第3回 投資信託はどんなものを買えばいいの?

前回、投資信託はこわくないというお話をしました。ひとくちに投資信託といっても、販売されている商品は6000本以上もあります。なかには、高度な金融技術を使った複雑なもの、手数料がとても高いものなどもありますが、みなさんが資産形成を考えるときに活用するのは、なるべく低コストで、シンプルなものがいいでしょう。
「第2回 投資って危なくないの?」を読む

知っておくべき2つの運用スタイル

まず、知っておいてほしいのは、投資信託には「パッシブ運用」と「アクティブ運用」という2つの運用スタイルがあるということです。

パッシブ運用というのは市場の平均的なリターンを追求する投資手法のことで、その手法をとりいれた代表的な商品が「インデックスファンド」です。
インデックスファンドというのは、目標とする指数に連動するような運用成績をめざす投資信託のこと。指数というのは、ある市場の全体の動きを反映するようにつくられたモノサシのようなもので、日本株なら、「日経平均」や「TOPIX(東証株価指数)」などが代表的なものです。ほかにも、アメリカの株式であれば、NYダウやS&P 500といった指数などもありますし、アメリカだけでなく、フランスやイギリスなど日本を除く先進国22カ国の株式市場をカバーする指数などもあります。
こうした指数に連動するように設計された投資信託を総称して、インデックスファンドといいます。インデックスファンドは、目標とする指数の変動がそのまま投信の運用成績につながります。たとえば、TOPIXに連動するタイプのインデックスファンドであれば、TOPIXが上がると、インデックスファンドの価格(基準価額といいます)も上昇し、TOPIXが下がるとインデックスファンドの価格も下落します。

これに対して、アクティブ運用とは、目標とする指数(日本株ならTOPIXや日経平均株価)を上回る運用成果をあげようする手法で、「アクティブファンド」はその手法をとり入れた投信のことをいいます(目標を持たずにひたすらいい成績をあげることをめざすものもあります)。調査担当者が個別の会社を分析したり、運用担当者が市場を分析したりして、将来成長しそうな、あるいは企業価値に対して割安で将来値上がりしそうな会社などに投資を行います。

つまり、アクティブ運用の投信はプロたちが「ほかの人に先駆けていい銘柄を探し出そう」とするのに対して、パッシブ運用の投信は「市場全体と同じくらいの収益を出せればいい」という方針で運用しています。

こうした説明を聞くと、アクティブ運用のほうがよさそうに思えた方が多いのではないでしょうか。しかし、よい成績をあげようと頑張るアクティブファンドのうち、長期的にインデックスファンドを上回る投信は少数です。アクティブファンドはインデックスファンドに比べて手数料が高いこと(=運用成績の足をひっぱる要因になる)や、短期的にいい成績を上げられても長期にわたっていい成績を上げ続けるのが難しいというのがその理由です。一部には長期的にいい成績をあげるアクティブファンドも存在しますが、それを事前に見分けるのがむずかしいという問題もあります。

手数料の安いインデックスファンドを選ぼう

ですから、資産形成の中核として投資信託を活用するのであれば、インデックスファンドをおすすめします。理由は2つあります。

1)分散効果が高い
ひとつ目は分散効果が高いことです。第2回でも触れましたが、長期でリスクをおさえた運用を行うには世界中の株式などに分散投資をすることが大切です。
インデックスファンドが運用目標とする指数は、多くの場合、たくさんの会社で構成されています。たとえば、TOPIXに連動するインデックスファンドを保有すると、東京証券取引所第一部に上場する約2000社の企業の株にまとめて投資を行うのと同じ効果があります。インデックスファンドを保有することで、手軽に分散投資を実行することができるわけです。

インデックスファンドは日本株以外にも、幅広く先進国の株式に投資するものや、新興国の株式に投資するもの、ほかの資産、たとえば債券やREIT(上場不動産投信=投資家から集めたお金で複数の不動産を購入し、不動産から得られる家賃収入などを投資家に還元する商品)などに投資する商品もあります。そのため、いくつかの商品を組み合わせるだけで、世界中のいろんな資産にお金を分散することができます。

