99%の人は、まだ「情報革命」の凄さを理解していない!【前編】

  • お金を語るのはカッコいい・バラエティ・プロデューサーが語る未来のお金 / 角田 陽一郎

『さんまのスーパーからくりTV』『金スマ』『オトナの!』など、数々の番組をヒットさせてきたバラエティ・プロデューサー、角田陽一郎さん。「面白いとは何か?」を考え尽くしてきた男が、いま最もエキサイティングだと感じているのが「情報革命」だ。未来を大きく変える革命が、すぐそばまでやってきている。

とてつもない「変化」を僕たちは目にする

みなさん、僕の話の前にまずこの動画を見てください。

びっくりしませんか? 天体のイメージが覆されますよね。教科書に出てきた太陽系って、惑星が同じ軌道をぐるぐる回っていました。でも実際はそうじゃなくて、宇宙をらせん状に移動している――。

時間は、一度過ぎたら戻って来ない。それはみんな知っているけど、実は空間も同じなんです。地球が同じ場所に戻って来ることは二度とない。1年経ってまた春が来ても、それは同じ春じゃない。「いま、ここ」は、まさに一回限りなんですね。

紹介が遅れました。バラエティ・プロデューサーの角田と言います。これまでTBSで、『さんまのスーパーからくりTV』『金スマ』や、YouTubeで視聴できる『オトナの!』といった番組を作ってきました。僕のことは知らなくても、番組を通して僕の仕事を知っているという方は、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。

僕は子どものころからジャンルを問わず、なんでも興味がある人間でした。知的好奇心がすごく強くて、エッチな深夜番組を見ることも数学や歴史を勉強することも、同じくらい「おもしろい!」と感じる雑食人間です。TBSに入社したときも、「バラエティは“多様な”という意味だから、いろんなことができるだろう」と考えて、バラエティ番組制作を希望しました。

「おもしろい!」って、ただ笑えることだけじゃない。知的な刺激を受けたり感動したり、「すばらしい」という意味もふくめて、僕は「おもしろい!」と表現します。そして、自分が感じる「おもしろい!」を1人でも多くの人に伝えようと、日々奮闘しています。

そんな僕がいま、いちばん「おもしろい!」と思っていること。さっき見た動画みたいに、常識を覆すスケールでこれから起きること。
それが、「情報革命」です。

いやいや、そんな……。情報化社会とか、いまさら? ネットの未来とか、聞き飽きたよって顔していますね。でも、その変化がどのくらい大きくて、未来の自分たちにどのような影響を与えるのか。本当に考えたことがあるでしょうか。

これから起きようとしている変化は、人類史に残るとてつもないものです。スマホがちっちゃくなったとか、カメラの性能があがったとか、そんなうわべの話じゃありません。

「産業革命」よりもでっかい変化がやって来る

未来学者のアルビン・トフラーが『第三の波』を出版したのは、1980年。彼はその中で、人類はやがて「農業革命」「産業革命」に続く「情報革命」を目にするだろうと予言します。

「農業革命」とは、人類が農耕を始めたこと。この革命によって、人類は狩猟に頼る生活から、自らの手で食糧を作り出しコントロールできるようになりました。「産業革命」は、歴史の授業で習いましたね。人類が機械を使い始めたときのことです。モノづくりの効率が圧倒的に良くなり、大量にモノを生産できるようになりました。

どちらも人類史に残る変化です。われわれの祖先は食べ物を育てて増やし、機械を使って必要なモノを作れるようになりました。そのおかげで、過酷な自然から身を守り、生物界で圧倒的に優位な立場を獲得したのです。

そして、現代の「情報革命」。トフラーは、情報化の波によって人類はもう一度大きな社会システムの変化を体験すると、予言しました。

僕がトフラーを知ったのは、中学生のころ。テレビで紹介されているのを見て、現実味のない話だなあと思った記憶があります。「またまた~、革命とかいえば視聴率を取れると思って」と、斜に構えるませたガキでした。

でも、現実は予言にどんどん近づいています。1990年代に入ってインターネットが普及し、2000年代に誰もがスマホを持ち歩くようになり、現在ではAI(人工知能)が囲碁の勝負で人間に勝ち、仕事を任されるほどの進化を見せています。

情報革命は、本当に起きている。

今日までの変化を観察しながら、僕は考えました。情報革命は、かつての産業革命よりもすごいのではないか。なぜなら、農業革命は生きていくために「モノを生み出す進化」ですが、産業革命は、機械の力によって「モノを生み出す進化」を効率的に進めただけです。すばらしい効率化ですが、あくまでモノに価値があるという意味では、農業革命の延長線上でしかない。でも、情報革命はモノではなく、情報という「目に見えないコト」に価値をおいている。

情報革命は、モノからコトに軸足を置き換える「概念の革命」です。これは人類が歩んできた長い歴史の中で、初めて体験する変化といえるでしょう。

「お金」だってなくなるかもしれない

農業革命や産業革命のような大きな変化があると、社会の“システム”が更新されます。パソコンに新しいOSをインストールするようなもので、新しい機能が加わり、古い機能は使えなくなるのです。

たとえば農業革命では、人が集まって農作業をするために「村」ができました。やがてそれらは、「国」にまとまっていきます。共同体に集う人々を統率するための「宗教」「思想」が生まれたのもこのころです。産業革命では、労働者を束ねる「会社」ができました。さらに、彼らをコントロールするために、資本主義などの「イデオロギー」の概念が発展しました。
では、情報革命では何が起きるのか。

まず、「会社」のあり方が大きく変わるでしょう。いま、やりたいことがある人はクラウドファンディングで資金を集めたり、SNSで手伝ってくれる仲間を募集したりできます。必ずしも会社に属さなくても、プロジェクトを興せる時代。会社という組織は、「あり方」を変えていくと思います。もしかしたら、新しい概念の集団が誕生するかもしれない。

実は僕、会社組織に属するのが苦手でして。TBSは大好きでがんばってきたのですが、とうとう2016年末に辞めてフリーになりました。なぜ、会社が苦手なのか。バンドでたとえると、「ギターが10人いて、誰が一番うまいかを競わせている」のが会社だと思うんです。それで順位が下だと、ライブにも出させてもらえない。そういう競争に巻き込まれるのが、会社員の宿命だと感じてきました。

僕はずっと、現役としてギターを弾き続けたい。だから、フリーになって、いまは一緒に番組をつくる仲間を集めているところです。「ギター弾けます。ドラムとベースとボーカルができる人を募集」って、昔の『ぴあ』(雑誌)に出ていたみたいな……。あ、話がそれましたね。

会社だけではありません。「お金」という概念すら、情報革命によってなくなるかもしれないと、僕は考えています。これまでは生産者と消費者をつなげるものは、市場でした。そこにモノが運び込まれ、売買される。相手は見知らぬ人だから、信用を担保するために「お金」を使ってきました。

でもこれからは、インターネットでどんどん人がつながる時代です。たとえば、ミュージシャンがインターネットで楽曲を発表して、その返礼として「リンゴが食べたい」と言います。それを見ていた農家が、喜んでリンゴを差し出す。ミュージシャンは「1リスペクト」みたいな、感謝をあらわすポイントを農家にあげる。こういう貨幣を介さないモノの交換が、どんどん増えていくのではないでしょうか。

会社やお金という、現代の僕たちが社会のインフラだと思っているシステムが崩れていく。これって、まさに「革命」ですよね。そして、僕が関わるメディアも、いま大きな変化の渦中にあります。次回は、その話をしましょう。