35歳から始めた投資で億超え〜石川貴康さんインタビュー【前編】

  • リアル投資家列伝・お金の流れを意識した投資術 / 石川 貴康

35歳で始めた3部屋のワンルームマンション投資から、現在は126部屋を保有するスーパー大家さんになった石川貴康さん。投資収益だけでも充分に暮らせる石川さんですが、現在もコンサルタントとして第一線で働いています。投資信託や貴金属、さらには仮想通貨まで手広く手がけるようになった石川さんの独特なマネー哲学をひもといていきましょう。

35歳でデビューした遅咲き投資家

いつ投資を始めるか。成功した投資家には20代、あるいは大学生時代から始めたなんて人もいる。一般的に早く始めたほうが有利と言われるが、この人は遅咲きだ。

「私が投資を始めたのは35歳。それまでは貯金もせず、お金はあればあるだけ使っていました」

そう振り返るのはコンサルタントとして活躍するかたわら、投資で億を超える資産を築いた石川貴康さんだ。35歳時点で石川さんの貯金はほぼゼロ。ただし、石川さんは無計画な浪費家だったわけではない。

「お金をつぎ込んだのは経験や知識、スキルを磨くこと。自分の『稼ぐ力』を磨くため、また家族のためのお金には糸目をつけないようにしていました。MBAや大学院の授業料、会計の勉強、すべて自腹です」

自分への投資は惜しまなかった

稼ぐ力を養うためには転職もいとわなかった。

「35歳までに10回ほどの転職を繰り返しました。求めたのは地位や高給、安定ではありません。欲しかったのは経験。将来のためになりそうな経験が得られるプロジェクトができるかどうか、それが転職先を選ぶ基準でした。その代わり、入った会社では猛烈に働きました。朝6時から深夜2時まで、同僚の3倍は働いていました。妻には本当に『ごめんなさい』ですね」

20代から35歳までは、給料や貯金を度外視して稼ぐ力をひたすら養う期間と割り切った石川さん。やがてターゲットとした35歳が訪れる。

「それまでに自分の名前で稼げるようになることが目標でした。35歳になり、目標が達成できた。私が本格的に投資を始めたのはそれからです。最初の投資は不動産でした。当時の勤め先からもらったボーナスを元手にワンルームマンションを買いました」

もっと少額で手軽に始められる投資先は多いが、なぜデビュー戦が高額になる不動産だったのだろうか。

「元手となったのがボーナスです。それも稼いだ分に応じてもらったインセンティブですから、いわば『なくなっても構わないお金』。だったら、形に残るモノに突っ込んでしまえ、という発想です」

大成功に終わった最初の不動産投資

石川さんが購入したのは都内に1部屋、神奈川県に2部屋、合計3部屋だった。

「つい最近、売却しました。いずれも購入価格は1部屋700万円から900万円程度でしたが、投資元本は家賃でほぼ回収し終えていました。購入価格以上で売れたため、投資回収でいえば、元本の約2倍のキャッシュが回収できたことになります。『キャピタルゲイン』と『インカムゲイン』の両方が得られるのは、不動産投資ならでは、ですね」

「700万円で買った物件が800万円で売れた」という投資対象の値上がりによる利益がキャピタルゲイン。インカムゲインは投資対象を保有することによって発生する利益だ。不動産投資なら家賃、株式投資なら配当、投資信託なら分配金などがインカムゲインとなる。

「買った株が配当を出してくれ、さらに購入価格より値上がりしてくれれば、株式投資でもキャピタルゲインとインカムゲインの両方が狙えます。しかし、株価の値動きや配当は自分でコントロールできませんよね。株価の値動きは経営者や市場に託すことになります。でも不動産は違って、入居者が入るよう自分で工夫することができるんです」

配当がもらえるかどうかは経営者次第だが、家賃をきちんともらえるかどうかは自分でコントロールできる。それが石川さんが気づいた不動産投資の魅力だった。

「ワンルームマンションへの投資はお試しのつもりでした。借金もせず100%自己資金で買った物件だから、もしもゼロになったとしてもお金がなくなるだけです。3部屋で試してみて、家賃も順調に入ってきて、これは上手くまわせるなと」

126部屋を保有する大家さんに

手応えを得た石川さんの不動産投資は現在、14棟126部屋ほどへと拡大した。126部屋の物件の管理を想像すると目がくらみそうだが、石川さんには独特な方法がある。

「物件ごとに通帳を分けるんです。物件Aを買ったら物件A用の銀行口座をつくる。諸経費などの出費も、家賃などの入金も、その口座で行ないます。そうすれば口座残高を見るだけで、上手くまわっているかどうか把握できます。通帳がプロジェクトの出納帳になるんです」

もしすべての物件の入出金をひとつの銀行口座で管理していたら、記帳された内容を自分で転記しないといけない。ひと手間もふた手間も増えてしまう。

「でも、物件ごとに口座を分ければ、通帳を見て1万円でも残高がプラスになっていれば、『この物件は黒字だな』とわかるんです」

娘の口座、息子の口座、投資の口座――

このやり方、石川さんはさらに発展させている。

「投資用の口座もあるし、子ども用の口座もあります。入学費が必要になれば、娘用の口座に入金してから振り込みする。おばあちゃんにお年玉をもらったら娘用口座に入金する。そうすれば娘についてのお金の出入りは、通帳を見るだけですぐ把握できますよね」

そうやって増えていった石川さんは約50の銀行口座を保有している。そこにはメガバンクだけでなく地方銀行の口座も含まれている。

「中には個性ある通帳もあって、たとえば沖縄の銀行の通帳、素敵なんですよ」

不動産投資から始まった石川さんの投資は株へ、貴金属へ、さらにはポイントカードまで広がっていくことになる。