35歳からはじめた投資で億超え〜石川貴康さんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・お金の流れを意識した投資術 / 石川 貴康

石川貴康さんのマネー哲学は一風変わっています。巨額の不動産投資と日々の生活で貯める1円単位のポイント、両極端に思えるが石川さんにとっては同じ。社会の中のお金の流れを、いかに自分に引き寄せるのか――。石川さんは「水路」をキーワードに解説してくれました。
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あなたのサイフ、スマートorおデブ?

パンパンにつまったおデブなサイフはかっこわるい――。そう思っている人から見れば、石川さんのサイフは最高にかっこわるく見えるかもしれない。銀行のカード、お店のポイントカード、クレジットカードなど各種のカードではち切れんばかりにふくれあがっているからだ。

「スマートなサイフだとお金が貯まる? そんなのは無意味ですよね。先ほどお話したように銀行のカードだけで数十枚ありますし、店舗のポイントカードを使わないのはもったいない。サイフはいつもパンパンです」

パンパンのサイフから目当てのカードを探し出すのは大変そうだが。

「そうですか? よく使うお店のカードなら色やデザインが自然に頭に入りますよね。たとえば、このカード」

そう言ってパンパンにつまったカードの中から勧めてくれたのが、現金をチャージして使えるコーヒーチェーン店のカードだ。

「チャージ金額に対して最大10%のポイントがもらえる上に、利用するごとに1%のポイントももらえる。10杯飲めば1杯が無料になりますから、使わない理由がありません。私はポイントを貯めるためにわざわざ買い物をしたり、わざわざ遠い店へ行ったりと普段の行動を変えるようなことはしません。日常生活の延長で貯まるのなら貯めたほうがいい、という発想です。それにポイントを貯めることが目的ではないので、貯まったポイントはすぐ使っています」

石川さんの投資を貫く「水路」

数億、数千万円を投じる不動産投資、毎月数万円ずつを世界の市場全体へ投じる積立投資、それに日々の出費で稼ぐ1円単位のポイント――金額の多寡も投資対象も方法論もバラバラに見える石川さんのマネー術。しかし、ここには全体を貫く串がある。

「経済社会の中でお金が流れています。『お金の川』です。その川からお金を自分のところへひっぱってくる『水路』をつくる。それを私はやっています」

水路を通じて自分のところへとお金が流れてくる。いわばお金の溜め池だ。しかし、溜め池には入口だけでなく出口もないと流れがよどむ。あるいは出口が大きすぎると溜池は空っぽになってしまう。

「不動産投資を考えてください。水路を通じて家賃が入ってきますが、一方で借入利息や諸経費が水路を通じて出ていきます。入るお金と出るお金を比較して、入るお金が多ければ、自分の手元にお金が残る。一度、水路をつくれば、あとは勝手にお金が流れてくれるから、残ったお金で新しい水路をつくるんです。不動産もドル・コスト平均法による積立も、日々のポイント集めも、私にとってはすべて勝手にお金を生んでくれる仕組み、水路なんです」

一度ひいた水路は、よほどのことがなければ流れてくれる。

「株や為替をアクティブに取引しても収支は不安定だし、不安で夜も眠れなくなるかもしれない。でも、私は毎晩、安心して眠れるんです。なぜかといえば『来年もこのくらいの収入が得られるだろう』と見込める投資しかしていないからです」

飲み会1回分、タクシー3回分で始める積立投資

これから水路をつくろうとする投資家予備軍へアドバイスするとすれば?

「本当に親身になって言うとすれば、まずは『稼ぐ力を身につけろ』ということ。それが最優先ですが、一方で私が行なっている定額の毎月積立は、一度手続きすれば、あとは自分が何もしなくても貯まっていく。稼ぐ力を養いながら、積立投資を始めるのがいいんじゃないでしょうか」

では、積立投資はいくらから始めるのが妥当なのだろうか?

「たとえば飲み会を月に1回減らし、あるいはタクシーに乗るのを3回控える、そうやって浮いたお金を積立にあてるくらいの金額がムリなく始められるでしょう。ムリをした金額だとつらくなりますから、積み立てていることを忘れてしまうくらいの金額でいい。私も最初は月3000円からのスタートでしたから」

次に狙う投資先は「ヤマチラクノウ」

次はどんな仕組みの水路をつくろうか? それを考えることが石川さんの楽しみでもある。

「ヤマチラクノウですね」

山チラ苦労……?

「漢字にすると『山地酪農』。自然の山で牛を放し飼いにする酪農の方法です。日本には手入れされず放置された山がたくさんあります。そんな山で牛を放し飼いにするんです。すると、牛が下草を食べてくれるので、荒れた山がきれいになる。間伐がしやすくなり林業ができるようになるかもしれないし、草原にコテージを建ててもいい。牛は自然な草を食べて、安心して飲める牛乳を出してくれる。いいことずくめですよね。課題は販路の確保ですが……今の自分にはまだ難しい。実現できるとしたら20年後ですかね」

投資というにはスケールの大きすぎる話……。しかし、山地酪農について語る石川さんの目は生き生きとしている。

「なぜ不動産を買ったかと聞かれたら、『自分がもし働けなくなっても、収入が途絶えてしまわないよう保険として不動産を買い始めた』なんて答えています。たしかに一度倒れたことがあるので、ウソではない。でも、本当の理由は違うんです。どうやってお金の水路をつくるのかを考えるのが楽しいから。だから不動産を買ったんです。言葉は悪いかもしれませんが、遊んでいるんですよ(笑)」

そして、投資以外にもいろいろ遊べるものを作っていると語ってくれた。

「実は、ここで話した投資以外でも、コミュニティとかサロンとかどんどん作っています。ほかにも、ジャム屋、紅茶輸入屋、フルーツサンドイッチ屋とかやりたいですし、特に山地酪農はやりたいですね」

まずはお金が社会の中でどのように流れているかを意識してみよう。そして、石川さんのように楽しめるポイントを知って、自分に合った長続きする投資方法を見つけてみてはいかがだろうか。