第6回 「上場廃止」でありがちな2つの誤解

FROGGY編集部は、投資未経験者がなかなか投資を始められない理由として、「7つの勘違い」があるのではないかと考えました。今回は、「上場廃止になったら大損しそうだから株は怖い」と思い込んでいる人の誤解を解いていきたいと思います。
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「上場廃止」でありがちな2つの誤解

「上場廃止になったら大損しそうだから株は怖い」と思い込んでいる人は、2つの誤解をしている可能性があります。1つ目の誤解は、「上場廃止は経営破たんが原因で起こる」というもの。2つ目の誤解は「上場廃止は突然起こる」というものです。

誤解1:「上場廃止=経営破たん」は思い込み??

では、まずは1つ目「上場廃止は経営破たんが原因で起こる」という誤解を解いていきたいと思います。上場廃止とはそもそもどういったもので、何が原因で起こるのでしょうか。

上場廃止とは、上場銘柄が取引所で売買できなくなることをいいます。投資家を保護するために、あらかじめ「これに該当したらNG」という基準が設けられており、該当した場合、取引所が上場廃止を決定するのです。この基準は実にさまざま。株主数や、債務超過になっている期間の長さ、破産・更生手続きの状況、完全子会社化などがあります。

さらに上場会社が自主的に上場廃止申請を行うこともあります。「自主的に上場廃止なんてするの?」と思うかもしれませんが、たとえば2005年に上場廃止をした企業に、アパレル大手のワールドがあります。その理由は、買収リスクを排除するためでした。

上場廃止と聞くと、経営破たんによる破産などを一番の原因として思い浮かべるかもしれませんが、他にもいろいろな理由があるのです。

下に、2016年上場廃止となった銘柄を理由別に集計しました。すると上場廃止の理由で一番多いのは「完全子会社化」。一方、破産・更生手続きを理由に上場廃止になった銘柄はありませんでした。「上場廃止=経営破たん」というのは勘違いなのです。
※なお、2017年においても、タカタの経営破たん等はありましたが、この傾向に大きな変化はありません。

ちなみに、2016年は「完全子会社化」「株式等売渡請求による取得」「株式の併合・会社の合併」が上場廃止理由のトップ3で、約9割に相当します。これらは、株式を買い取ってもらえたり、新しい株式がもらえたりするので、株券が紙切れになることはありませんでした。つまり、上場廃止と一言でいっても、株券が紙切れになるケースばかりではないのです。

誤解2:上場廃止は突然起こる?

次に、2つ目の「上場廃止は突然起こる」という誤解を解いていきたいと思います。

上場廃止は突然起こると思っている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。「前触れ」があることも多いです。たとえば、直近の決算が赤字だったり、「有価証券報告書の提出が遅れる」といった申し出が事前にあるケースがほとんどなのです。

さらに付け加えると、上場廃止が決定してからも、すぐに取引ができなくなるわけではありません。「整理銘柄」に指定されて一定期間(原則、1ヵ月)取引が行われた後に、上場廃止となります。

上場廃止になるような銘柄にも逃げ場がある

つまり、上場廃止になるような銘柄にも、逃げ場があることが多いのです。雲行きが怪しくなってから上場廃止が実行されるまでの間に、一定の期間はあるので、そこできちんと売り抜けられれば、損失を多少は抑えることができます。

とはいえ、前触れを敏感に察知するのは難しいと思います。そこでぜひおすすめしたいのが、損切りルールの徹底です。なぜなら、多くの場合、前触れがあると株価は一度下落するからです。前触れを察知できなくても株価の下落を把握することはできます。あらかじめ損切りルールを決めておき、そのラインを超えて下落するようであれば、すぐさま損切りを実行すればよいのです。そうすれば多くの場合、大暴落前に逃げ切ることができます。

スカイマークも損切りルールで回避できた!?

2015年に上場廃止となったスカイマークを例にみてみましょう。この銘柄も上場廃止になる際には前触れがありました。2014年7月に「会社を存続させることができるか疑義がある」と表明していたのです。この翌日株価は11%下落しました。

本シリーズ第3回にあるように、損切りルールを▲10%に設定していればその後の大暴落は免れた可能性が高いです。

また、日本航空(現在は再上場)が上場廃止となったときも同様です。上場廃止前には、前触れがあり、株価は下落しました。

すべての銘柄について有効とはいえませんが、損切りルールの徹底は大損の回避に有効な手段といえるのではないでしょうか。「またどこかで上がるかも……」と踏み切れないでいると、最後は買い手がいなくなり、売るに売れなくなってしまいます。一度ルールを決めたら機械的に無心で損切りを実行していきましょう。

以上、お話ししてきた通り、「経営破たん」が理由で「上場廃止」となるケースばかりではないということ。また、たとえ上場廃止が決まった場合でも、必ずしも株価が大暴落するとは限らないということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。上場廃止の前には、多くの場合で前触れがあり、損切りルールの徹底で損失を抑えることができます。上場廃止にありがちな2つの誤解が解けた方は、「上場廃止になったら大損しそうだから株は怖い」と思い込むのではなく、損切りルールを駆使して投資にチャレンジしてみましょう。

<まとめ>
●上場廃止といっても理由はさまざま
経営破たんばかりが理由ではなく、株価も大幅下落しないケースもある。
●上場廃止は突然起きるわけではない
上場廃止前には前触れがあり、一度株価が下落することが多い。
●大幅下落前の損切が大事
上場廃止前の前触れの時点での株価下落で、損切ルールを実行すれば、大幅下落前に逃げ切れる可能性が高い。