初期投資4000円ではじめた民泊ビジネスで成功するまで〜鶴岡真緒さんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・資金ゼロからの民泊ビジネス / 鶴岡 真緒

グローバルな「民泊」仲介サイト・Airbnbの存在を知り、自分の部屋をインバウンド(訪日外国人観光客)に提供した鶴岡真緒さん。その面白さにのめり込んだ彼女は、気がつけば東京や京都で多数の施設を運営。しかも、「民泊」以外にもいくつかの収入源を確保しているそうです。
初期投資4000円ではじめた民泊ビジネスで成功するまで〜鶴岡真緒さんインタビュー【前編】を読む

五輪後も「ゲストハウス型」は可能性無限大

瞬く間に「民泊」の第一人者となり、「Airbnbの母」とまで形容されている鶴岡さん。アパートや古民家などを1棟丸ごと借りる「ゲストハウス型」での運営に力を入れている。民泊新法が国会を通過すると「ホームステイ型」の年間営業日数は180日が上限となる公算が大きいが、簡易宿泊所の許可を受けた「ゲストハウス型」にはこうした制限がないからだ。

「本当に『ゲストハウス型』は、無限の可能性を秘めていると思います。あくまで2020年の東京オリンピックは通過点にすぎず、その後もインバウンドは何度でも日本を訪れるはずですから。実際、私の部屋を利用してくれるゲストの2割程度はリピーターです。来てみたら想像以上に日本がよかったので、すっかり気に入って再び訪れてくれるわけです」

それなりに資産を保有している人なら、「ゲストハウス型」の運営は「民泊」以外のビジネスチャンスももたらしうるという。

「たとえば自分が所有しているビルを1棟丸ごと宿泊施設として提供したら、そこを訪れたゲストが思わぬ商談を持ちかけてくることも考えられるでしょう。日本を訪れる外国人の多くは、それなりに資産を持つ人たちです。しかも、自分で飛行機のチケットを予約し、Airbnbで部屋を予約して来日しているわけですから、行動力があって思考も柔軟。ゲストと接しているうちに、意外なビジネスの話に発展していっても不思議はありません」

外国人との交流は子どもの情操教育にも◎

とかく日本人は初対面の相手に対して身構えてしまいがちだが、海外の人々は押し並べて気さくで積極的にコミュニケーションを交わそうとするーー。これは、今まで数々のゲストと交流を深めてきた鶴岡さんが改めて痛感していることだ。何人ものゲストから、「真緒が私の国を訪れた際にはぜひわが家に泊まってね」と声をかけられているが、それらはけっして社交辞令ではないのだ。だからこそ、「民泊」を通じて知り合った外国人との間で別のビジネスの話が進むことは十分にありうると鶴岡さんは考えている。

さらに、「民泊」はお金以外にも無形のリターンをもたらしてくれるという。

「本当に楽しくて自分自身の人生観が変わってきますし、子どもの情操教育にもオススメだと思います。私の娘はゲストたちとの交流を通じて英語がとても上達しましたし、海外にも非常に興味を抱くようになりました。とにかく、最初のうちは外国人が一様に朗らかで楽しそうなことに驚いていましたね。そして、日本ではなくカナダの高校への進学を決めて、昨年4月から留学しています。『ママの側にいるとどうしても甘えちゃうし、もっと海外の人と接したいから』と自分から言い出したんです。わが娘ながら本当にいい子に育っていると痛感していて、私が彼女になりたいほどです」

「民泊」を起点に好循環を描いていく人生

「民泊」が想定をはるかに上回る副収入をもたらしたばかりか、鶴岡さんと彼女の長女の人生まで大きく変えていったわけだ。外国人をわが家に泊めたことを機に、2人の人生がより好ましい方向へと順回転を続けているようにも見受けられる。

「昨年は4月と9月に1ヵ月間ずつ、娘の留学先のカナダを旅行してきました。格安航空券なら4万円前後でカナダと日本を往復できますし、現地での滞在はAirbnbを通じた『民泊』だから1泊3000円ぐらいで済んでしまううえ、ホストの一家がドライブに連れていってくれることも!」

鶴岡さんいわく、「働くことが人生のすべてじゃない」。本業をこなしつつ「民泊」でも大忙しの彼女だが、それは完全に楽しみの範疇で、自分自身が大好きなことを存分にやっていたら、結果的に収入まで増えていたといった感覚なのだろう。

「とかく日本人は働くことに美徳を感じ、ひたすら一所懸命にがんばるけど、心に余裕のない人が少なくありません。現に、外国人のような笑みを浮かべている日本人はあまり見かけませんから。たまに美味しいものを食べたりお酒を飲んだりしながら現実から逃避し、ちょっとだけストレスを発散している程度にとどまっているのではないでしょうか。でも、私はもっともっと人生を楽しみたい。人が大好きだから『民泊』を続けたいし、そのよさをより多くの人に知ってもらいたいんです」

本業と「民泊」を含めて複数の収入の柱

もちろん、鶴岡さんが人生を満喫しているのは、本業以外にも、しっかりと収入を確保しているからだ。実は、それは「民泊」によるものだけにとどまらないという。

「私はシングルマザーであるからこそ、収入に関して”複数の柱”を持つように心掛けてきました。民泊以外にも、著書を出してセミナー講師をやったり、投資をしたりしています」

当然ながら、鶴岡さんが投資に充てているのはあくまで余裕資金だ。「あなたのお友だちをたくさん連れて帰ってね」との期待を込めて、お金にお金を稼いでもらっているのだとか。彼女はさらりとこう口にしたが、まさに投資の本質を突いた言葉である。

「私たちの親の世代は、ずっと同じ会社に勤めながらお給料の一部を預貯金にせっせと貯めていけば、それだけで十分なお金を蓄えられました。そして、自分たちがそうだったから、子どもたちの時代にはそういった環境がもっとよくなっていくと信じ込んでいました。だけど、現実にはそうではなく、今のうちに何らかのアクションを起こしておかなければ、将来がとても不安です。もはや、特に手を打たなくても何とかなるような世の中ではありませんから」

パワフルな人生を送る鶴岡さんのように”複数の柱”を持つのは並大抵ではないだろうが、誰しも多かれ少なかれ将来のことには不安を抱いているはず。せめて1本か2本ぐらいは、収入の柱を持っておきたいものだ。そして、積立も含めた投資こそ、万人にとって最もその近道だと言えるのではないだろうか。
鶴岡さんは、全国に出向き、セミナーや個人相談にも乗っているそう。興味があれば、ぜひこちらの話も聞いて欲しいとのことだ。