建設現場を支える会社

会社近くのカフェでランチを食べるユイとタカシ。企業研究の勉強に目覚めたユイは、自分が見つけた面白い企業について、経済通のタカシに報告したくてたまらない。タカシはユイからランチに誘われてうれしいのだが、2人の気持ちはすれ違って……?!

タカシ

たまにはこういうおしゃれなところで食事するのもいいね! 僕が選ぶと、いつもラーメンか定食になっちゃうから。ユイはこういうお店詳しいし、今度夜ごはんにもちゃんとしたレストランに行こうよ。そろそろ、僕たちも安いお店ばかりじゃダメな歳になってきたよね。

ユイ

そんなことより、今日は最近の企業研究で気になっている銘柄の話をしたいの。いま、一番気になっているのは建機の「 コマツ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」なんだけど。

えっ、いきなりそんな話? しかもコマツって、超ベタな……。

ベタって、どういうこと?

ブルドーザーや油圧ショベルなどの建機を製造・販売するコマツは、日本の製造業でいち早く「IoT(モノのインターネット)」の考えを取り入れて、大躍進した。2001年から2007年まで社長を務めたカリスマ経営者の坂根正弘さん(現・相談役)が、建機にGPSやセンサーを搭載し、位置情報、稼働状況がわかるようにしたんだ。「KOMTRAX(コムトラックス)」というシステムは、建機オーナーの保守管理を楽にし、コマツにとっては機械の盗難防止や債権回収に大いに役立った。いまでいう「ビッグデータ」活用のはしりとして、よく紹介されるエピソードだね。僕は坂根さんのことを尊敬していて、講演を聞きに行ったこともあるよ。

なんだ、コマツの話は有名なのね……。

コマツがすごいのは、IoTを進化させ続けていること。コムトラックスの考えをさらに発展させ、「スマートコンストラクション」という工事の工程を生み出した。これは現場でドローンや3Dスキャンを使って土地を測量し、3次元化した施工図面をもとに、自動制御された建機が工事を行うというもの。機械の力を借りて初心者でも作業できるとあって、高齢化・人手不足が急速に進む工事現場の問題解決にもなる。コマツの建設・鉱山機械のシェアは世界2位で、売上げの8割以上は海外だ。日本が世界に誇る、ものづくりの未来を担う会社だよ。

私が考えてきたこと、全部言われちゃったわ。

あ、ごめん! 他にはどんな企業に注目しているの? たとえば、コマツつながりで建設関連とか。

大成建設  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」はどう? 2020年の東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の施工業者に認定されたし、国内の大手建設業の1つだわ。

徹底的に、ベタな切り口だなあ。

えっ?!

大成建設は確かに、東京五輪の話題でよく取り上げられる。これはもちろん大仕事だけど、大成建設がいま重要視しているのは、海外の成長を取り込むこと。もともと大成建設は、140余年の歴史の中で、海外市場の開拓に積極的な会社だった。莫大な資金を投入し、完成まで時間がかかる建設事業の海外展開は大変で、低迷した時期もあったようだけど、最近はまた東南アジアや中東などのプロジェクト受注に力を入れている。ベトナムの首都ハノイのノイバイ国際空港の新ターミナルを手掛けるなど、成果も着実に出ているよ。

そうなんだ、いまやゼネコンも国際化の時代なのね。

時代とともに会社も変化していく

まあ、少子高齢化で国内の需要がこれから縮小するのが現実だからね。業界大手の一角を担う「 清水建設  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」も、アジアを中心としたインフラ需要を取り込もうとしている。現在1割程度の海外売上比率を2割に伸ばすことを目標に、人材育成に積極的に取り組んでいるよ。清水建設は海外だけでなく、深海や宇宙にまで市場を広げようとしているユニークな会社だ。「月太陽発電」とか「深海未来都市構想」とか、SFみたいにワクワクするプロジェクトをたくさん掲げているんだ。

ゼネコンって硬いイメージがあるけど、そうでもないのね。

どの会社も国内の需要減に対する危機感があるからね。未来に向けていろんな方法で変わろうとしている。時代に合わせた変化といえば、「 日立造船  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」が面白い。この会社、いまはもう船を造っていないんだ。

そうなの? 名前に思いっきり「造船」ってついているのに。

日立造船は1881年、幕末の英国人貿易商E・H・ハンターが大阪鉄工所として創業した。洋式捕鯨船やタンカーを日本で初めて建造するなど高い技術力を持ち、いったんは日立製作所の傘下に入るんだけど、戦後に独立。民間造船所として高度成長期まで順調に成長した。でもここから、プラザ合意以降の急激な円高、韓国・中国勢の追い上げと、日本の造船業にとって苦難の時代が始まってしまう。そのとき、日立造船はなんと会社を残すために造船事業から撤退することを決めたんだ。2002年、旧NKK(現JFEホールディングス)の造船部門を統合し、ユニバーサル造船を設立するかたちで造船事業を分離。老舗大手の英断は、「陸に上がった造船会社」と言われ、ニュースになったらしい。

本業をばっさり切るなんて、確かにすごい決断だわ。つまり日立造船は、いまは「日立」でも、「造船」でもない……。一体、何の会社になったの?

日立造船は、トンネルを掘るシールド掘進機の製造を1960年代から行い実績を積み上げるなど、造船以外のビジネスにも積極的に取り組んでいた。環境ビジネスにも着手していて、1996年に日本初のスーパーごみ発電を稼働させるなど、新たな技術に挑戦していたんだ。造船事業からの撤退後、ヨーロッパの老舗メーカー・イノバ社を子会社化し、ごみ焼却施設で世界のトップメーカーとなる。いまは環境・プラントを主力に、インフラから精密機械までさまざまなものを扱い、建設業界にも貢献する会社になっているよ。

まさに、時代とともに変化しているのね。

インフラの問題もITの力で解決

建設に関わる意外な会社といえば、「 NTTデータ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」もそうだな。

NTTデータって、いわゆるシステムインテグレーターよね。クライアントの課題解決を、ITを使った仕組みをつくって手助けする。もちろん、建設会社が顧客になることもあるでしょうけど。

実はいま、日本で大きな問題になっているのが「公共インフラの老朽化」。高度成長期に整備された道路や橋などのインフラが老朽化して更新の時期を迎えているのに、財源が足りない。2012年に起きた中央自動車道の笹子トンネルの天井大崩落事故など、実際に事故も起きていて、喫緊の課題となっているんだ。そこでNTTデータは、「BRIMOS®」というシステムで、橋の要所にセンサーを付けて状態を監視し、インフラを予防保全することを提案した。劣化の早期発見だけでなく、災害時に被害状況をリアルタイムで把握する手段としても注目され、国内のみならず海外でも使われている画期的なシステムなんだ。これからはインフラも、「ITで管理する」時代になっていくと思うよ。

高度成長のころのようにお金をどんどん使うんじゃなく、技術でカバーする。とても賢いやり方ね。

あ、もうこんな時間。次の企業取材に行かなきゃ!

結局、いつもと同じね。タカシ君が一方的にしゃべって、全然私の話を聞いてくれない……。せっかく勉強したのに。

!! ご、ごめん!

いいわよ、私はゆっくりお茶飲んで行くから。さっさと取材に行けば?

こういうとき、どうすればいいの? とにかく、もう行かなきゃ!

また仕事でね! 当分、ランチには誘わないから!

本当にごめん! 機嫌直して!

別に怒ってないわよ。じゃあねっ!

いや、絶対怒ってるよね……。

今回のテーマで取り上げた上場企業

コマツ
大成建設
清水建設
日立造船
NTTデータ

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