第1回 お金を貯められる人と貯められない人の違い

老後の年金を期待できない時代に生きる私たちが今すぐにできることは、お金を貯めることです。単なる節約術ではなく、「貯められる自分」をつくるための方法を、ファイナンシャル・プランナーであり、家計再生コンサルタントの横山光昭さんに教えていただきました。20代・30代のための貯金入門です。

今や人生100年時代。とはいえ、100歳前後で元気にしている人はたったの2割程度で、多くの人は介護を受けたり、何かしら治療をしていたりと、お金が必要な生活を送っています。年金は現在は60〜64歳からもらえる人がいますが、いま50歳以下の人からは、65歳にならないともらえません。そもそも年金だけでは生活費はまかなえません。生き抜くにはお金が必要になるのです。

そこでまず取り組みたいのが貯金。早いうちから、もしくは気がついた時から貯金をする習慣を作ることが、長い人生を豊かに生きるために大切です。

では、貯金は毎月いくらぐらいするといいのでしょうか。私は、毎月の手取り収入の6分の1を一つの目安にしてほしいと思っています。たとえば、手取り額が21万円の人は、毎月3万5000円を貯金にまわすということです。継続すると3年で手取り年収の半分、つまり126万円が貯まります。

ただ、この数値はあくまで目安ですので、生活スタイルや状況によって割合を変えていきましょう。20代、30代の独身で、実家暮らしの方でしたら、収入の2割、3割を目指してほしいと思いますし、配偶者や子どもがいて、教育費がかかる時には1割でもできればよいと思います。

人生には貯め時がある

人生には「貯め時」があります。具体的には、
・独身時代
・結婚後、お子さんが生まれる前
・子どもが独立した後

の3つが大きな貯め時です。こういった貯め時には、はずさず貯めるべきです。

一方、貯めるのが難しい時期もあります。たとえば急なケガや病気で入院せざるを得なくなってしまった時や、失業した時などです。子育てなどでお金がかかる時期もそれまでの貯金額を維持するのは難しいかもしれません。そういう時には無理をせず、「やむを得ない」と割り切ってその時にできる最低額だけでも貯蓄をすることが大切です。つまり、その時の生活スタイルや家族の状況などに合わせながら、貯金を継続させることが重要です。

「それができないから困ってるんだ!」と思う人もいるかもしれませんね。毎月、手取り収入の6分の1を貯金するためには、根本的な「お金の使い方」を考える必要があります。

お金の使い方は、「消費」「浪費」「投資」の3つに分けられます。

●消費
生活するのに必要なものですが、生産性はさほど伴わないものです。
例)食料、住居費、水道光熱費、教育費、洋服代、交通費など。

●浪費
生活に必要でなく、今をひたすら楽しむためなどの無意味な使い方のことを指します。いわゆる「ムダ遣い」です。もちろん生産性は伴いません。
例)タバコやお酒などの嗜好品、度を超えた買い物など。

●投資
必ずしも生活に不可欠なものではないのですが、将来の自分にとって有効につながる生産性の高い使い方です。生産性が伴う点で消費とは対極にあります。貯金もこれに当たります。
例)習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯金など。

この3つへの仕分け方は、個人で異なります。ジムで鍛えるのを、浪費と捉えるか自己投資と捉えるかは人によって違うからです。
お金を使う時には、この3つのどれに当たるのかを考えながら使うようにしてみてください。

今後減らしていただきたいのは、まず「浪費」の部分です。そして、必要以上にかたよった「消費」の一部です。
私は、「なんでもかんでも節約しろ」なんてアドバイスはしません。浪費だってゼロにする必要はありません。何でもかんでもお金を使わないようにしてしまうと、単なるケチな人になります。バランスよく消費し、自分への投資はむしろ積極的にしてほしいと思っています。そうすることによって、実生活に変化が生まれ、人生が少しずつ豊かになっていくのです。
連載の第4回では、あなたの出費が「消費」「浪費」「投資」のどれに当たるのか、具体化させていきましょう。

お金を貯められる人、貯められない人

ところで、同じような収入のはずなのに、どうしてあの人はお金を貯められているのだろうと思ったことはないでしょうか? 自分はケチケチと節約に励み、贅沢もしないでいるのに、あの人は車を買った、旅行に行った、最新ゲームまで買っている……などと、自分と比べてうらやましく思ったことがある人も多いと思います。いったい何が違うのでしょうか?

お金を上手に貯めている人は、「自分にとって必要な支出かどうか」を自然に判断してお金を使うことができているのです。思い付きや衝動的にお金を使うことはめったにありません。「安いから買う」という基準ではなく「必要だから買う」という基準ができているわけです。

そして、支出をロングスパンで考えるということができています。現金が足りなくてローンを組むことを考える時も、「1ヵ月5000円なら支払いも楽だ」という発想ではなく、「1ヵ月5000円なら5年で30万円。慎重になろう」と考えて、検討することができているのです。
また、お金を貯められる人は、貯める理由を明確にしていることが多いものです。「なんとなく将来が不安だから」といった理由では、なかなか貯金の意欲は続きません。ですが「英会話スクールに通いたいから、3ヵ月で10万円の貯金をしよう」……そんな具体的な目的があると、それがモチベーションになり、頑張れます。3ヵ月、6ヵ月、1年など期間と目標金額、目的を決めて一歩一歩着実にゴールを目指します。

このように貯金ができるようになるには、支出に優先順位をつけ、お金のメリハリをつけることができるよう、日々、判断力を養うことが大切だといえます。

この連載では、「お金を貯めたくても貯められない」という人に向けて、正しいお金の使い方やお金を貯められるようにするための仕組み、貯金に役立つカードなどについて具体的にお伝えしていきます。人生100年時代。まずは自分を貯金できる人に変えていくことから始めましょう。

次回は、強制的にでもお金を貯められるようになる仕組みについてご紹介します。

<今回のまとめ>
●毎月、手取り収入の6分の1を貯金しよう
●「独身時代」「子どもが生まれる前」「子どもが独立した後」がお金の貯め時
●お金を貯められる人は、支出に優先順位をつけ、お金のメリハリをつけられる人
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