デイトレは自分との戦い〜20億円デイトレーダー・テスタさんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・過去の自分を乗り越える投資心理 / テスタ

5億円を稼いで大成功を収めた2013年以降、テスタさんの年間収益は1.1億円、1.7億円。大成功と思えるのですが、2013年に稼いだ5億円と比べると物足りない感じがあります。「もうこれ以上稼いでも……」と気が緩んだのか、テスタさんはさらに大きな失敗を犯してしまいます。人生最大の失敗をどう乗り越えたのか、そして同時にテスタさんが始めたあるプロジェクトについても聞きました。
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1億円を失った1週間

「ボクはコツコツ型。1億円すら達成できると思っていなかった。それが2013年に5億円を稼いで、さすがに『もういいわ』と思って数ヵ月、トレードを休んだりもしました。デイトレードへの飽きがきていたのかもしれません。そうしたら2016年、最初の1週間で1億円負けたんです」

前年の利益は1.7億円。その半分以上を1週間で失う大損失だった。

「1年のがんばりが1週間で無になってしまう――それほどの大負けは初めてで、血尿も出たほどです」

デイトレーダーからの引退も頭をよぎった。

「だけど、まだ1月。それまで年間収支がマイナスになったことはなかったし、『もうちょいがんばってみよう』と。そうしたら6月1日の時点で年間収支をチャラに戻せた。チャラとはいっても、生活費の出費があるから家計全体の収支で見ればまだマイナス。『まだがんばろう』と思って年後半も無我夢中でやっていたら、最終的に年間収支は2.6億円のプラスになったんです」

デイトレーダーからのモデルチェンジ

半年で2.6億円を稼げるなら1年間無我夢中でやれば5.2億円。これなら「2013年のテスタ」を超えられるかもしれない――。

「2016年は地合いが特別いいわけではなかった。それでも半年で2.6億円が稼げたんなら、実力がついている証拠かなと思ったんです」

そして始まったのが「2013年のテスタ」超えへのチャンレジだった。

「お金って、そんなに使えません。どんなに使っても1年で数千万円。それを考えると『これ以上、貯金があってもな……何のために株をやっているんだろう』と思ってしまうし、甘えが出てしまう。何か目標を持たないと真剣になれないし、でもボクには他人と比べる習慣がない。過去の自分と比べるしかないんです」

過去の自分との戦いは、甘えを殺し、自分を奮い立たせるためでもあった。新たなスタイルを模索して、会社四季報も買った。初心者時代以来、12年ぶりだ。

「今までは場中に株価が上がっても、なぜ上がったかは確認しませんでした。デイトレには必要ないですから。でも、今は上がった理由を見るし、その理由によって買う・買わないを判断する。デイトレもしますが、半年程度持ち続けることも普通にあるし、2017年の利益は9割、デイトレ以外です」

家賃160万円・150平米の部屋へ転居した理由

「デイトレーダー・テスタ」から、「中長期投資家テスタ」への転向は確実に進んでいる。自分を追い込むため、引っ越しも行なった。

「車を買おうと思ったんですが前のマンションでは駐車場が空いていなかったこともあって、『もう引っ越すしかないわ』と。広いところで探して見つかったのが150平米の部屋。家賃は160万円です。高いでしょう?」

テスタさんは独身、一人暮らしだ。広すぎる、高すぎる……。

「今年は生活費で6000万円くらい使ってます。車も合わせたら1億円くらい。勝っているときは使ったらいいんですよ。じゃないと、何のためにトレードしているんだろうって考えてしまう。それに高いところに住めば住むほど、『これはやらんと死ぬ』と株をがんばれるんで」

全国に児童養護施設は600しかない

もうひとつ、テスタさんのモチベーションとなっているのが、慈善活動だ。

「児童養護施設って全国にいくつあるか、知っていますか? 600くらいです。逆に言えば、600『しか』ない。これやったらできるなって思って、おもちゃなどを送っているんです」

最初に送ったのは2014年。サッカーボール、バレーボール、ドッジボールの3つのボールをセットにして全国の児童養護施設へ送った。

「ボクの名前も住所も書かずに、ボールを発注した会社から直接送ってもらったんです。そうしたら、その会社に子どもたちから手紙が届いていたみたいで。とても嬉しかったし、送ってよかったと強く思いました。でも、ボール遊びのできない施設が結構あるみたいなんですね。それに子どもの年齢もバラバラだからボール遊びをしない子どももいる。施設によってニーズが全然違うらしいんです」

手紙を読んでから施設に電話をかけるようになった。事情を説明し、施設内で何が欲しいかを話し合ってもらい、再度電話をかけて、ニーズにあった品物を聞き出し、発注し、送付する――。1施設だけならともかく約600施設ともなると膨大な作業だ。

「向こうが必ず欲しいものを届ける術がそれ以外、ないっちゃないので。夏は扇風機やビニールプール、普段はゲーム機のコントローラーやディズニー映画が多いし、最近だと『君の名は。』のDVDが多いです」

テスタ2号、テスタ3号の登場

テスタさんのツイッターでは、「#広がれ支援の輪」のハッシュタグとともに「○○園にリクエストの○○を送りました」と具体的な施設名と送った品物の報告が頻繁になされている。

「そうやって具体的な施設名とともにつぶやくと『全国の施設にボールを送りしました』というより読者の心に響くのか、『テスタ2号さんからも寄付をもらいました』と施設の人から聞くことが増えました。投資家はお金を持っている人も多い。勝っている投資家に広まればいいなと思っています。ボクだって勝っていなければやらないでしょうから」

モデルチェンジに成功し、過去最高の自分を超えつつある2017年のテスタさん。児童養護施設の子どもの笑顔が、この成功を後押ししたのかもしれない。