利益を出すクリエイション〜女子大生社長・ハヤカワ五味インタビュー【後編】

  • お金を語るのはカッコいい・起業して気づいた「お金の本当の魅力」 / ハヤカワ五味

小さな胸を「シンデレラバスト」と命名し、世間の話題をさらったランジェリーブランド『feast』の仕掛け人・ハヤカワ五味さん。ファッションブランドやメディアを運営する「現役女子大生起業家」として知られるハヤカワさんも現在大学4年生。会社を経営しながら、就職活動に取り組んでいるそうです。そんなハヤカワさんが気づいた「お金の本当の魅力」、そして気になる今後について語ってもらいました。
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私が就活先の社長なら、私は採らない

——現在は就職活動の真っ只中だそうですが、どうして就活を?

就活は、元々する予定ではいたんです。それに、実際にインターンが活発な時期になると周りの友だちが忙しくなり、遊んでくれなくなったので、自分もやりはじめました。ただ、起業家として普段採用活動をしている立場で見て、「自分を採用するか」といえば、絶対しないだろうな、という結論に至りつつあります(笑)。

——どうしてですか?

私は「会社を経営しながら働く」っていう前提でエントリーしているのですが、採用側からすれば、たとえ私の方がスキルのある人材だったとしても、専業で仕事に没頭してくれる人材を雇いたいはずなんです。

それに会社としても、後で回収する見込みで新卒を2、3年教育するわけなんですが、後々自分の会社の経営に注力するかもしれない私のために、そのコストを払ってもらうのが申し訳なくて。

——就活ではよく「採用する側の目で見ろ」なんて言われますが、ハヤカワさんは文字通り“起業家目線”なのが面白いですね。

「今年中には新規に3、4人採用して、来年はもっと採りたいな」って電車で考えながら、面接に向かってますからね(笑)。

でも、一発目に満を持してエントリーした某社には、エントリーシートの段階で落されました(笑)。しかも、なぜか二回も不採用通知が来たんです。きっとこういうプロセスで、就活生は病んでいくだろうなって勉強になりました。

——そうやって客観視できるのも、就活がダメでも、自分の会社があるからでは?

そういう「余裕」があるのも、就活には、良くないんですよね。それに、エントリーシートで落とされたのは悔しいですけど、その会社には、株主として関わってみようかな、と企んだりしています。

——と、いいますと?

その会社の株価をチェックしたら、実は今、結構安かったんです! だから、このご時世、社員としてじゃなくて株主として会社に関わるのもアリなのかもなあと(笑)。

お金は稼ぐより、巡らす方が断然面白い

——就職活動での気付きもあった今、一番の関心は?

やっぱり、もっと自分のビジネスをスケール(事業拡大)させていくことですね。「小売業は売上が1億円を超えないと、まったく話にならない」と言われ続けてきたので、ひとまずそのハードルを来年度中にはクリアしたいと思っています。

——デザイン、プロデュース、経営など、いろんな才能を活かしてビジネスを成功させているハヤカワさんですが、どの手段でお金を稼ぐことが一番面白いですか?

自分はデザインやマーケティングが得意だと昔は思っていて、好きなのはマーケティングやブランディングの領域ですね。でも、自分でも意外なんですが、最近は経営が特に楽しくて、もしかしたら結構向いてるのかもなあと思います。「雇用を生み出す」のはめちゃくちゃ面白いし、なにより「お金が動いている感覚」が好きですね。

最近株を始めようとしているのも、トレーダーとして稼ぐことが目的ではなく、好きな会社にお金を出しておくことで、そこでお金をまわしたいと思っているからなんです。勿論自社にも増資などはしたいですが。「お金を稼ぐ」って実は一方的なことで、今はいかに社会の中でまわすかということに関心があります。

——お金を「稼ぐこと」より、「巡らせること」に興味が移ったのはなぜですか?

お金を巡らせる方が、「アクシデントが起きる確率」が高いんです。私、人生にアクシデントがないのは、つまらないと思っていて。仮に、自分が傷つくことがあったとしても得るものがありますし、何かしらのイベントがあってほしいタイプなんです。何もないことの方がよっぽど怖いから、お金を動かしたり、自分自身も動き回っているんですよね。

つまり、私にとってのお金は、アクシデントやイベントを起こす力のあるモノなんです。お金を巡らせることで、いいことも悪いこともあるけど、何か「変化」が生まれる可能性があるという意味では、お金は好きですね。

服を買うのは、人生のイベントへの先行投資

——巡らせるためにはまずお金を稼ぐことが、必要ですよね。ハヤカワさんは、誰から利益をもらえると嬉しいですか?

満足して買ってもらったお客さまはもちろんですが、もっと“遠くにいる人”を意識しています。私たちの商品を身にまとったお客様のことを「キレイだな」「カワイイな」と思って、心を動かされた人から、お金をもらっている気持ちが強いですね。

服のおかげでお客様自身の仕事がうまくいった、服がきっかけで出会いがあって、結婚できた。そんな人生の先にあるイベントごとへの“先行投資”として、私たちがお金をもらいたいと思っています。

経営では、社員だけでなく、お客様も育っていくことを重要視しています。お客様が“いい女性”になられて、年収が上がる。それで私たちのブランドに使うお金が増えれば、それって最高じゃないですか?

——まさにWIN-WINの関係ですね!

本音を言えば、他のブランドと比較して、私たちのお客さんの平均年収だけが、ぶっちぎりの「伸び率」であってほしい(笑)。そうしたプロセスで生まれた利益を受け取るのが、一番気持ちいいと思います。

——就職ではなく会社経営を選び、お客さんの人生に向き合ったビジネスで利益を出すことを目指すハヤカワさん。最後に、今後の目標を聞かせてください。やっぱり、「上場」でしょうか?

女性最年少上場を目指すのも面白いかなと思った時期もありました。でも、今はむしろ、そういう起業家を育てる側になる方にも興味津々です。

——お金を巡らせる側の発想ですね。

そうなんです。とはいえ、そうした立場になるためにはまだまだビジネスで利益を出して、お金を持たないといけない。会社の未来については、売却がいいのか、上場がいいのか、それとも上場せずに続けていくのがいいのか、うーん……今はまだ判断できる段階ではないです。でも、とりあえず「上場できるぐらいの利益」は出すつもりです!

——そんなスケールの大きなことを女子大生起業家は考えながら、エントリーシートを日々書いているわけですね(笑)。

そうなんです。そして、いきなりエントリーシートだけで落とされてるんだから、面白いですよね(笑)。