フィリップ・フィッシャー編① 「成長し続ける株の見極め方」

長期的に成長し続ける株を選ぶ15のポイント

フィリップ・フィッシャーはウォーレン・バフェットに成長株投資を伝授した成長株投資の巨匠であり、2004年に96歳で亡くなるまで成長株一筋の人生を歩みました。
フィッシャーは「徹底した調査により、ごく少数の傑出した成長株に絞り込んで投資すれば成功できる」という考えのもとで、実際に化学のダウ・ケミカル、通信機器のモトローラ、半導体のテキサス・インスツルメンツ、ガラスメーカーのコーニングなどに投資して何十年も保有し続け、いずれの銘柄でも何十倍、あるいは何百倍という大きなパフォーマンスを実現しました。

フィッシャーがそうした「ごく少数の傑出した成長株」を見分けるために留意していた「15のポイント」を以下に紹介します。

ポイント① 今後5年売上を伸ばせる商品を持つ
ポイント② 5年後以降も売上拡大が続けられるような新商品開発の見通しがある

今ヒット商品が出て成長していても、その成長が長期的に続くのかどうかをよく考える必要があります。長期的に成長を続けるためには、今現在業績をけん引する商品が今後5年程度は売上拡大が見込めて、さらに、その後も売上拡大を続けられるように現商品の強化や有望な新商品の開発に向けたプランをちゃんと進めているか、投資家としてはそうした点を確認することが大切です。

ポイント③ 研究開発に熱心で、それから十分な成果を生み出す体制がある
ポイント④ 独自の強い技術・ノウハウがある

有力な新商品の開発を続けるためには、もともと独自の技術・ノウハウを持っていて、研究開発にも熱心であることが重要になります。他社には真似できないような独自の技術やノウハウがあり、それを活かした研究開発によって魅力的な新商品が生み出されているなら、他社は追随することが難しくなります。

ポイント⑤ 営業部門が優れている

良い商品を開発してもそれをお客さんに知らしめて販売するノウハウや体制がないと売上につながりません。販売網、宣伝広告のノウハウ、サービス体制を含めて、営業力が優れているのかどうかにも注目してみましょう。

ポイント⑥ 長期展望に立って企業運営がされている

その会社が長期的視点に立って運営されているのか、目先の収益ばかり追いかけていないか、あらゆる行動からうかがうようにしてみましょう。
たとえば、お客さんとの長期的な信頼関係を築くよりも、自分たちの目先の収益のためにお客さんの利益を損なうような営業をしていないでしょうか。あるいは、従業員を育てるのではなくて使い捨てにするようなブラック企業的なことをしていないでしょうか。そういう場合は、現状の業績が好調でも要注意です。

ポイント⑦ 売上高営業利益率が高い
ポイント⑧ 売上高営業利益率を維持・改善するために十分な努力をしている
ポイント⑨ しっかりしたコスト分析・財務分析を行っている

売上高営業利益率は売上高のうちどのくらいが営業利益として残るかという割合であり、

売上高利益率=営業利益÷売上高

という式で計算されます。この指標は一般的に10%以上ならば収益性が高いと判断できますが、業種によっても事情が異なりますので、同業他社と比べてみることも大切です。この指標を高めるために、

・商品の付加価値を高める
・コストを下げる

という努力をその会社はしているでしょうか。
コストダウンをするためにはしっかりしたコスト分析・財務分析が必要になります。これは、一般の投資家はチェックが難しいポイントですが、その企業がコスト削減に継続的に熱心に取り組んでいる様子でありその成果が業績的に表れていれば、これらの点では優秀な会社とみていいでしょう。

ポイント⑩ 良好な労使関係を築いている
ポイント⑪ 管理職の能力を引き出す環境がある
ポイント⑫ 優秀な管理職が豊富

会社が長期的に繁栄するためには、優秀な人材が集まり生き生きと働ける環境が必要です。そのためには優れた研修制度、キャリアアップ制度、柔軟な雇用・就業システム、高い給与体系や福利厚生制度などが重要になりますし、労働環境の良さは離職率の低さとなって現れます。
また、会社が持続的に成長するためには、ワンマン経営者に依存するのではなくて、優秀な経営者や管理職がたくさん育つ環境も必要です。そうした環境があるかどうかを考える際にフィッシャーは、

・創業者一族以外からも実力主義で経営者が選ばれているか
・外部からでなく、内部から経営者が育っているか

という点に注目します。

ポイント⑬ 経営者は都合の悪いことも正直に語る

都合悪いことも正直に語る経営者というのは、

・自社の状況を冷静に分析する客観性
・悪い点があればそれに真正面から向き合ってそれを改善する姿勢

を持っていると考えられるため、フィッシャーは経営者の資質を判断する際にこのポイントを重要視しています。隠ぺい体質の会社は論外です。経営者の言動については決算説明会や個人投資家向けの説明会の動画などを見て、「都合良い話ばかりしてないか」「実現性の低い成長シナリオを描いてないか」という点をチェックしてみるようにしましょう。

ポイント⑭ 投資家に対して誠実

経営者が株主に報いる姿勢を持たず自分の利益しか考えないようであれば投資対象として優れているとは言えません。そうした意味で、株式上場して創業者利益を得ることを第一に考えているような会社は論外です。たとえば、上場して高値を付けた途端、業績の下方修正するような会社はそのような類の会社である可能性があります。

ポイント⑮ 増資するリスクがない

増資は新規に株式を発行して資金を調達することですが、発行済み株数が増えて一時的に1株利益が減少し、株価が下落する要因になることが多いです。増資リスクは自己資本比率が低くなるほど高まります。
ただし、このポイントについてフィッシャーは必ずしも満たさなくてもいいと言っています。増資リスクにこだわりすぎるとそうした成長力豊かな若い企業をはじいてしまいかねないからです。

以上、フィッシャーの成長株選びの15のポイントでした。
これらの基準を日本株に当てはめるとどんな銘柄が該当するか、次回は具体事例を紹介しながら考えを深めていきたいと思います。

■フィリップ・フィッシャー
1907年生まれ-2004年没。スタンフォード大学のビジネススクールで経営学を学んだ後、証券アナリストなどを経て1931年に投資顧問会社を設立。数十年成長し続けて何十倍にもなるような超成長株投資の理論を打ち立てて成功。バフェットの師匠の一人。代表的な著書は1958年に書いた『フィッシャーの「超」成長株投資』。