資産10億円を築いたカリスマの現在地~DAIBOUCHOUさんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・リスクから考える銘柄選びのヒント / DAIBOUCHOU

会社員時代に始めた株式投資で資産10億円へ――わずか6年で巨額の資産を築いた個人投資家がDAIBOUCHOUさんです。その銘柄選びの根本にあるのは「割安」。ただし、そこにスパイスを加えることで、株価上昇へより高い期待を持てる銘柄を見つけることができるといいます。
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「投資資金×投資利回り」の公式から読み取れること

「会社員の方にアドバイスしたいのは『投資利回りを高める』だけでなく、『投資資金を増やす』ことにも目を向けてほしいということ。株の利益というのは『投資資金✕投資利回り』です。資金が大きければ利回りが小さくとも生活費をまかなうくらいは稼げる。私も投資を始めたばかりのころは、クレジットカードの引き落としが危うくなるくらいに資金をつぎ込んでいました(笑)」

もちろん生活が第一。借金してまで資金を増やすのは厳禁だが、遊興費を削って元手を増やすのはありかもしれない。

「2013年からは再び日本株に注力しています。以前のような信用取引を活用した取引ではなく、初期のような現物株のみで、割安銘柄に幅広く投資していくスタイルです」

信用2階建てはもう卒業なのだろうか。

「今は専業トレーダーで、家族もいます。資産をゼロにするリスクを背負うわけにはいきません。もしも今、会社勤めで独身だったら? そうであれば、アベノミクスが始まった直後の2013年ころの相場なら信用2階建てで積極的にリスクをとってガッと増やしにいったかもしれないですね」

守るべきものができた今、投資スタイルは大きく変わった。

「これが今のポートフォリオですね――」

そう言ってDAIBOUCHOUさんが見せてくれたのは、企業名がズラッと並んだ保有銘柄リストだった。その数、じつに128社。

「ほぼすべて日本の会社です。私の強みが活かせるのは、海外よりも日本かなと日本株に集中しています。銘柄数は多いですが、上位10銘柄で資金の50%ほどを占める感じになっています」

現在は、2003年から2006年にかけて400万円から6億円に増やしたような「大膨張」はもう狙っていない。着実に増やしていく「中膨張」スタイルだ。

「トランプさんが大統領に就任することで日本株の先行きは強気でいいのかなと思います。オバマさんは『オバマケア』(オバマ大統領が推進した医療保険制度改革)に代表されるように『人への投資』が中心でした。一方で、トランプさんはインフラへの投資姿勢を強調しています。景気、株価にプラスになりやすいのはインフラへの投資ですから、アベノミクス株高のようなことがアメリカで起きるのではと期待しています。米国株が上がれば日本株にも波及しますから」

個人投資家が中小型株を買うべき理由

再び日本株への投資意欲を高めているDAIBOUCHOUさん。銘柄はどう選んでいるのだろうか。

「個人投資家は中小型株をやるべきだと思っています。株式市場には私たちのような個人投資家もいれば、プロの機関投資家もたくさんいます。プロたちは情報もあるし、分析する時間もある。彼らと勝負しようとしても勝つのは難しい。しかし、プロは資金力が大きいので、投資先は時価総額の大きい会社に絞られる。だから、私たちはプロがいない時価総額の小さい中小型株を中心にしたほうが勝ちやすいと思います」

しかし、ソニーや任天堂、トヨタ自動車といった大企業なら私たちにも馴染みがある。時価総額の小さい会社となるとほとんど馴染みがない。

「ソニーという会社のCMをよく見ていて、その製品も持っていても、ソニーのバランスシートを見て分析しているわけではないでしょう。プロはそうした分析を事細かにやっています。ソニー製品を知っているだけの人が付け焼き刃で勉強しても、ソニー分析の第一人者にはなれない。しかし、プロがいない中小型株なら違います。今は名前を知らない会社でも、ライバルが少ない銘柄なら、少し勉強しただけで、その会社の第一人者になれるんです」

