芸人の夢破れ億トレへ〜むらやんさんインタビュー【中編】

  • リアル投資家列伝・芸人、ビジネスマンを経て気づいた株式投資の魅力 / むらやん

お笑い芸人への道をあきらめ、2番目の夢だったビジネスでの成功も挫折、ニート状態のむらやんさんが思い出したのは証券口座の存在。操作マニュアルにしたがって人生で初めての株式取引を経験し、デイトレーダーとしての一歩を踏み出していきました。しかし、その歩み、決して順調なものではなかったようです。
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親友と一緒に見よう見まねのスタート

「最初は株ってどうやって買うんかな? と思いながら、証券会社の操作マニュアルの手順どおりに操作しただけでした。本当に買えるやん! となり、それから頻繁に取引するようになりました。たまたま親友も同じようなタイミングで株を始めていたんで、彼の家に行って、あーでもないこーでもないと話していましたね、ド素人2人で(笑)」

いざデイトレーダー! なんて意気込んでスタートを切ったわけではない。知識も経験もない中での取引で、苦戦するのも当然だろう。

「それで、2人でキャッキャッ言いながら3ヵ月ほど取引していたら、彼は資金が尽きやめてしまいました。僕も資金が半分になって、これはきついなと。でも、他にやることもなかったし、就職する気にもなれなかった。もう少しやってみようかなと。株への好奇心ですね。本腰を入れたのは、それからです」

その株を「買う理由」を探した

当初500万円あった口座資金は3ヵ月で250万円に。次の失敗は投資からの撤退を意味する。ここからむらやんさんは本気になった。

「最初は完全に適当。何も考えず、思いついた銘柄を買う、下がるから売るの繰り返しだったんです。そこで、まずは『買う理由』を探してみようと思いました。ひとつの銘柄を集中して監視する。朝にどんな動きをするか、昼休み直前にどうなるか、午後はどう動くか、と株式市場が開いている9時から15時まで見ていくと、『この時間に上がりやすいな』という傾向がわかってくる」

最初はバーチャルトレードで試し、次にいちばん少ない単位でやってみてと、ステップを踏んでいった。

「振り返ってみると、結果として少額の取引で経験を積んだのがよかったなと思います。当時は『経験を積もう』なんて大げさに考えていたわけではなく、『このままだとお金がなくなるやん!』と焦っていただけなんですけど(笑)」

「気軽に買う・気軽に売る」ことが覚醒を呼んだ

少額取引で経験を蓄積する過程で、むらやんさんを悩ませたのは手数料問題だ。

「200円で100株買って205円で売ると、500円の利益です。しかし利益が小さくとも手数料は発生する。少額だと、手数料が負担に感じてしまい、損切りを躊躇し、傷口を広げてしまうことがありました」

コンスタントに利益を出せるようになったのは、手数料問題の克服がきっかけだった。

「損をしなければいい、と割り切れるようになったことですね。手数料を気にせず、買値と同値であっても、値動きが自分のイメージと違っていたら切る。フラットな目でもう一度見て、上がりそうだったら買い直す。気軽に買って気軽に売るようにしたことが大きなポイントだったと思います」

最低取引単位でデイトレードしていても利益はわずかだが、「勉強期間」と割り切って経験を積んでいったむらやんさん。10回やってみて6回、7回と勝てるようになったら取引単位を100株から500株、1000株と少しずつ増やしていったという。理想的なスタートの切り方だ。

「株を始めた2005年は結局勝ったり負けたりでトータル100万円ほどのプラス。2年目には自分のやり方がある程度、確立され、1000万円ほど稼がせていただきました」

しかし、2年目には新興株市場を揺るがす「ライブドアショック」が発生、少なからぬ個人投資家が損失を被った。被弾しなかったのだろうか。

「結論からいえば、影響はありませんでした。ライブドアショック以前は『小泉相場』でした。小泉純一郎首相(当時)が解散総選挙を表明し、選挙で圧勝すると株式市場は急騰したんです。成長途上の企業が上場する新興株市場では株価が2倍、3倍になる銘柄が続出した。多少の下落は我慢して長期間、持っていた人ほど儲かったんです。ところが、ライブドアショック以降は真逆。長く持つほど損失がふくらみやすくなったんです」

1年で4000万円の利益をあげた

新興株への投資はハイリターンが見込める一方、潮目が反対に向いたときにはリスクも大きい。

「僕自身はといえば、1日のうちにすべて決済するデイトレでしたから『長く持つほど儲かる』小泉相場の恩恵をうけられなかった一方、ライブドアショック以降の『長く持つほど損する』相場で資産を減らすこともなかった。デイトレのデメリットであり、メリットでもあります。2012年からのアベノミクス株高でも『資産が2倍になった!』『10億円に達した!』なんて人を横目に見て、淡々としていました(笑)」

2008年にはリーマンショックが発生するが、同じ理論によってノーダメージでくぐりぬけ、翌年には4000万円以上の利益を叩き出した。

「リーマンショックによる暴落からのリバウンドがすごかったんです。リバウンドの波にうまくのって稼がせてもらいました。印象に残る取引? よく聞かれるんですがないんですよね。デイトレーダーは小さな利益の積み重ね。30万円、50万円といった利益を日々積み重ねていくだけなんです」

どんな考え方でトレードすれば、利益を積み重ねられるのだろうか。

「僕にとってデイトレードは『変わり者』を探す仕事だと思っています。A、B、C、Dと4つの銘柄があって、いつもは同時に上がったり下がったり、同じように動いている。ところがA、B、Cは上がっているのに、Dだけが横ばいだったら、『Dも遅れて上がるんかな』と買っていく。そんな考え方がうまく機能していました」