第6回 自分で自分にアポイントメントを入れる

前回は、自分の夢をかなえることにパワーを注ぐために、苦手なことやわからないことは専門家に任せるということを書きました。今回は、つい時間に追われがちな毎日を、どうやってコントロールしていくかについて考えていきます。
第5回「必要以上に自分の脳みそを消耗させない」を読む

自分でスケジュールの主導権を持つということ

私は1日を有効利用するために、手帳を使ってスケジュールをしっかりと立てるようにしています。スケジュールを立てるうえで一番大事なことは、自分のための時間を確保することです。つまり、自分で自分にアポイントをいれて、その時間を「ほかの予定をいれない時間」としてブロックしてしまうのです。そして、このブロックしてできた時間を原稿などの作業時間にあてています。

基本的に、午前中は外での予定はいれません。午前中はすべて、予定をブロックして守っているのです。起床後、朝ごはんを食べてからお昼までの時間が、私にとって一番集中できる時間なので、その黄金時間を他のことにあててしまうとリズムが崩れます。リズムが崩れるとできるはずの仕事が終わらなくなるので、ペースを守るためにも「午前中は侵略不可」としたうえで予定を立てています。

「まだ午前中があいているから、予定いれられる……」と無理に予定をいれてしまうと、現場に行くことはできても、ちゃんと準備ができていない状態でその場に参上することになってしまったりします。物理的にはその場に参加していても、心や脳みそが参加していない状態では意味がない。だから、午前中は一回一回の仕事に備えるための、充電時間としての意味合いもあるのです。その日に新しく会う人がいればその人について調べたり、インタビューならさらっと質問事項に目を通します。

午前中をあける理由はもう一つあります。私は、衣食のほとんどをネットショッピングでまかなっています。お洋服も食料品も生活に必要なものはすべてネットで注文するので、1日に何度も宅急便を受け取る必要があります。宅急便が来ている時間帯に留守にしていると、みなさんもご存知の通り再配達扱いになりますが、その際、担当ドライバーさんに電話をして再配達を依頼して、その時間家にいるように予定を調整して……となると二度手間になってしまうので、できれば配達1回目でスムーズに受け取りたい。そのために受け取り時間を午前中に指定して、つねに家にいるようにしているのです。そうすると、宅急便が来た瞬間に、タイムラグなしに受け取れます。

「午前中は家にいる」を旅行中以外は徹底して守っているので、宅急便もいちいち何日の何時……と指定しなくても、午前中に指定しておけば受け取れる。こうやって、1つ絶対的なルールをつくると、他のことの意思決定もとても楽になる気がします。もちろん、予定づくりには仕事相手の事情が関わってくるので、フレキシブルに対応しようと思っていますが、その場合も自分の空き時間が確定していれば「午前中ならいつでも合わせられますよ」と相手に明確に選択肢を与えられます。ルールなく予定をいれてしまうと、仮押さえ案件などの都合で「あと数日待ってもらえますか」と相手にも自分の「保留」を押しつけることになってしまいます。

なんとなくでもルールをつくり、自分でスケジュールの主導権を持っていれば、自分に仕事を頼んでくれる人に、より選択肢を与えられるようにもなります。フリーランスのスケジュールというのは、そもそも不規則なので、規則性をつくることによって、仕事相手にとっても自分にとっても予定の管理をしやすい環境をつくるということは必要だと感じています。

なかなか自分の都合通りには動けない会社員の方も、水曜日の午前は自分の仕事に集中する時間にするとか、お昼休み後の1時間はメールの返信に割くなどのルール化は可能だと思います。ルール化をすると、つぎに何をするか迷う時間が減りますし、作業のし忘れも防げます。また、週ごとに「これを終わらせる日」と目標を立ててみるなど、予定に自分なりの色をつけてみるといいかもしれません。月、火、水、木、金と同じ予定をなんとなく繰り返すよりも、自分ルールに従って目標を持ってみるほうが意欲的に仕事に取り組めるのではないでしょうか。

自分のタイプを理解して、適切な予定組みをする

私の場合、午前中は家にいるという話をしましたが、午後には、外での仕事の予定を集約させています。外での打ち合わせや取材などは、まとめていれてしまって、1日で一気に終わらせます。外出日と家にいる日を明確につくることで、オン、オフの切り替えをつけているのです。

これは人にもよると思うのですが、私の場合、1回外に出て、人と話したりイベントに出たりすると、そわそわした気持ちが一日中続いてしまうのです。家に帰ってきてからもなんだか人恋しくなったり、誰かと話したいような気持ちが残っていて、その後のアポもないくせに「でもこのあと何かが突然起こるかも……」と思って、メイクを落とせない日もあります。気持ちが外に向いてしまうみたいです。

だから、外に出る予定がある日は、軽いエッセイを書いたり、メールの返信をしたり、アイディアをまとめたりすることはできても、長時間の思考が必要な小説やまとまった長文の文章なんかは書けません。雑誌用のコラムなども、隙間時間にちゃちゃっと終わらせる能力があればいいのですが、「書くモード」の日に書いたほうが出来がいい気がするのです。だから「書く日」と「外に出る日」は自分の中で分けています。

