テンバガーをつかめ!〜10億円投資家・たーちゃんさんインタビュー【前編】

  • リアル投資家列伝・テンバガー(10倍株)を見抜く着想法 / たーちゃん

ある専門職として働きながら株式投資を行なっている投資家のたーちゃんさん。42歳にして、その資産は10億円を超えています。20代にして投資観を確立し、目標を達成してきたその道のりには、これから投資家としての一歩を踏み出そうとする人への示唆があふれていました。

「自由億」を達成した個人投資家の原点とは

「『おまえはなんでそんなに金持ちになりたいんだ?』と、高校生のころからよく言われていました。だから進路を決めるときも、偏差値や社会的な評価よりも、『どの大学、どの学部に行けば金持ちになれるか?』という視点でした。ただ、実際にお金を得てみても、別に使い道があるわけじゃない。服はユニクロでいいし、チェーン店の食事で充分満足しちゃうんで(笑)」

そう振り返るのは、「自由億」(資産10億円を示す個人投資家用語)を達成した「たーちゃん」さんだ。成功への原点は大学卒業を間近に控えたころに起きた、ある事件だった。

「ある資格試験に落ちてしまった。同級生のほとんどが合格するような試験でしたから、もう少し勉強すれば翌年、合格ラインに達することはわかっていた。だったら1年間、試験勉強だけに費やすのはもったいない。そこでひたすら投資の勉強をしたんです。株、不動産、それに税金も」

なぜお金の勉強だったのか。そこには「お金持ちになりたい!」という強い気持ちがあった。

「同級生は先に社会へ出て稼ぎはじめる。彼らよりも稼ぐためには何かを身につけないといけない。試験勉強だけでは無理だろうから、別の武器を持とう――そんな気持ちもありました。コンプレックスの裏返しですね。あいつらに負けたくないと。その1年間、お金についての本は100冊以上読みました。人生で唯一、猛勉強したといえる期間です」

「人生最初で最後」の猛勉強

古典となった本から最新刊まで目につく本をかたっぱしから購入、コアとなる部分をノートにまとめながらひたすら知識を蓄えていった。

「古典となっているような株の本がメインでしたし、財務やファイナンシャルプランナーの本も読みました。大学では学んでいない分野なので、最初はまったくわからない。泣きそうになりましたが、『ひと足先に働いてる同級生を追い抜くためには、これをやらんと負けや』と、そんな気持ちでした。人生であれだけ勉強した時期はないですね」

資産を増やそうとするなら最初から投資に費やしそうなものだが、知識を蓄えることから入ったことがたーちゃんさんらしさだ。

「じつは大学生時代に株を買ったこともありました。昔、『セガサターン』というゲーム機がありました。それがものすごい好きだったんです」

1990年代、プレイステーションとともにゲーム業界を盛り上げたセガサターンはやがて後継機のドリームキャストへと移行する。

「しかし、これが思ったほどは売れなかった。そのころ、ゲーム雑誌でセガの役員が『ドリームキャストの不振でうちの株価は下がっている。今買えばきっと儲かる』といったようなことを言っていたんです。ゲーム雑誌とは思えない記事ですが、ゲーマーだった僕はそれを信じて買ったんです」

アルバイトで貯めた50万円をセガ株に投じた。その経験があれば、なおさら、「勉強よりも投資を」と発想しそうなものだが、たーちゃんさんは違った。

「数十万円の資金しかないのに売買しても意味がないだろうと考えていました。株を買うよりは本を買おう、知識を蓄えようと。それに、じつはセガ株のあと、ネット証券が登場し、売買コストが低下したことでデイトレードしたこともあるんです。ただ、全然ダメで結構減らしてしまった。株のことが何もわかっていなかったんですね」

いくらなんでも安すぎる――目をつけたのは金

投資で武器となるのは知識と元手だ。知識を蓄えたたーちゃんさんは無事に資格試験にも合格、社会へと羽ばたいていく。

「残業が多く休日出勤もある仕事だったので、残業代は貯まるし、使う時間もない。投資の元手がある程度作れたとき、チャンスに思えたのがゴールドでした」

2011年には1トロイオンス2000ドル間近まで達したが、2000年代初頭には300ドルを割っていた。

「いくらなんでも安すぎると。ゴールドは『一生に2回、買い場がある』と言われるんです。その1回目が今なんじゃないかと」

元手がある、知識も蓄えた。たーちゃんさんは満を持して買っていった。しかし、買ったのは金そのものではない。

「金が2倍になるなら金鉱株、つまり金を採掘する会社の株は2倍以上に上がる。それがわかっていたので、金そのものではなくオーストラリアの金鉱株を買いました。ただ、日本株だと住友金属鉱山くらいしかないし、保有する鉱山の規模が小さい。そこでオーストラリアの金鉱株を買ったんです。倒産寸前で株価も地に落ちていましたが、金の価格さえ戻れば株価は急騰するだろう、と」

当時の貯金のほとんど、600万円で一点買いしていった。

「倒産しても構わないという気持ちでした。それに仕事は相変わらず残業続きだったため、頻繁に売買する時間もない。買ったら寝かせっぱなしです」

トラック運転手の年収急騰 1400万円!

寝かせたまま3年が過ぎた。

「すると、300ドルを割っていた金が800ドルまで上がってきた。『コモディティ(商品)の時代』と言われるようになり、資源国であるオーストラリアの労働環境も激変していました」

トラック運転手の年収が1400万円を超えるほどの好景気が到来していた。

「さすがに高すぎる。嫌な気配を感じたので金鉱株を売りました。買値から約10倍です」

再デビュー戦を「テンバガー」(10倍株)で飾った。金価格は2.5倍ほどの上昇だったから、「金が上がるなら金そのものではなく金鉱株を買う」という思惑は的中したことになる。

「ただ、その株はさらに上昇を続け100倍になりました。そこまで持っていられれば、なおさらよかったですね(笑)」