小ワザの積み重ねで億を達成~JACKさんインタビュー【中編】

  • リアル投資家列伝・情報力を活かす投資術 / JACK

NTT株の上場をきっかけに投資を始めたJACKさんですが、株式投資を始めてから10年以上、IPOとは無縁の投資を行なってきたといいます。IPOとの“再会”は2002年。ある銀行株での巨額含み損がきっかけでした。
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500万円の含み損、自暴自棄で始めたIPO投資

大学卒業後は飲食店や予備校講師などを経て、サラリーマンとなったJACKさん。投資に費やせる時間は限られていたが、資産は順調に増えていった。

「投資の世界では10戦10勝とはいきません。勝率は6割もあればいいと割り切って、仕事と両立できる範囲でやっているうちに資金は1000万円を超えていきました。実力というよりは地合い(相場の状態)のよさ、運もあったのでしょう。その証拠に1000万円を超えるまで、ロスカット(損切り)の習慣をキチッと身につけていませんでしたから」

本格的に投資を始めてから約10年、JACKさんは初めて大きな損切りを迫られることになる。

「ある都市銀行の株でした。経営危機がささやかれて売り叩かれていました。しかし、自分の印象としては体力もあるし、サービスも悪くない。多少下がることはあっても潰れることはないだろうと、株価が100円を割れるまでナンピン(買い下がり)していたんです。しかし、株価は一向に回復しない。400万円、500万円と含み損がふくらんでいきました」

損切りすればコツコツと積み重ねてきた数年分の利益が吹き飛ぶ、とても切れない――。

「そんな葛藤を抱えていた中、営業マンから聞いたのがシンプレクス・テクノロジー(現シンプレクス)のIPOだったんです。当時、IPOに関してはまったくの無知で、必要資金は20万円弱だという。それくらいの金額なら最悪ゼロになったとしても、『500万円の損失が520万円になるだけだ』と自暴自棄に近い感覚で申し込みました」

20万円弱の投資が100万円になった

シンプレクス・テクノロジーが上場した日の昼休み、JACKさんの携帯が鳴った。

「営業マンからでした。『JACKさん、シンプレクス・テクノロジーの初値、99万9000円ですよ!』と。言われるがまま投資した20万円があっという間に約100万円になった。IPOはこんなに儲かるのかと関心を深めるきっかけとなりました」

NTT株のIPOから始まったJACKさんの株式投資は15年後、シンプレクス・テクノロジーのIPOによって大きな転機を迎えた。

「2つのIPOが私の人生を大きく変えてくれました。いちばん最初の株の元手となったのはNTT株の利益です。もしもNTTのIPOが不調だったら、今株をやっていないかもしれません。また、シンプレクス・テクノロジーのIPOが不調に終わっていたら、IPO投資を継続していないかもしれません。IPO投資は私の収益の7割、8割を占めています。IPOがなければ、ここまで資産を増やすことはできなかった」

さまざまな機会を捉えて収益を狙うJACKさんだが、もっとも比重が大きいのはIPO投資だ。

「今でこそ少し検索すればIPO投資の情報はたくさん出てきます。しかし、私が興味を持った2002年ころはまだ情報が乏しかった。苦労して見つけたのが、とある掲示板でした。IPOに詳しい人が集う掲示板で、私にはチンプンカンプンな書き込みばかりでしたが、オフ会が開催されるという。知り合いはいないし、怪しい人がいるかもしれない。ギリギリまで悩みましたが、行くことにしました」

恐る恐る参加したオフ会はJACKさんに大収穫をもたらした。

IPO獲得のために使う小ワザ

「投資関係のオフ会には怪しいものもありますが、私は運がよかった。どんなIPOが狙い目なのか、どうしたら人気のIPOが買えるのか、教えてもらうことができ、その後の投資効率が格段に高まりました」

2017年1月から3月までの間に新規上場した会社は27社。27社のIPOについて、公募価格に対して初値がどのくらい上がったかを調べてみると平均104%の上昇となっていた。つまり27社すべてのIPOを買って初値で売っていたら、それだけで資金は2倍となっていたことになる。

ただし、IPOは欲しい人が誰でも買えるわけではない。公開される株数が決まっていて、欲しい人がたくさんいれば買えない人も出てくる。誰が買えるかは、証券会社ごとに抽選や裁量などによって決められる。それ故、IPO投資では「どうやってIPOを獲得するか」が大きなテーマとなる。

「IPO株はまず証券会社ごとに配分されます。そのあと、各証券会社が自社の割り当て分を抽選や裁量によって希望する投資家に配分していく。こうした仕組みですから、ひとつの証券会社だけでなく2社、3社と多くの証券会社で応募したほうが、もらえる確率は高まります」

主だった証券会社にはひと通り口座を開設しているJACKさん。証券会社によっては複数の支店で口座を開くこともあるという。

JACKさんの人生を変えたというIPO。いま募集中のIPOをチェックしたり、複数の証券会社で口座を開いて、IPO投資にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

1000円の手土産で錬金術

「多くの口座で申し込むのは大前提です。私は大手証券会社だけでなく、地域に根ざした地場の証券会社にも口座を開設し申し込んでいます。猛者になると、『今回は東海地方の証券会社に口座を開いてこよう』と、口座開設のために全国を渡り歩く人もいますよ(笑)」

耳馴染みのない地場の証券会社の扉を叩いて口座を開設するのは、さすがに敷居が高いかもしれない。最初は大手証券会社の窓口で口座を開設してみてはとJACKさん。

「IPOは完全抽選ではありません。誰に配分するのか、営業マンにある程度の裁量が任される証券会社もあります。その場合、取引の多い人ほど有利になってきますよね」

となると、初心者にはノーチャンスなのか。

「そうでもないんです。初心者でも営業マンと丁重に接して『この人は今後いい付き合いができそうだ』と感じさせれば、IPOを回してもらえるかもしれませんよね。私なんか、『出張に行ってきたんで』なんて、ちょっとしたお土産を持ってくこともありますよ。お土産をもらって悪い気分になる人はいませんし、もしそれでIPOが買えれば1000円、2000円のちょっとした出費が10万円の利益に化けるかもしれませんから」