をして、お金にも「働いてもらう」という発想が必要になってきます。
「第5回老後の資金をどうするか?」を読む

投資はギャンブルではない

日本では、投資というと、「ギャンブルみたいで信用できない」「こわい」「たくさんのお金が必要」というイメージがまだまだ強いようです。投資より預金のほうがお金が減らないので安心、と思っている人もいるかもしれません。でも、お金をすべて定期預金に預けておけば安心とは限りません。もし、モノの値段が上がるインフレになれば、手持ちのお金は実質的に減ってしまいます。

投資というのは、経済や社会の発展にお金を投じていく行為です。株式投資であれば、「将来の投資価値の高まり」に対してお金を投じることになります。その結果、会社が儲かって利益も増えていけば、会社の株価が上がったり、配当というかたちでお金がもらえたりという恩恵を享受できるわけです。

とはいえ、仕事が本業であるみなさんが、日々為替の動向を追いかけたり、銘柄発掘をしたり、複雑な金融商品について調べて「これから何が上がるの?」「何を買ったら儲かるの?」ということを考えて、短期で売り買いするというのは非現実的です。

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世界中の企業に自分のお金を分散し、長い目で育てる

では、どうしたらよいでしょうか。
ポイントは世界中の株に「分散」して投資することです。いまや経済はグローバル化しています。文房具やキッチン用品、そして家電製品にいたるまで、毎日使っているさまざまな商品やサービスは私たちの手にわたるまでにはいろんな国・企業・人の力を経ています。そうした世界中の企業のオーナーになれば(=株を持てば)、それらの企業が生み出すモノやサービスの向上、ひいては企業の価値の向上(=株価の上昇)とともに、恩恵を享受できるわけです。

ですから、日本だけでなく、米国やフランス、オーストラリアといった先進国の会社も、新興国の会社も含めて、世界中の会社に幅広く投資することを意識しましょう。国や地域、情勢によって短期的に特定の株が値下がりすることはありますが、世界経済が成長し続ける限り、長期的には株価は上昇します。

もっとも、世界中の会社に投資するといっても、自分1人で米国のアップルやアマゾン、スイスのネスレという具合に1社1社の株を買おうとしたら、莫大なお金が必要になってしまいます。
そこで、活用したいのが「投資信託」という商品です。投資信託を活用すれば、世界中のたくさんの会社にまとめて投資するこができます。

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投資信託というのはたくさんの投資家から集めたお金を1つにまとめて、それを運用のプロが株式や債券などにまとめて分散投資をする金融商品のことをいいます。一般的に1万円程度の少額から購入することができます。
ただし、気をつけておきたいのは、どんな商品でもいいわけではありません。しくみが複雑で、手数料の高い商品もかなり多く存在します。ライフプランや目的にあった商品を選ぶ必要があるので、銀行や証券会社の窓口の人にすすめられるままに購入するのは絶対にやめましょう。

手数料の安いインデックスファンドを使う

では、世界中の株に分散投資をするという目的では、どんな商品を購入すればいいでしょうか?
まず、資産形成の中心に持ちたいのは「インデックスファンド」という商品です。インデックスファンドとは、たとえば日本株なら、「TOPIX(東証株価指数)」や「日経平均株価」といった代表的な株価指数(インデックス)に連動するよう設計された投資信託です。いわば”市場全体の動き(平均値)”に投資する方法です。確実に平均点をとることを目標とするのが特徴で、市場平均より大きく儲かることはありませんが、大きく負けることもありません。
世界中の株に分散するとなると、分散効果が大きく、手数料が安いインデックスファンドを活用するのが合理的です。

インデックスファンドは日本株以外にも、たとえば、幅広く先進国の株式に投資するものや、新興国の株式に投資するもの、ほかの資産、たとえば、債券やREIT(上場不動産投信=投資家から集めたお金で複数の不動産を購入し、不動産から得られる家賃収入などを分配金の形で投資家に還元する商品)などに投資する商品もあります。そのため、いくつかの商品を組み合わせるだけで、世界中のいろんな資産にお金を分散することができるのです。

