第3回 投資初心者がまず決めるべき「損切りルール」について

FROGGY編集部は、投資未経験者がなかなか投資を始められない理由として、「7つの勘違い」があるのではないかと考えました。今回は、「ちゃんと専門知識を勉強してから投資を始めたい」と考えている人に、専門知識よりも大切な「投資のルール」について解説していきたいと思います。
第2回「『株で大損しても借金は背負わない』って本当?」を読む

10人中6人が知識不足で投資をためらっている

投資をやってみたいと考えている人たちにアンケートを取ったところ、60%以上の人が「知識不足」を理由に投資を躊躇していると答えました(2015年8月SMBC日興証券調べ)。たしかに、詳細な財務データや売買テクニックを知っているかどうかが成果の明暗を分けることもあります。たとえば、個別企業に投資をする場合、その会社が大企業で有名だからという理由で投資するよりも、主力製品の売り上げが好調にもかかわらず、過去10年の中でも株価が割安な水準だから、という詳細な根拠をもとに売り買いしたほうが結果として儲かる可能性は高いかもしれません。しかし、たくさんある情報をきちんと調べてからでないと投資は始められないか、というとそんなことはありません。

「損切りルール」さえ決めれば投資は始められる

投資を始めるときに、どんな知識よりも先に知っておくべきなのは、たった1つのルールです。そのルールとはズバリ「損切りルール」です。自分が投資に回せるお金はいくらか、どれぐらいまでの損失なら許容できるかをしっかりと自分で把握しておく必要があります。損切りとは、投資家が損失を抱えている状態で保有している株式等を売却して損失を確定させることをいいます。損切りをすることによって、それ以上の損失拡大を食い止めることができます。これだけ最初にきちんと明確にした上で設定しておけば、たとえ失敗したとしても致命傷を負わずに、投資の世界で生き残ることができます。

たとえば、投資に回そうと思っているお金が100万円の場合、それが運用する中で80万円(-20万円)になったら損切りするのか、それとも90万円(-10万円)で損切りするのかを前もって決めておきます。もし自分で「損切りルール」を設定するのが難しいと感じるならば、FROGGY編集部としては、まず「-10%」で設定することをオススメします。-10%であれば、たとえ3回連続で失敗をしたとしても、損失は元手の30%以内で済むことになります。そして大事なのは、この「損切りルール」は機械的に淡々と実行していくことです。少なくとも1年ぐらいは途中で変えずに続けてみてください。

損を抱えると冷静な判断を下しにくい

著名な投資家の中にも損切りルールを重視していた人がいます。20世紀初頭に活躍したアメリカの投資家ウィリアム・D・ギャンです。心理面で負けないようにするための掟として28のルールを定め、「資金の1/10以上損失が出るような掛け方をするな」「毎度損切りのための売り注文を置け」「損切りのための売り注文を置き、それをキャンセルしない」などと「損切りルール」の大切さを説いていました。こうした厳格なルールを守ったギャンは投資勝率8割以上と驚異的なパフォーマンスを残したとのこと。投資を始めるうえではぜひとも見習いたいですね。

なぜ「損切りルール」を最初に把握すべきかというと、人は損を抱え始めると、買った値段に戻ることばかり期待してしまい、冷静な投資判断が下せなくなるからです。買った値段が頭に強く記憶されてしまい、なぜか「きっと買値ぐらいには戻るだろう」と考えがちなのです。投資は自分との戦いとも言えるかもしれませんね。

あとは実際の投資で経験を積むことが大切

自分の「損切りルール」を設定することができたら、もう投資の準備は万全です。あとは自分が理解できる範囲のものから投資を始めるとよいでしょう。損切りルールを「-10%未満」と決めた保守的な方は、日経平均株価などの指数に連動する投資信託やETFは値動きが比較的穏やかなので、取りかかりやすいでしょう。一方、値上がり益を得るためには相応のリスクがあり、損失が出る可能性があると覚悟できる人は、個別銘柄を検討してみてもいいかもしれません。自分の損切りルールに沿って、投資対象も選別するようにしましょう。

実際に投資をしてみると、なぜ資産額が下がったのか、上がったのかが身をもってわかるようになります。「新製品が好調という報道があったから株価が上がった」「ここ数週間の間に急に下がりすぎたから、その反動で今上がりだした」というように、値動きのロジック(理論)が少しずつ体験できます。もちろん投資をしていなくてもわかるかもしれませんが、実際に投資をすることで自分事化でき、経験を次の投資に活かすことができます。

少額でも良いので始めてみよう!

ひふみ投信のファンドマネージャー藤野英人さんが言うように、投資は水泳と同じです。水の中に入ってみなければ、泳ぎは学べないもの。投資も、実際に身銭をきってからでないと本当の意味で役に立つ知識は得られません。「損切りルール」を決めて、まずは少額からでも良いので投資を始めてみましょう!

〈まとめ〉
・まずは「損切りルール」さえ学んで把握すれば投資は始められる
・自分で「損切りルール」を設定するのが難しい人は、まずは-10%で設定しよう
・投資は水泳と同じ。少額でもいいので実際に投資をしてみて、経験を次の投資に活かそう