不動産業界で働いていたわけでもないDAIBOUCHOUさんが不動産流動化関連銘柄の第一人者となったように、だ。

あえて敬遠されがちな銘柄を狙う

「しかし、アベノミクスが始まってから4年。成長力があり割安な銘柄をシンプルに探しても見つけづらくなっています。そこで意識しているのが『あえて』の銘柄。たとえば、低配当銘柄です。高配当な成長銘柄は人気化しやすいので、すでに値上がりしてしまっている。でも、成長性があるのに配当が低いために敬遠されているような銘柄があります。そうした銘柄なら、まだ割安だし、いずれ配当を増やしてくる期待も持てます」

あえての低配当銘柄狙いだが、もちろんPBRなどで見た株価の割安さや将来的な成長期待を前提にした上での「あえて」だ。

「もうひとつは、あえての不安銘柄狙いですね。成長性はあるのにコンプラ違反(コンプライアンス違反/法律や条令を守らないこと)や不祥事などを起こした会社や悪材料の出た銘柄は投資家から敬遠されます。とくに機関投資家は、もしもその銘柄を買って損をしたら顧客に言い訳できないから敬遠しやすいんです」

そんな銘柄を「あえて」狙っていくやり方だ。

ポートフォリオ上位の意外な銘柄は

「今、私のポートフォリオの上位にあるのがウェッジホールディングスという会社。バイク購入者に購入資金を融資する子会社を東南アジアに展開していて、成長しているんです。ところが、ウェッジホールディングスの役員は以前、金融庁から課徴金納付命令を受けたことがある。その事件が不安視されるせいか、株価が割安に放置されていました」

この「あえて」の不祥事狙い銘柄だと、問題が根の深いものではないかどうか、しっかりと探る必要がある。

「敬遠されがちな銘柄をあえて買えるのも、個人投資家ならではのメリットですよね。私が最初にうまく資産を増やせたのも、一般的には敬遠されがちな業界であったり、不動産流動化のような登場したばかりの業種に対しても色眼鏡をかけずに見ることができたからだと思います」

一般的には敬遠されそうな業種であったとしても、そうした業界の中には、割安成長銘柄が眠っているかもしれない。自分の嗜好はいったん忘れて、銘柄を探してみるのもよさそうだ。

割安さが改善される材料が隠れていないか?

「それが難しいと思うのなら、まずはPBRが低い銘柄から始めるのがいいと思います。低PBRのまま放置されている会社を調べてみて、何か見直し買いが入るきっかけ、たとえば規制緩和であるとか成長事業だとかがないかを探してみる――そんなやり方はいかがでしょうか。今はスマートフォンもあり、銘柄も調べやすくなっていますから」

といってiPhoneを取り出したDAIBOUCHOUさん。

「株式投資には欠かせません。いいなと思うレストランがあったら、上場しているかどうか、すぐに調べることができるし、株仲間とのオフ会で銘柄を聞いたら、これで過去の業績を調べてみる。よさそうなら、すぐに発注もできます。実際、メモ代わりに指値注文を入れておくこともあるんです。機種ですか? iPhone 6s Plusです。投資に使うなら通常のiPhoneではなく画面の大きなPlusのほうが見やすいですから」

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「みんなはなんで株で儲けられないんだろう?」

「人生の70%をDAIBOUCHOUとして生きてきた」だけあって、スマホ選びも株優先だった。最後に、DAIBOUCHOUさん、株って儲かりますか?

「もちろん人それぞれでしょうが、私がオフ会などで顔をあわせる株仲間はみんな儲かっています。苦戦している人の話を聞くと、反対に『なんで儲からないんだろう?』と思う部分もあります。私の交友関係は経験が豊富で株が好きな人が多くて、そういう人は、情報収集だけでなく、ツイッターやブログなどを通じた情報発信にも積極的です。いま苦戦している人は、自分から情報を発信したり、仲間をつくって話し合うのもいいですよね」

DAIBOUCHOUさんもツイッターを行なっている。自ら情報を発信すれば、自然と同じような関心を持っている人とのコミュニケーションも活発になるはず。株式投資を始めたら、一緒に情報を発信してみてはどうだろうか。

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