私のスケジュール帳を見た人は、空白の1日とギュウギュウに詰まった1日がでこぼこと交互に並んでいることに驚くのかもしれません。もう少しスケジュールをならせば、体が楽になるのに、と感じる人ももしかしたらいるかもしれません。でも、ここに関しては譲れないのですよね。これは誰かにオススメしたい内容ではなくて、人それぞれにタイプがあると思うので、自分のタイプを理解して、適切な予定組みをしていくことが大事だと思います。

朝を自分の時間にしてしまうのことのメリットは、朝なら、早起きさえすれば時間を伸ばせるということです。夜はもうバッテリー切れでヘトヘトで、これから仕事をしよう、と思ってもなかなか起きている時間を伸ばせないものだし、伸ばせたとしても集中力が保てません。だったらいっそ、思いきって寝てしまって早く起きたほうが、前向きに仕事をこなすことができます。

それから、私のスケジュール帳では、プライベートの予定と仕事の予定の優先度はほぼ同じです。たまに「これは絶対に!」と思った仕事を優先させることもありますが、プライベートの予定が先に入ったら、あとから仕事が来ても滅多なことでは動かしません。いちいち「この仕事とこの友達との予定、どっちが大事だろう?」と天秤にかけることが好きではないからです。仕事も友人とのイベントも、同じくらい私の人生にとって大事です。

ただし、飲み会は週に2回以上いれないようにしているし、あまりにも急に飛びこんできた予定は、直観的に「行かなきゃ!」という強い衝動が湧かない限りは行きません。「これを動かせば行けるかも……」と予定調整をやり始めるとキリがないですし、予定の変更は仕事相手に迷惑がかかってしまいます。だから、行けなかったものは、行かなくてよかったものなのだ、縁がなかったのだとあきらめるようにしています。

惰性の付き合いはしない

また、結婚式や出版祝いのパーティーなどのイベントも、本当に仲のいい人のものだけ出席して、仕事のお付き合いや惰性では行かないと決めています。惰性の付き合いのために、自分の貴重な時間を削ることはもちろん、そのために「どうしよう……」と悩む時間ももったいないからです。招待状が来て、「行きたい!」とは思わずに、「どうしよう」と一瞬でも思ったら、もうそれは行かないほうがいいということのサインです。行きたいものなら、見た瞬間に心が躍るはず。行かないほうがいいかもと思った時点で、行ったとしてもその場で「来なかったほうがいい理由」を探してしまいそうですし、そんな中途半端な心持ちなら行かないほうがマシだと個人的には思います。

予定を組むうえでは、移動時間もちゃんと記載しておくことも大事なポイントです。以前、会社勤めをしていたころにスケジューラーで移動時間を記載することがルールになっていたので、そのときに身に着いた習慣です。手帳に予定だけを書いてしまうと余白が多くなって「まだ余裕があるんじゃない?」と油断してしまいがちなのですが、実はそこに移動時間を足してみたら、案外余裕がなかったりします。だから、移動時間は視覚的に認識できるように、ちゃんとわかるように書いておきます。

また、私が必ずしていることは、1週間の最後に予定の振り返りをすることです。第2回の記事でお伝えしたように、1日単位での復習ももちろんしますが、なんとなく、今週はどんな1週間だったか、今月はどんな1ヵ月だったかということを、週末と月末に振り返ってみます。そうするとおもしろいことに「この1週間は、外に出て出会いを増やした1週間」「この1週間は引きこもって、自分の考えを深めた1週間」など、週ごとのテーマが浮き彫りになります。1ヵ月単位で見ても、なんとなくその月ごとに、テーマがつけられるような感じがします。これは「自分への取材」の一環です。すごした時間にどんな意味があるのか。これからどんな意味を持つのか。それを把握することによって、人生を俯瞰で見ることができ、今の自分の状況を正確に知ることができるのではないでしょうか。

スケジュールの管理にはデジタルのスケジュール帳(グーグルカレンダー)をメインで使っています。スマホはいつでも持ち歩くので、こまめに自分の予定を見返しやすいですし、見返すことで頭にも入ります。また自分ルールにそって色分けをしておくことで、その週の大体のテーマも視覚的に頭に入ります。たとえばプライベートの予定は赤、打ち合わせは黄色などにしておくと、赤が多ければ、今週はゆったりしていたな~と思えるし、黄色が多ければ、今週は未来への時間が多かったな~などと一目瞭然です。

紙の手帳のほうには、かなえたい夢などを書いています。やるべきことや決まったことはデジタルに。やりたいことは紙に落としこむイメージで使い分けています。紙の手帳のほうが、長いスパンで物事を見ることには向いていると思うので、デジタルと紙、どちらの手帳も手放せません。やりたいことを書くときは、手書きのほうが膨らんでいく感覚がするので、手帳の併用はオススメです。

さて、次回は、人生を充実させるのに必須の「身体と心の健康」についてお伝えしていきます。

<今回のまとめ>
●スケジュールを立てるうえで大事なことは、自分のための時間を確保すること
●自分のタイプを理解して、適切な予定組みをする
●1週間の最後には予定の振り返りをする