利益を出すクリエイション〜女子大生社長・ハヤカワ五味インタビュー【中編】

  • お金を語るのはカッコいい・起業して気づいた「お金の本当の魅力」 / ハヤカワ五味

小さな胸を「シンデレラバスト」と命名し、世間の話題をさらったランジェリーブランド『feast』の仕掛け人・ハヤカワ五味さん。今では、ファッションブランドやメディアを運営する「現役女子大生起業家」として知られるハヤカワさんですが、はじめは会社を作るつもりはなかったそうです。起業後、未成年なのにまとまったお金を得て、そこから生まれた“ユニークな親子関係”について語ってもらいました。
利益を出すクリエイション〜女子大生社長・ハヤカワ五味インタビュー【前編】を読む

法人化したのは、利益が出てしまったから

——高校時代からタイツを販売していましたが、ブランドの立ち上げは大学入学後だったそうですね。

高校時代は美大の受験に全力で、予備校にも3年間ずっと通っていました。タイツの場合は、一度デザインを作って、卸先などとの連携さえ取れれば、残す作業は発注だけ。でも、一番受験勉強を頑張っている時は週7日、1日7時間ぐらい予備校にいる生活だったので、発注すらも大変で……。だから当時は、受験が終わったら、絶対にブランドを立ち上げて自由にやるぞ、と思っていましたね。

——それで立ち上げたのが、ブランド「GOMI HAYAKAWA」ですね。

そうです。美大の2次試験が終わった瞬間から、ブランドを立ち上げる作業を始めました。そのブランドで最初に作って、初めて展示会で発表したのがあの赤い服ですね。今、改めて見ると……なんでこんな色なんでしょうね(笑)。

——その後、胸の小さな女性のためのランジェリーブランド「feast by GOMI HAYAKAWA」、そして、株式会社ウツワを起業されたわけですが、事業に必要なお金はどこから?

最初は、全額自己資金です。30万円からのスタートでした。法人化したのは、2015年1月なので、大学1年生の冬。私自身、ブランドは作りたかったけど、実は法人にするつもりはなかったんです。でも、利益が出てしまったので、仕方なく……。

——利益が“出てしまった”って、どういうことですか?(笑)

法人化する前に、下着のブランドを立ち上げて、3回販売しました。それで売上が1000万円、利益が300万円ぐらい出たんです。すると、私は結構ぼんやりしていたのですが、周りに早く法人化した方がいいと言われて法人化したんです。

——利益300万円なんて、大学生が扱うには、かなりの“大金”では?

実感は、正直あまりなかったです(笑)。「ウン万円以上の大金を扱えるかどうか」は、人によって大きな違いがあると思うのですが、私はそのあたりの感覚がぶっ飛んでいる自覚があります。仕事であれば100万円を扱うのだって平気ですが、それが私生活になると100円のお菓子でも結構悩みます。100円と100万円を動かす時の気持ちに、そこまで大差はないようにも思うんですよ。

——いや、それは全然違うと思うのですが……。

たぶん、お金に対する考え方が、“ドラクエのゴールド“みたいにゲームのポイントみたいな感覚なのかしれないですね(笑)。

はじめての融資は、未成年のころ

今はさらに、創業当時よりも大金を扱うようにもなっています。例えば、うちの会社は国の公庫から融資をいただいています。

——ご両親の反応はいかがでしたか? 大学に行かせた娘が、いきなり売上1000万円で利益が出ているから法人化した上に、融資を受けて事業展開するなんて……ちょっとした「事件」だと思うのですが?

法人化している学生さんは、親が協力的で背中を押してくれていたり、そうでなくても放っておいてくれるケースが多いように感じるのですが、我が家はまったくそんなことはない、ごく普通の一般家庭なんです。

公庫から借りる時も、まだ未成年だったので、親からの印鑑がどうしても必要で、とっても困りました(笑)。

——未成年だったんですね(笑)。

そうなんです。親に特に説明もせずに「ここ、印鑑押しといて」と書類を渡したのですが、さすがに怒られましたね(笑)。「なんで国からお金を借りるの? 今すぐ返しなさい!!!」って怒られたので、とりあえず意味もなく「ごめんなさい!」って謝りました。まだ借りてないのに、「私が貸すから、早く返しなさい!」という勢いだったので、「そうじゃないんだよ」と説明するのが大変でしたね。父も普通のサラリーマンだったので、「資金の融資を受けて、ビジネスをスケール(事業を拡大)させる」イメージが両親は持てなかったのかもしれません。

——しかしその後、さらに高額な融資を受けたわけですが、この件に関しては……。

もちろん、言ってないです(笑)。2回目の融資は、もう成人していたので、親の承認も不要でした。高額な融資を借りたなんていうと、親に勘当されちゃいますよ(笑)。

親にスマホ代を出してもらうことが、自分への“戒め”

——ハヤカワさんの年齢だと、一般的に金銭面で親に一番世話になるのは「学費」だと思いますが、学費の負担は親ですか? ご自身ですか?

学費は、親です。私は親とそんなに仲良くないので、親には「学費払ってくれないなら、絶対大学やめる!」っていつも言ってるんです。最近でこそ大学楽しいですが、入学当初はなんで毎日課題と仕事に追われているんだ……って感じだったので。ただ、家賃その他はもらっていません。そのため法人化して実家を出てからは、家賃削減のためにオフィスに住んだり、人の家に転がり込んだりしていましたね。だから今、私が親から出してもらっているお金は「学費」と「スマホ代」だけです。学費と同じノリで、「スマホ代出してくれなかったら、絶対連絡しない!」と親には伝えています。

——学費はともかく、スマホ代は起業家のハヤカワさんからすれば、小さな額では?

確かに、今なら払ってもいいかなと思うんですけど、そんな関係性でも残しておかないと、めったに実家にも帰らないので、本当に実家との縁がなくなるように思うんです。だから、「お金を出してもらっておくこと」が、親子として繋がりを保っておくひとつのコミュニケーション手段になっていますね。

あと、スマホ代でも払って貰わないと、完全に「親と同じ目線」になってしまうのが、娘としては良くないとも思っています。

——と、いいますと?

会社として売上も立っていて、会社以外での稼ぎもある程度あるので、このまま順調にいけば、数年後にはきっと父親の年収を超えると思うんです。というか超えたくて。もし、そうなった時に、自分がどう振る舞えばいいのか分からなくなるんじゃないかな、と。だから、スマホ代を出してもらって「養われている感覚」を持つことは、私にとって”戒め”の意味もあるんです。

——な、なるほど……。でも、養ってもらう感覚を持つためにもらうお金が「お小遣い」でも「カードの請求」でもなく、「スマホ代」というのがなんだか象徴的ですね。

そうなんです。私は、中学入ったらすぐにモバゲーができた“パケット世代”。今みたいに、「データ通信の上限を超えると低速になる」なんてことはなく、ただ高額なパケット請求が親に届き、その度に「何でこんなに高いの!」と怒られていました。そんな思春期を過ごしたんで、親子関係といえば“ケータイ代”なのかもしれません(笑)。