第5回 保険・家・クルマ「一生の買い物」の手引き

今回は、家計へのインパクトが大きい、保険と家、そしてクルマの問題に切りこみます。ポイントは2つあって、ひとつは「そもそも本当に必要なのかを考える」。もうひとつは「一括払いこそ正義」です。
第4回「重要なのは支出額よりも『何に使ったか』」を読む

生命保険は本当に必要?

家計の中での大きな買い物と言えば、家やクルマを思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、それと同じくらい大きな買い物があります。それは保険です。たとえば、月に数万円を数十年支払うような場合、支払いの合計金額は1千万円を超えます。
高級車を30年ローンで買うのと変わらないにもかかわらず、その検討過程は余りに大雑把という人が少なくありません。

「貯蓄型の生命保険なら、資産を築きながら有事の際には死亡保障を受けることができます。このお金はムダになりません!」

こんな営業マンの熱っぽい言葉を信じて入った貯蓄型の生命保険が、家計を圧迫しているパターンは非常に多いです。「資産を築きながら」という言葉に惑わされがちですが、保険は必要最小限の保障にとどめ、浮いた分のお金を堅実な投資にまわすほうが効率よく資産形成できると私は考えています(堅実な投資については、第7回で説明します)。生命保険を必要保障が兼ね備わった掛け捨てのものに切り替えることができれば、貯蓄型の保険に入るよりも多くのお金を貯蓄したり、投資にまわすことができます。

そもそも、本当に生命保険に入る必要があるのかを疑ってみることも大切です。生命保険には、「医療保障」「死亡保障」の役割がありますが、医療保障については、それなりの預貯金があれば、病気やケガをしても自分で治療費をまかなうこともできます。もし治療費が数百万円かかってしまったとしても、健康保険の範囲内であれば「高額療養費制度」という国の制度を利用することができます。この制度は、1ヵ月にかかった健康保険適用の医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される(もしくは病院へ直接支払われる)というものです。

2つ目の死亡保障についても、必要性は人によって異なります。幼い子どもがいる方は遺族への保障が役に立ちますが、子どもがすでに独立しているなら、それほど必要はないでしょう。年金に加入していれば、「遺族年金」がもらえますので、まずは遺族年金でもらえる金額を調べてみることをおすすめします。

このように、保険というのは、あくまでも「社会保障や預貯金でまかなえない部分をカバーするもの」ととらえ、必要最低限にとどめておきましょう。ムダな特約がついていないか、そもそも自分にとって本当に必要な保障なのか、一度見直してみてください。

家はできるだけ一括で。ローンも繰り上げ返済の検討を

住宅については、私はどんな立場の方も、最終的には購入を検討すべきであると考えています。老後に「家賃」を払うか払わないかでは、暮らし向きが全く違ってくるからです。

購入は、もちろん一括払いが理想です。ローンを組んでムダな金利を払う必要がないからです。後ほどお話するクルマもそうですが、まずは「ローンを組まずに買う」ことができないかどうか、真剣に検討してみてください。とはいえ、中古住宅を安価で購入するような場合以外、一括購入は難しいことが多いでしょう。ですから、ローン額をできるだけ少なくするために、頭金を多く入れる努力が必要です。

ローンを組んだ後は、繰り上げ返済について検討してみてください。貯金はあるのに「何かあったときのために……」とローン返済にまわさない人のなんと多いことか! 住宅ローンに限らずですが、金利は増やすより減らすほうがよっぽど簡単です。貯金を増やす方法を考えるまえにまず、すぐに返せる借金がないか考えてみてください。ただ、繰り上げ返済はやりすぎると「繰り上げ返済貧乏」になってしまいます。生活防衛資金はしっかり残して計画しましょう。

また、住宅購入の際は「住宅ローン控除」についても忘れずにチェックしておきましょう。毎年末の住宅ローン残高の1%、最高40万円が最長10年にわたり、所得税から控除されます。所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除されます。ご夫婦で割合を決めてローンを組んでいる場合は、それぞれに申請が必要です。

なお、不動産投資については基本的におすすめしていません。少額での投資は利幅が小さく、豊富な資金と十分な経験がない限りは、利益をあげることができないためです。投資はもうけるもうけないを基準にして決めるものではなく、自分にできるか、向いているかで決めるべきです。そういう意味でも、不動産投資は初心者にはおすすめできません。

クルマも一括払い! それまではカーシェアを活用

最後にクルマについてですが、まず「本当に必要かどうか」ということから再度検討してみましょう。「クルマ離れ」が叫ばれて久しい昨今ですが、まだまだ「いずれ買うモノ」と惰性で思っている方がたくさんいます。買ったときの生活がどう変わるか、また、なくて困ることが本当にあるかどうか、今一度立ち止まって考えてみてください。

やっぱり必要だと判断したあなた、まだ考えることがあります。「本当に“買う”必要があるか」を自問してみてください。ご存知の方も多いと思いますが、今、タイムズカープラスなどをはじめとしたカーシェアリングのサービスが爆発的に伸びています。月会費1000円ほどを払えば会員になることができ、24時間好きなときに、好きな車種を1時間800円ほどで借りることができます。旅先でも自由に使うことができるので、便利さでは自家用車を上回っていると言っていいでしょう。

それでも「欲しい」という方、もう止めません! 自分のクルマを持つことが長年の夢だったという方もいらっしゃるでしょう。買い方に十分注意して、購入を検討してください。やはり、できるだけ一括で購入されることをおすすめします。また、今は自分のクルマをレンタカーとして貸し出すことができる「Anyca(エニカ)」のようなサービスもあります。購入したクルマは、あなたの相棒であると同時に資産です。うまく運用して、あなたが運転していないときにも働いてもらうことができれば、固定費を大幅に浮かせることもできるでしょう。

さて、次回は、日常のお買い物に大いに関係してくるクレジットカードとの付き合い方についてお話していきます。

<今回のまとめ>
●保険は必要最低限にとどめ、浮いた分を預貯金か投資にまわすほうが効率的
●家は最終的に購入したほうが良いが、できるだけ一括で支払うようにしよう
●クルマは購入する必要が本当にあるかどうか、再度見直してみよう