たとえば、
・ 日本のTOPIXに連動するように設計されたインデックスファンド
・ 先進国22カ国・約1300社に投資するMSCIコクサイ・インデックスに連動するインデックスファンド
・ 新興国23カ国・約850社に投資するMSCIエマージング・マーケットインデックスに連動する投信
の3本を持つだけで、46カ国の約4000社もの企業の株にまとめて投資をすることができます。

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また、インデックスファンドは低コスト化がすすんでいることも大きなメリットです。投資信託には、購入するときにかかる「購入時手数料」と、保有している間ずっとかかる「運用管理費用(信託報酬)」があります。インデックスファンドを選ぶときには、購入手数料が無料のもの(ノーロードといいます)で、信託報酬がなるべく安い商品を選びましょう。先進国株に投資するインデックスファンドの中には運用管理費用(信託報酬)が0.2%台のものもあります。

「セット商品」を活用する方法もある

ただ、こういったインデックスファンドを自分で組み合わせるのが面倒だという人もいるかもしれません。そういう人には、パッケージ化された「バランス型」と呼ばれる商品を活用するのも選択肢の1つです。
この商品のいいところは、1つの商品を買うだけで、世界の株や債券などに分散投資ができることです。アラカルトで注文するのではなく、おまかせのコースを注文してしまう、あるいは旅行でパッケージツアーを利用してしまうようなイメージでしょうか。
一般的には、運用方針に沿って、「日本株式○%」「先進国株式○%」などとあらかじめ資産配分を決めておき、当初決めた配分比率が崩れたときには、運用担当者が元の比率に戻すように調整してくれる(リバランス)機能も備わっています。
バランス型投信については、以前は保有コストが高いものばかりでしたが、10年ほど前から徐々に手数料の低いものが出てきたり、組み合わせの種類が増えてきたりして以前に比べると使いやすくなってきています。

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確定拠出年金を積極的に利用しよう

投資を行うにあたり、積極的に利用したい制度があります。第5回でも触れた、確定拠出年金(企業型DC、個人型DC)です。
「第5回老後の資金をどうするか?」を読む
この制度のいいところは、支払った掛け金が全額所得控除の対象となることです(企業型は自分が上乗せして払った分だけ)。控除される金額が増えるとそれだけ課税所得が減りますから、その年の所得税や翌年の住民税が安くなる効果があります。
たとえば、個人型DCに加入し、毎月1万円の掛け金を支払うと年間で支払う掛け金の合計額は12万円になります。この12万円はその年の所得から全額差し引けるので、仮に所得税率が10%の人なら、住民税(10%)と合わせると、税金が2万4000円安くなります。これは1年あたりの効果なので、加入年数が長くなるほど、その積み重ねで節税効果は高くなります。

また、利益にかかる税金も免除になります。通常、たとえば、投資信託を解約して利益が出ると、利益に対して約20%の税金がかかります。それに対し、個人型DCの口座で運用すると非課税となるため、複利効果がより有効に働き、長期で運用するうえで資産を増やすのに有利に働きます。
受けとる時は「課税」が原則ですが、運用してきたお金を一時金で受けとると「退職所得控除」、年金形式で受けとるときには「公的年金等控除」の適用を受けることができます。

ただし、原則60歳まで引き出せないので、それより早く使う可能性がある場合は、一般の投資信託積み立てを併用しましょう。

それでは、今回のポイントをまとめておきましょう。

●世界中の株に分散投資をしてじっくり育てるために、投資信託というツールを使う
●インデックスファンドを自分で組み合わせるか、バランス型を活用する
●確定拠出年金を利用する

次回は、低コストのインデックスファンドとバランス型、それぞれのおすすめの商品をご紹介するとともに、投資信託をどのように購入していけばよいかをお伝えしていきます。

「第7回 投資信託で積み立てをするときのポイント!」を読む

投資信託は、銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸経費などをご負担いただく場合があります。また、価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。投資の際には目論見書をよくお読みください。
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