たとえば、
・ 日本のTOPIXに連動するように設計されたインデックスファンド
・ 先進国22ヵ国・約1300社に投資する「MSCIコクサイ・インデックス」に連動するインデックスファンド
・ 新興国23ヵ国・約850社に投資する「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動する投信

の3本を持つだけで、46ヵ国の約4000社もの企業の株にまとめて投資をすることができるのです。

海外の株に投資する方法としては、先進国と新興国にまとめて投資ができる、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円換算ベース)」に連動するインデックスファンドを持つという選択肢もあります。この場合は、2本のインデックスファンドを組み合わせるだけでOKです。

2)手数料が安い
2つ目は手数料の低さです。得られるリターンは不確定ですが、私たちが支払う手数料は決まっています。とくに投信は、商品をつくる人、売る人、管理する人など、関係者がたくさんいるため、株式投資などに比べて手数料は高めですが、インデックスファンドは相対的に手数料が安くなっています。

投信にかかる手数料はおもに2つあります。まず、投信を購入するときにかかる「購入時手数料」。これは銀行や証券会社といった販売会社に対して支払う手数料です。スポーツジムに例えると、入会するときに支払う入会金のようなものです。インデックスファンドの場合は、ネットで購入すると購入時手数料がかからないものもあります。

そして、スポーツジムの会費にあたるのが、「運用管理費用(信託報酬)」です。入会金は一度支払えばおしまいですが、会員でいる限り、会費はずっと払い続けますよね。それと同じで、投信を保有している間、ずっと払い続けるのが「運用管理費用」になります(運用会社、販売会社、信託銀行にそれぞれ支払われます)。

投信の資産残高に応じて年率〇%という率が定められていて、毎日、毎日、差し引かれています。みなさんが目にする投信の1万口あたりの値段(基準価額)は、この運用管理費用が差し引かれたあとの数字なのです。保有中にかかる手数料は運用成績を押し下げる要因のひとつなので、同じカテゴリーの商品同士なら、安いほうがベターです。

インデックスファンドの「セット商品」もある

このように、インデックスファンドには、「分散効果が高い」「手数料が安い」という2つのメリットがあることがおわかりいただけたと思います。
とはいえ、日本株、先進国株、新興国株というように、複数のインデックスファンドを自分で組み合わせるのは面倒だという人もいるかもしれません。そういう人には、いくつかのインデックスファンドがパッケージ化された「バランス型」と呼ばれる投資信託を活用するのも選択肢のひとつです。
この商品のいいところは、ひとつの商品だけを買うだけで、世界の株や債券などに分散投資ができることです。アラカルトで注文するのではなく、おまかせのコースを注文してしまう、あるいは旅行でパッケージツアーを利用してしまうようなイメージでしょうか。
バランス型投信については、以前は保有コストが高いものばかりでしたが、2007年頃から徐々に手数料の低いものがでてきたり、組み合わせの種類が増えてきたりして以前に比べると使いやすくなってきています。

それでは、今回のポイントをまとめておきましょう。

●「パッシブ運用」「アクティブ運用」という2つの運用スタイルがある
●インデックスファンドのメリットは分散効果が高く、手数料が安いこと
●資産形成の中核にはインデックスファンドを活用する
●インデックスファンドがパッケージ化された「バランス型」も選択肢のひとつ

次回は、忙しい人でも時間や手間をかけずに投資信託で行える「積み立て」についてお話していきます。

投資信託の基準価額は、組入れられる有価証券の値動き、為替変動等により変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本は保証されているものではなく、投資元本を割り込むことがあります。投資信託ごとに手数料等及びリスク等は異なりますので、投資を検討される際は、目論見書またはお客様向け資料等をよくお読みください。お問い合わせは、SMBC日興証券株式会社までお願いします。