芸人の夢破れ億トレへ〜むらやんさんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・芸人、ビジネスマンを経て気づいた株式投資の魅力 / むらやん

お笑い芸人、営業マン、そしてデイトレーダーと歩んできた、むらやんさん。最近ではセミナーや動画チャンネルの開設、テレビ出演など取引以外での活躍も目立ちます。暇つぶしにと始めた株式投資は今、むらやんさんにとってどんな存在になっているのでしょうか。
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「なんとなく」から始まった12年間

デイトレーダーとして成功を収めているむらやんさん。株式投資での成功が新たな夢となったのだろうか。

「とくに『株で食っていく!』と決断したことはないんです。なんとなく始めた株で失敗して、もう少しやってみようと続けてみたらお金が増えるようになった。それ以降は日々の繰り返しで12年が過ぎた、という感じです。多分、株を止めるときって、資金がどうしようもなく減ってしまったとか、これ以上お金を減らしたくないというとき。それまでは多分、トレードを続けるんじゃないですかね。今までの12年間はたまたまそんな日が来なかっただけで」

デイトレーダーでは持ち前の社交性や企画力が発揮される場面は少ない。そこに葛藤はないのだろうか。

「会社を解散したとき、人間関係がとても重かったんです。『会社をつくるぞ!』と仲のよかった優秀な営業マンを誘ったのに、思ったように儲からない。申し訳なくて、『解散しよう』となかなか言い出せなかった。『早く言わんと』と『よう言わんわ』が交錯して毎日胸の苦しい思いをしました。トラウマなのかもしれないですね、人と絡んで仕事をするというのが」

株式市場が開く9時から、場が引ける15時までがむらやんさんの勤務時間となる。トレード中、仲間とチャットすることはあっても決断するのは自分。孤独な仕事だ。

「それがいいんです。しがらみがないですから。人をひっぱって云々することに対して、今でも苦手意識が残っています。株仲間との交流? それは利害関係がないから楽ですよね。個人投資家って、ひとりひとりが社長みたいなもの。交流はあっても、誰かが誰かに頼ることはありませんから、気を遣うこともない。いい環境で楽しませてもらっています」

「工業高校をギリギリ卒業したのに投資できた」

デイトレーダーとなって12年。自身は変わらなくとも、周囲は変化を求めるようになってきた。ひとつはセミナーなどへの出演機会の増加だ。今や、「日本でもっとも露出の多いデイトレーダー」といってもいいだろう。

「株ってハードルが高そうなイメージがありません? 僕自身、あったんですよね。たくさんお金がないとできないとか、知識がないとだめとか。でも、僕は工業高校をギリギリ卒業しているようなやつで、しかも成績はビリ。アホな僕でも株ができるんですよと。それを伝えたいんです。あとは、もともと芸人をめざしていたくらいなので目立ちたがり、出たがりですから(笑)」

そこで伝えているのは、実際に自分が悩んだこと。

「僕が初心者のころ、株の本を読んだのですが、どの本にも『マイルールをつくることが大事』とは書いてあっても、ルールのつくり方は書いていなかったんです。僕自身もそこで迷ってしまったので、初心者の方と話すときはルールのつくり方まで話すようにしています」

たとえばデイトレーダーの必須ルールである「損切り」について。自身の経験からこう説明していく。

「取引を始める前に、この取引でどのくらいの利益が見込めるか、大ざっぱにイメージする。『今、この株を買えば15分後までに30万円の利益になるだろう』とイメージして取引するなら、含み損が見込める利益の30%、つまり9万円に達したら損切りしようというのがマイルール。株価が動かずに15分を経過したときも決済します」

デイトレ依存から脱却、IPO投資への挑戦

むらやんさん自身の取引スタイルも変化へと向かっている。

「取引の時間軸をデイだけでなくもう少し長めに2、3日とか1週間持ち越すようなスタイルにも挑戦して、経験を積んでいこうかなと。僕の友だちは5億円、10億円と稼いでいても常に上をめざしている。そんな彼らが今も熱心に勉強しているのだから、だらけていられないですよね」

模索する新たなチャンレジのひとつがIPO(新規公開株)や、PO(公募、売り出し)だ。

「対面口座も開設しているので、たまに担当さんから電話がくるんです。『こんなIPOやPOがあるんですけど、買いませんか』と。提案されたものはすべて買ってみたらどうなるだろうかと、今、実験中です。この半年くらいは不調ですが、トータルはプラス。今まではオンラインの取引がほとんどでしたが、担当さんと真剣にお付き合いすれば、担当さんも真剣に向き合ってくれる。いい感じのシナジーがありますよね」

職業欄に「個人投資家」を加えたい

寄り道を繰り返しながらたどり着いたデイトレーダーで12年間の経験を積み、むらやんさんには新たな目標ができた。

「デイトレードだけでなく、もっと長期でやっている人も含めて、投資で生計を立てている個人投資家って苦労が多い。クレジットカードや銀行口座をつくるとき、家を借りるとき、職業欄に書くことがないんです。個人投資家やデイトレーダーって社会で認知されているわけではないですよね。だから、僕がいろんなところに出ることで職業欄に『個人投資家』の項目ができたらいいなと思うんです」

「むらやん? あぁ、あの人のおかげで職業欄に『個人投資家』って加わったよね」――そんな日がくるかもしれない。

「そのために株の布教活動をがんばるという。自己満ですけどね(笑)」