小ワザの積み重ねで億を達成~JACKさんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・情報力を活かす投資術 / JACK

「他の有名投資家が持っているような必殺技が自分にはない」と話すJACKさんですが、引き出しの多さでは随一。IPO獲得の小ワザや夜間にのんびりできる「イベント投資」、株主優待の意外な活用法に「返報性の法則」など、今回もさまざまな引き出しを開けてくれました。
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家族みんながIPOでハッピーになればいい

IPO獲得のためならば労を惜しまないJACKさん。ネット証券で申し込むと同時に、営業マンを介した対面取引での口座も駆使している。そこでJACKさんが駆使するのは「返報性の法則」だ。

「もし相手に何かをしてもらったら、『じゃあ次は自分が返さないといけないな』と感じますよね。これが返報性の法則です」

投資信託の販売ノルマで困っている営業マンに泣きつかれたら少額でも買う。その営業マンは『この間助けてもらったから、次のIPOでお返ししようか』と思ってくれるかもしれない。これも、JACKさんが駆使するIPO獲得のための技のひとつだ。

「投資信託はほとぼりが冷めた頃に売却すればいいし、それが気まずいなら、日本株の投資信託を買うと同時に先物で売って価格変動のリスクを抑えられる、といった手もあります」

初心者が実戦しやすい、当選確率UPのための小ワザもある。

「IPOを始めるなら家族で同時にやるのがいいですよね。自分だけでなく妻、子ども、両親と5人みんなで口座を作って申し込めば、それだけで当選確率は5倍です。自分が外れても誰かが当たればハッピーですよね」

当選したIPO株はどうするか。上場初日の初値で売却してしまう人も多いが、JACKさんは少し違う。

「基本的には私も初値で売るようにしていました。ただ、2005年には上場初日のジェイコム株で誤発注によりストップ安となる事件がありました。そうした事件に巻き込まれたくないので、寄り付き(前場の始値)で成行売りするのではなく上場初日の昼休みに売るように変更しました」

IPOへの応募は会社からの帰宅後にできるし、売却するのも昼休みでOKとなれば会社員にもマネしやすい。

「宝くじを買うのにはお金が必要ですが、IPOを申し込むのは無料。しかも宝くじよりもIPOのほうが期待値ははるかに高い。申し込まないのは損だと思います」

「株のディスカウントセール」を利用する

IPOをメインにするJACKさんだが、他にも多くの投資手法がある。

「株式市場ではさまざまなイベントが起こり、投資チャンスが生まれます。IPOもそうですし、似たものに『立会外分売』があります」

立会外分売とは、取引時間外(立会外)に株を売り出す制度だ。個人投資家の株主を増やしたいときなどに利用される。立会外分売は夜に情報を見ながらゆっくり申し込めるから、兼業の人でも取り組みやすい。

「立会外分売では、市場価格よりも数%ディスカウントされた価格で買うことができます。10万円の株が3%ディスカウントされて9万7000円で買えたりするんです。IPOと同じく抽選となることも多いのですが、兼業投資家は注目すべき制度だと思います。立会外分売を行う会社の中には、将来の東証1部昇格を睨んでいるようなところもあるからです」

東証2部と東証1部では上場基準が異なる。そのひとつが株主数。東証2部なら800人以上の株主数でいいが、東証1部だと2200人以上が必要となる。

「そのため、『今は株主が少ないけど、近い将来、東証1部への昇格をめざしているから立会外分売を使って株主を増やそう』なんていう会社が立会外分売を利用することがあるんです。将来的に東証1部への昇格が発表されれば株価は上がりやすいですし、そんな会社の株をディスカウントして買えれば非常に有利ですよね」

立会外分売を行うすべての会社が東証1部昇格をめざしているわけではないが、「この会社はなぜ立会外分売を行うのだろう」なんて注目して、有望な会社があったら狙ってみるのもよさそうだ。

ポストがパンクするリスクを秘めた「端株優待」

「株主優待もいいですよね。ただ、私も経験したことでもあるのですが、あまりに多くの優待銘柄を保有するとポストがパンクしそうになるので要注意です(笑)」

多くの優待銘柄を買うには当然、資金も多く必要になるのだが、ここでもJACKさんならではの小ワザがある。

「『単元未満株取引』など、通常よりも小さな単位で株を買える仕組みがあります。通常、株主優待は1単元(取引単位)以上が基準ですが、中には100株が1単元なのに1株保有でも株主優待がもらえるような会社があるんです。『端株優待』ですね」

端株とは1単元未満のこと。こうした端株優待を利用すれば、通常よりも少ない資金で優待を受け取ることができる。

「ただし、どの会社なら端株でも優待がもらえるのかは、口コミやインターネットなどから自分で調べないといけないので手間がかかるかもしれませんね」

興味のある人は調べてみよう。

「また、人気のある優待銘柄ならば、権利確定日の直前に慌てて買うのではなく2、3ヵ月前から仕込んでおくと安く買いやすいですし、もし直前になって優待をもらうより売ったほうが得だなという水準まで上がってきたら売ってしまってもいい」

カエル先生の一言

株主優待内容は各社の投資家向けwebページで見ることができる。ただ、まとめて複数の会社の優待を比較したいときは、インターネットにあるまとめサイトや、証券会社の検索ページで探すのが便利。

兼業だからといって不利になることはない

チャートよりもIPOや立会外分売、株主優待などイベントに着目するのがJACKさんのやり方。こうしたイベントは事前に予定がわかっているから、会社員でも取り組みやすいはずだ。

「私は、平日の夜に立会外分売などの情報を証券会社のホームページで確認し、週末にマネー誌などを見て株主優待などの情報を確認するといったルーチンです。今はスマートフォンやタブレットもありますから、通勤時間にも情報を獲得しやすくなっています。兼業だからといって不利だということはありません。兼業ならではの稼ぎ方をすればいいだけだと思います」

小ワザのデパートであるJACKさん。全部をマネするのは大変かもしれないが、自分のできそうなところから少しずつ取り入れてみてはいかがだろうか。